fbpx

脱・家電で変貌「日立製作所」は買いか?M&Aと収益改革で時価総額16兆円、“令和の日立”の実態に迫る=元村浩之

<システムインテグレーションのブランド「Lumada」>

日立が提唱する「Lumada(ルマーダ)」は、この「すり合わせる力」やM&Aによって強化された能力を体現するブランドと言えます。

E697A5E7AB8B1.png

出典:日立 統合報告書

これは、日立が持つIT、制御、ソリューションを結びつけてシステムとして提案する「仕組み」や「仕掛け」のような概念です。具体的なプラットフォームというよりは、日立のシステムブランドのような形で捉えると分かりやすいでしょう。

グローバルロジックが持つデジタルサービスを使いやすくデザインする強みは、このLumadaの実現において中心的な役割を果たしていると考えられます。800社のグループ会社や買収した事業(鉄道信号、電力システムなど)は、言わばシステムを動かすための「手足」です。それらをうまく連携させ、有機的に動かすための「脳みそ」や「神経回路」のような役割を担うのがLumadaによって統合された機能だと言えるでしょう。

多岐にわたる事業領域

現在の日立製作所は、非常に多岐にわたる事業を手掛けています。売上構成は主に以下の3つの大きな括りに分かれています。

  1. デジタルシステムサービス: ITサービス全般。金融系システムや社会基盤に関するシステムなど。グローバルロジックの事業もここに含まれます。いわゆるシステム屋さんです。
  2. グリーンエナジー&モビリティ: 鉄道関連、電力インフラ関連、原子力関連など。ABBのパワグリッド事業やタレスの鉄道信号事業が該当します。
  3. コネクティブインダストリーズ: ビルシステム、水環境関連の計測システムなど。

手掛けている事業が多すぎて一言で説明するのは難しいですが、具体的な事例を挙げると、例えば交通系の運行情報配信システムがあります。

E697A5E7AB8B2.jpg

出典:日立

JRの駅にある案内版のモニターに表示される情報システムなどがそうです。また、新幹線の指令システムのように、車両の位置把握や制御を行うシステムも手掛けています。

これらは、私たちが普段直接目にすることは少ないかもしれませんが、社会インフラの「裏方」を支えるシステムです。単に企業のITシステムを導入するのとは異なり、物理的なリアルシステムとの連携が非常に重要になってきます。

既存の基幹システムなどと接続するシステムをうまく繋ぎ合わせる必要があり、これはぽっと出のIT企業には難しい領域であり、社会インフラ全体を手掛けられるような大企業でないとできないことだと言えます。ここに日立の強みがあるのです。

Next: 海外でも成長中。日立製作所は買いか?競合と比較すると…

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー