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原油高で追い風「資源株・商社株」は買いか?長期投資戦略と避けるべき銘柄も解説=栫井駿介

銀行株と不動産株の行方

銀行株への投資判断も複雑です。

インフレになれば利上げが行われ、銀行の利ざやが拡大するというポジティブな側面は確かにあります。
しかし、スタグフレーション、つまり「不況下の物価高」になれば、融資先の業績悪化による貸し倒れや、不動産市場の冷え込みという大きなリスクが浮上します。

歴史を紐解くと、リーマンショック直前の2008年頃、原油価格は1バレル125ドルを超える記録的な高値をつけていました。
当時は資源高に沸いていましたが、その後の景気後退で銀行株は凄まじい下落を経験しました。
三菱UFJなどのメガバンクも当時は赤字に転落し、株価が3分の1以下になる局面もありました。
金利が上がるから銀行は安心だ、という単純な発想は、有事の景気後退局面では非常に危険です。

歴史に学ぶ生存戦略

私たちは今、大きな転換点に立っています。

かつての石油危機の際、資源のない日本は「省エネをしないと生き残れない」という極限状態に追い込まれました。
しかし、そこでの努力と工夫が、結果として世界最高の低燃費技術を生み出し、日本の自動車産業がアメリカ市場を席巻するきっかけとなりました。

現代において、この「省エネ・効率化」が最も求められている場所こそがデータセンターです。
AIブームを継続させるためには、膨大な電力をいかに効率的に使い、冷却するかが経済の大きな鍵となります。この分野で独自の技術を持つ企業こそが、次の時代の主役になるはずです。

<電力不足を救う「効率化技術」を持つ企業:三菱重工、ダイキン…>

具体的には、三菱重工のガスタービン技術などが挙げられます。
同社の発電機は、少ない燃料で大量の電力を生み出す世界最高水準の効率を誇っており、電力不足が懸念される中でそのニーズはますます高まっています。
株価がPER60倍超と割高に見えても、業績が絶好調なのはこうした「省エネ・高効率」という国策的なテーマに乗っているからです。

また、サーバーを冷やす技術も重要です。
エアコンによる冷却は効率が悪いため、これからは水で直接冷やす「液冷」方式が主流になると見られています。
ダイキン工業などがこうした技術を持つ企業の買収を進めており、今後いかにこの市場でプレゼンスを発揮できるかが注目されます。

さらに、半導体そのものの消費電力を抑える材料や技術を持つメーカーも、日本の得意分野として大きな投資チャンスを秘めています。

まとめ

現在の相場は、何が起きるか予測できない「不確実性」に満ちています。
このような時、安易に資源高にベッドしたり、逆にパニックになって投げ売りをしたりするのは賢明ではありません。
ウォーレン・バフェット氏も、最近のインタビューで「株価が下がったとはいえ、まだ十分に安くないから下手には買わない」という趣旨の発言をしています。
私たちはもっと深い「ゲリラ豪雨」のようなバーゲンセールを待つ忍耐強さを持つべきでしょう。

長期投資において最も大切なのは、目先のイベントに一喜一憂することではなく、その企業が「努力と工夫」を続けているかを見極めることです。
かつて石油危機を乗り越えて世界トップになったトヨタのように、現在のエネルギー危機や電力不足という壁を、技術と知恵で乗り越えようとする企業こそが、真の強者となります。

私たちはそうした企業をじっくりと探し出し、いい企業である限りはどっしりと持ち続ける、そんなスタンスでこの困難な時代を歩んでいくべきなのです。


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【関連】なぜバフェットは「守り」に入る?現在の株価は高すぎ?長期投資家が注視すべき市場のシグナル=栫井駿介

image by:Maksim Safaniuk / Shutterstock.com
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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2026年4月10日号)より※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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