fbpx

オイルショック再来なら投資チャンス?インフレ時代の勝ち組セクターと避けるべき業界=栫井駿介

当時と決定的に異なる「原油供給網」

では、現在再びオイルショックが起きた場合、当時と同じように価格が4倍にまで跳ね上がるのでしょうか。

結論から言えば、そこまでの極端な上昇は起きにくいと考えられます。

理由はいくつかありますが、まず「原油の調達先」が分散されたことが挙げられます。
例えばサウジアラビアなどは、ホルムズ海峡を通らなくても反対側の紅海から出荷できるようパイプラインを整備しています。

また、最大の変化は米国の「シェール・オイル」の存在です。
かつての米国は石油の輸入国でしたが、現在は世界有数の輸出国となっています。

このシェール・オイルには「採算ライン(原油を掘って利益が出る価格)」があり、それがおよそ70ドルから80ドルとされています。
原油価格がこれを超えて上がれば、米国のシェール業者が「今こそ儲け時だ」と増産に踏み切るため、供給が増えて価格にキャップ(上限)がかかるのです。

したがって、原油価格の問題だけを見れば、かつてのような壊滅的な上昇は抑制される構造になっています。

投資家が最も警戒すべき「インフレ・金利・株価」の三角関係

原油価格そのものよりも、現代の投資家が注意すべきは「社会全体のインフレと金利」の関係です。

原油価格がじわじわと高止まりすれば、輸送費や製品価格を通じてインフレが加速します。
中央銀行であるFRBは、庶民の生活を守るためにインフレを抑えなければならず、そのための唯一の武器が「金利の引き上げ(金融引き締め)」です。

金利が上がると、株式の価値計算における割引率が上がるため、株価は下がりやすくなります。
実際、2022年にも金利上昇によってGoogleやMicrosoftの株価が大きく調整した時期がありました。
トランプ前大統領がイラン情勢に高を括っていられないのは、インフレが再燃して金利が下がらず、株価が暴落すれば、それが自身の支持率低下に直結することを熟知しているからです。
1973年の時も、インフレを抑えるための過剰な利上げが、その後の米国株の長期低迷を招いた一因となりました。

AIブームはエネルギー問題?

世の中はAIブームの真っ只中となっていますが、AIを動かすには膨大な「電力」が必要です。

AIに1回問い合わせをするだけで、通常のGoogle検索1回の10倍の電力が消費されるという試算があります。
データセンターの電力需要は、2023年から2030年にかけて10倍、あるいは指数関数的にそれ以上に増える可能性があります。

AIがより高度な推論(思考回路を巡らせること)を行えば行うほど、電力消費は凄まじいものになります。

<エネルギー価格高騰がもたらす「スタグフレーション」>

もしオイルショックによって電気代が高騰すれば、AIブームはどうなるでしょうか。

現在、OpenAIなどの企業は膨大な赤字を出しながらサービスを提供していると言われていますが、電力コストが跳ね上がれば、利用料金を大幅に引き上げざるを得なくなります。

「AIは確かに凄いが、人間を雇うよりはるかに金がかかる金食い虫だ」という認識が広がれば、現在株式市場を支えているAIデータセンター建設やAI投資のブームは一気に冷え込むでしょう。
AIという成長の柱が折れ、コスト高による不況だけが残れば、それはまさに「現代版スタグフレーション」の再来となります。

一方で、この危機は「省電力技術」を持つ企業にとっては最大のチャンスとなります。
かつての日本車が燃費の良さで世界を制したように、より少ない電力でAIを動かせる半導体や材料、そして安定した電力を供給できる「原子力発電」関連の技術を持つ企業は、これからのエネルギー制約時代において圧倒的な強みを発揮するはずです。

Next: どのセクターが買い?恩恵を受ける業界と避けるべき業界

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー