パズドラは非常に特徴的で、リリースした2012年の翌年(2013年)に利益を伸ばしたのはもちろんですが、その後の2014年まで、2年間にわたって売上高を伸ばし続けました。その後は下がってはいきますが、2023年12月時点でも売上がしっかり立っている(400億円程度)というロングセラーとなっています。これはまさに「神がかっている」と言えるような大成功事例でしょう。

これらの事例を考えると、DeNAのポケポケがすでにピークアウトしてしまったのではないか、というのが投資家の一番の懸念材料となっているのかもしれません。
<ポケポケのダウンロード数と収益の現状>
ポケポケのダウンロード数の推移を見てみましょう。

リリース直後の推移ですが、2024年10月にリリースされて、11月、12月とダウンロード数は伸びていきました。他の多くのアプリはリリース後ぐんと伸びて2ヶ月目からダウンロード数が減っていく傾向がある中で、ポケポケは2ヶ月にわたってダウンロード数を伸ばせたという点では、非常に良いスタートを切ったと言えます。
しかし、足元のダウンロード数の推移を見ると、上下しながらも、傾向としたはやはり右肩下がりになっていると言わざるを得ません。
重要なのは収益です。収益の推移を見ると、大きく収益が伸びるタイミングは、新しいイベントやアップデートがあった時です。例えば、2025年2月3日のクレセリアEXドロップイベントや、2月28日のテーマ拡張パックのリリースといったタイミングで、大きく収益が伸びています。新しいカードが手に入りやすくなる、パックが増える、といったところで収益が伸びやすい傾向が明らかに見られます。新しいカードが出たら早く手に入れたいと思って課金する人もいるのでしょう。
つまり、一度ダウンロードしてもらったユーザーが、こうしたカード拡張などのイベントを通じて、いわゆるユーザーの課金額を増やしていけるかどうかが今後の収益を左右する鍵となりそうです。
<ポケポケの課題:アクティブユーザーと重課金>
しかし、ここで気になるのが、アクティブユーザーに関するデータがないことです。決算説明資料には、マンスリーアクティブユーザー(MAU)のようなデータは見当たりませんでした。
当初のダウンロード数はポケモンの人気もあって非常に多かったはずですが、その後も使い続け、熱狂的にプレイする、特にスマホゲームの主な収益源となる「重課金者」をどれだけ作り出せるか、というのが重要になってきます。しかし、その肝心なデータがないのは少し残念です。当然、アナリストとしては最も欲しい情報だと思います。
現状を見ると、やはり「ピークを超えてしまったのではないか」というのが一番引っかかるところです。もちろん、今後全く収益がなくなってしまうわけではなく、DeNAの収益の柱であるゲーム事業をある程度支えていくとは思いますが、右肩下がりの傾向の中で、直近の第1四半期で見ても、2月のピークを超える収益は上げられていません。今後こうしたイベントでどこまで伸ばしていけるかが問われます。
ポケポケがヒットした理由の一つに、スタミナがなく毎日カードを開封できるなど、「めくる体験が面白い」というユーザーの声があります。毎日開ける楽しみがある前提でログインし、拡張パックなどで課金数を増やしていく、というのが理想的なユーザーからの収益ポイントでしょう。
ただ、これだと課金しなくてもかなり遊べてしまうのです。実際、栫井も子供と一緒に少しプレイしていますが、課金はしていません。子供たちには大人気で、課金しなくても遊べる、という点では非常に評価が高いです。
しかし、そこに重課金要素があるかというと、そこが課題なのかもしれません。大人がハマるようなゲームは、トップになりたい、勝ちたいといった競争意識から重課金するケースが多いと思いますが、ポケポケにはそういった要素が少ない印象です。ライトユーザーでも楽しめてしまうことが、逆に重課金につながりにくい要因となっている可能性もあります。
また、対戦ルールもリアルのポケモンカードよりかなり簡略化されています。初心者でもできるというメリットはありますが、やり込み要素が少なく、大人にとっては少し物足りないと感じる点もあるようです。頭を使ってやり込みたい大人にとっては、リアルカードの方が面白いかもしれません。
そもそも、このアプリはCreatures社(ポケモンカードゲームの企画開発会社)が関わっており、ポケポケをアプリ版ポケモンカードゲームの入り口とし、最終的には本物のリアルカードを購入してもらうことを目的としていた側面もあるのではないでしょうか。もしそうだとすれば、その点ではうまくいっているのかもしれません。
しかし、DeNAの収益という点では、確かにかなり利益を上げたのは間違いありませんが、「思ったよりも伸びていないな」という印象は否めません。
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