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株価3倍「鹿島建設」今からでも買い?国策銘柄の恩恵とリスクを長期投資家はどう判断すべきか=元村浩之

投資判断基準:期待値の過剰織り込みと成長機会

国策銘柄として注目が集まる鹿島建設ですが、投資を検討する上ではリスク要因についても冷静に評価する必要があります。

<主要なリスク要因>

  1. 人材リソースの問題
  2. 建設・土木業界は慢性的な人手不足であり、国土強靭化計画などの案件が増加しても、人材リソースを割き、効率的に案件を回せるのかという現場側の問題が残ります。

  3. 鹿島建設の土木比率の低さ
  4. 国策の恩恵を最も受ける土木事業が、鹿島建設の売上に占める比率は約14%に過ぎません。市場が期待しているほど、業績が伸びない可能性も認識しておくべきです。

  5. 不動産開発リスク
  6. 鹿島建設の不動産開発事業は利益率が27%と高収益ですが、開発期間が長期にわたるため、その間に不動産の価値が暴落した場合、損失額が大きくなるリスクを念頭に置く必要があります。

現在、最も重要な投資判断基準は、国策銘柄として期待値が過剰に株価に織り込まれていないかどうかを、これらのリスクと照らし合わせながら冷静に見ることです。

<今後の成長機会と高評価ポイント>

リスクが存在する一方で、「国策に売りなし」という格言がある通り、鹿島建設が今後も注目されうる企業であることは間違いありません。

鹿島建設は、近年、建築事業においても、半導体関連や医薬関連の工場、データセンターなど、クリーン度や精密な温湿度管理が求められる高付加価値な建物への進出を積極的に進めており、市場の潮流にも乗っています。

また、海外事業の優位性も評価されています。海外では土地が広いため平屋建ての建物が多く、高層ビルよりも工数が低いため、回転率の高いビジネスを手掛けることが可能となっており、この点も高評価につながっています。

鹿島建設は、品確法に守られた土木事業の安定性と、国策である国土強靭化の恩恵を受け、長期的・安定的に業績が伸びていくというイメージが投資家から評価されています。しかし、これらの良い潮流とともに、人手不足や土木比率の低さといったリスクも冷静に見つめ、期待値が過剰になっていないかを判断することが、今後の投資において非常に重要となります


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image by: Ned Snowman / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2025年10月22日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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