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レアアース国産化は本当に追い風か?注目5銘柄の実態と投資判断を解説――JAPEX、東洋エンジ、住友金属鉱山ほか=元村浩之

レアアース・サプライチェーンの5段階分析と投資判断の視点

株式市場において、関連銘柄を正しく評価するためには、企業がサプライチェーンのどの段階に位置しているかを見極める必要があります。

私はこの流れを5つのフェーズに整理しました。

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第一段階は「調査・環境評価」、第二段階は「採掘インフラの整備」です。現在はまさにこの段階の入り口におり、試掘やシステム構築に携わる企業がまず恩恵を受けます。

続いて第三段階が「精錬・素材化」、第四段階が実際にレアアースを使って部品や完成品を作る「製品化」のフェーズです。これらは2030年以降の実需に関わるため、現時点では期待が先行していると言えます。

そして第五段階が、レアアースを使わないようにする「代替技術」や「リサイクル技術」の領域であり、実利の面で注目すべき分野となっています。

石油資源開発<1662>

まず調査段階で注目を集めているのが、石油資源開発(JAPEX)です。

石油資源開発<1662> 日足(SBI証券提供)

石油資源開発<1662> 日足(SBI証券提供)

同社は次世代海洋資源調査技術研究組合などを通じて海底資源調査に関わっており、昨年の8月以降、時価総額が大きく高まっています。

しかし、決算資料を精査してみると、現段階では海底資源調査に関する売上や利益の具体的な貢献は見当たりません。現在の利益の柱はあくまで石油や天然ガスの採掘・運搬であり、調査費用が業績を押し上げるフェーズではないのです。

同社は長年培った掘削オペレーションの技術をレアアース採掘に転用できる強みは持っていますが、それが業績として顕在化するのはまだまだ先の話であり、現時点ではテーマ性に支えられている側面が強いと言えます。

東洋エンジニアリング<6330>

採掘インフラの整備段階で無視できないのが、東洋エンジニアリングです。

東洋エンジニアリング<6330> 日足(SBI証券提供)

東洋エンジニアリング<6330> 日足(SBI証券提供)

同社は大型プラントのエンジニアリング企業として、採掘システムの設計・製作に関わっており、国産化事業において重要なポジションにあります。

しかし、2026年2月に発表された決算では大幅な下方修正を行い、巨額の赤字予想とともに無配転落という厳しい現実を突きつけられました。

この赤字の原因はレアアースとは無関係な海外の大型案件での損失ですが、プラントエンジニアリング特有のリスクを浮き彫りにしました。

求められた性能基準を満たせなかったり、予算内に収まらなかったりした場合に多額の違約金を支払うリスクが常にあります。

単にレアアース関連だからという理由で買い向かうのは危険であり、プロジェクト管理能力を冷静に見極める必要があるのです。

住友金属鉱山<5713>

精錬・素材化のフェーズで本命とされるのが、住友金属鉱山です。

住友金属鉱山<5713> 日足(SBI証券提供)

住友金属鉱山<5713> 日足(SBI証券提供)

同社は「鉱山開発」「金属精錬」「先端材料製造」という3要素を垂直統合で行う稀有な企業であり、日本で数少ないレアアース精錬技術の保持者でもあります。

中国が世界の精錬の9割を握る中で、同社への期待は非常に高く、株価も右肩上がりで推移しています。

ただ、業績の中身を詳しく見ると、精錬事業の利益は直近で苦戦しており、赤字傾向にある局面も見られます。

精錬は金属の市場価格に大きく左右される事業でもあります。

国産レアアースの需要が本格化し、それが全社の業績にインパクトを与える規模になるまではかなりの時間を要するでしょう。

現在は明らかに期待値が先行しており、国産化が始まった後にどれだけ利益を出せる事業に育てられるかが焦点となります。

Next: まだある注目のレアアース銘柄…長期投資家が投資するなら?

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