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リーマンショックで売り抜けた伝説の投資家が再び空売り…暴落は近い?売却銘柄と長期投資家が学ぶべきこと=栫井駿介

<中国株への投資と売却>

その後、中国のハイテク企業に対する政府の締め付けが強化され、中国株が大きく下落した際には、アリババなどを買い付けました。アリババ株の上昇局面で利益を確定するなど、ここでもファンダメンタルズ分析に基づいた投資で成功しています。中国政府の方針は厳しいが、アリババのリアルなビジネスには価値があると見たためと考えられます。

これらの成功事例から、バーリ氏の分析手法は今なお健在であることがうかがえます。彼は神がかり的なセンスではなく、徹底的なファンダメンタルズ分析に基づいて投資判断を行っていると考えられています。

現在のバーリ氏の投資スタンスと警戒するリスク

そして今、マイケル・バーリ氏は再び空売りを仕掛けていることが話題となっています。彼の現在のポートフォリオは、ネガティブなポジションが多く見られます。

<空売り対象の銘柄>

現在、バーリ氏が空売りしている主な銘柄には、以下のようなものがあります。

  • NVIDIA
  • アリババ
  • ピンドゥオドゥオ (PDD)
  • JD.com (JD)
  • バイドゥ (BIDU)
  • Trip.com (TCOM)

NVIDIA以外の多くは中国株です。また、以前保有していた米国のヘルスケア株なども売却しています。空売りはしていませんが、とにかくポジションを落とし、弱気なスタンスを取っていることが分かります。

<バーリ氏が警戒する市場リスク>

バーリ氏がこのようなスタンスを取る背景には、いくつかの市場リスクへの警戒があると考えられます。

【米国株の割高感】
米国株は非常に割高だと懸念している可能性があります。長期的な割高感を示すシラーPERレシオも、ITバブル期に次ぐ高水準になっています。

【AIバブル】
NVIDIAの空売りは、AI関連株の上昇が行き過ぎたAIバブルを警戒している表れだと考えられます。

【米中貿易摩擦】
中国株の大量空売りは、現在進行中の米中貿易戦争を懸念しているためでしょう。関税によって中国企業は苦しい状況に陥り、同時に米国も関税によるインフレという形でダメージを受ける、という現実的な考え方があるようです。

なぜ市場は上昇しているのか?構造的な問題と「中銀プット」

著名なファンダメンタルズ投資家であるウォーレン・バフェット氏や、JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOなど、他の多くの著名投資家も市場に対して警戒感を示しています。しかし、足元の株価は依然として上昇しており、S&P500指数は過去最高水準に戻っています。

では、なぜ警戒感が高まっているにも関わらず、市場は上昇を続けているのでしょうか?これには構造的な問題と、過去の経験に基づく投資家の心理が関係していると考えられます。

Next: なぜ市場は上昇?バーリ氏の動きを長期投資家はどう見るべきか

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