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月島ホールディングス:水インフラで安定収益、産業事業の採算改善で利益成長へ

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月島ホールディングス<6332>は、上下水道設備を中心とする環境プラントエンジニアリング企業だ。特に下水汚泥処理設備分野で国内有数の実績を持つ。120年の歴史を持つ同社の祖業は砂糖製造機械であり、そこで培ったろ過 、乾燥や結晶化の技術を基盤として、水処理、化学、環境分野へ事業を拡大してきた。高度経済成長期の公害問題を背景に上下水処理分野へ参入し、現在は自治体向けの水環境事業と民間向けの産業事業の二本柱で事業を展開している。

売上構成は水環境事業が約65%、産業事業が約34%だ。水環境事業では上下水道設備の建設や更新に加え、設備の運転管理・保守などのアフターサービスを 展開している。一方、産業事業では化学分野、食品・医薬・化粧品などのライフサイエンス分野向けプラント設備や二次電池用材料の製造 設備、廃液処理などの環境設備 などを提供している。

2026年3月期第3四半期累計の連結業績は、売上高946.8億円(前年同期比9.3%増)、営業利益45.5億円(同54.2%増)と増収、大幅増益となった。売上は受注残案件の進捗により増加し、利益面では産業事業の採算向上が寄与した。水環境事業は自治体向け案件が中心で売上が第4四半期に集中する傾向があり、第3四半期までの進捗は概ね計画通りだ。受注高は1,081億円と前年同期比で減少したが、下水汚泥焼却炉など大型案件の端境期によるもので期初計画通りの水準だ。受注残高は増加しており、将来売上の積み上がりは堅調といえる。

セグメント別では、水環境事業は増収となった一方、営業利益は微減で着地した。人材投資やDX関連費用の増加が影響したためだ。ただし上下水道施設の老朽化更新需要や包括的な運転管理業務の拡大などを背景に、事業環境は堅調だ。一方、産業事業は増収、大幅増益となった。化学分野の設備投資や環境関連設備の需要増加に加え、半導体関連廃水処理設備の需要拡大が寄与した。高付加価値案件の増加により利益率も改善している。

2026年3月期通期会社計画は、売上高1,440億円(前期比3.4%増)、営業利益95億円(同6.6%増)を見込む。水環境事業は上下水道設備の老朽化更新や自治体の人手不足を背景とした運転管理業務の民間委託拡大により、安定した需要が続く見通しだ。また脱炭素関連投資として省エネルギー型下水汚泥焼却炉や 創エネルギー設備などの需要も拡大している。産業事業では化学メーカーの高付加価値製品向け設備投資や環境対応投資が進んでおり、二次電池や半導体関連設備などの成長分野の需要取り込みが期待される。

同社の強みは、汚泥処理 技術と分離・ろ過技術を基盤とした環境エンジニアリング能力にある。下水汚泥処理設備や焼却炉分野で高い技術力を持ち、下水汚泥焼却炉では国内トップシェア(30%)を誇る。 CO2 排出削減技術など脱炭素関連技術にも強みを持つ。また、設備の開発・設計から製造・建設、運転管理まで一体的に提供可能なバリューチェーンを有し、アフターサービスも受託することにより、長期的な収益基盤を確保している。

同社は2024年3月期から2027年3月期までの中期経営計画を推進しており、最終年度に売上高1,600億円、営業利益120億円、ROIC7%以上、ROE8%以上を目標としている。水インフラ事業の拡大に加え、廃ガス・廃液処理や脱炭素関連設備など環境ビジネスの強化を進める方針だ。また上下水道設備の遠隔監視やAI制御などデジタル技術を活用した運転管理サービスの高度化も進める。

株主還元では、2026年3月期の年間配当を82円(前期比4円増)とする計画だ。DOE3.5%を下限とし、総還元性向50%以上を目標とする方針を掲げており、安定配当と機動的な自己株取得を組み合わせた株主還元を行う。公共インフラを基盤とする安定収益に加え、環境投資の拡大を背景に中長期的な成長が期待できる企業だ。

総じて同社は、水インフラという安定市場を基盤としながら、環境技術や脱炭素関連分野へ事業領域を拡大している企業だ。上下水道設備の更新需要や環境投資の拡大などを背景に中長期的な成長余地は大きいと考えられる。 水環境事業の安定収益と産業事業の収益力改善が進むことで、今後も持続的な成長力が高い企業といえる。

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