■いちご<2337>の業績動向
1. 2026年2月期の業績概要
2026年2月期は、売上高が前期比10.9%増の92,705百万円、営業利益が同25.4%増の20,449百万円、事業利益(旧称:ALL-IN営業利益)が同12.8%増の28,047百万円、経常利益が同24.2%増の17,095百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.5%増の16,628百万円、キャッシュ純利益が同4.9%減の18,442百万円となった。同社では徹底したキャッシュ・フロー経営を掲げており、2020年2月期より多くの販売用不動産(減価償却が行われない)を固定資産(減価償却を行う)に振り替えて、減価償却の税効果を図りキャッシュ創出を果たしてきた。固定資産の売却益は特別利益に計上されるため、業績の実態を表す指標として事業利益(固定資産売却益を営業利益に戻し入れた値)を、また、現金支出のない減価償却費も加味した純利益としてキャッシュ純利益を経営指標に加えている。
主力の心築事業の事業利益は13,094百万円(前期比63.3%増)と大幅増となった。内訳としては、ストック収益である不動産賃貸利益が9,025百万円(同14.2%増)と、既存・新規物件の賃料増加により拡大した。特にトレードピアお台場の稼働率向上(97%に上昇)やセットアップオフィスの導入などが貢献した。フロー収益は、商業施設の売却益等がけん引したことなどにより、9,579百万円(同73.9%増)となった。
ホテル事業の事業利益は7,224百万円(前期比21.2%減)となった。内訳としては、ストック収益である不動産賃貸収益等が5,617百万円(同4.9%増)となり、保有ホテルの賃料成長と新規ホテル取得による増収が、物件売却・リブランド休館による減収を上回った。フロー収益では、期中1件のホテル物件の売却により想定を上回る売却益2,635百万円を計上したが、前期の大型売却の反動により減益となった。
いちごオーナーズ事業の事業利益は3,765百万円(前期比13.0%増)となった。物件売却が順調に進んだこと、保有資産増加とリーシング進捗などの結果である。なお、計画していた一括売却案件が翌期へ持ち越しとなり、期初計画(事業利益で5,600百万円)は未達となった。
アセットマネジメント事業の事業利益は2,282百万円(前期比12.7%減)と減益となったが、私募リート運用会社買収による販管費増などが主な要因であり、運用資産の多角化によりストック収益が堅調に成長した。クリーンエネルギー事業は、事業利益が1,648百万円(同4.5%減)となった。安定的なビジネスモデルの下で堅調ではあるが、一部発電所の保守費用(売上原価)の増加が影響した。
販管費は前期比4.9%増の9,670百万円となり、事業の拡大に伴い増加したものの、販管費率は10.4%と抑制された。ストック収益(24,399百万円)が堅調に拡大する一方で固定費(12,506百万円)を十分にカバーしており、不透明な経済環境下でも安定成長を維持できる体制を整えている。
レジデンスやホテルを中心に物件を取得し資産拡大。強靭な財務基盤に基づく資金調達力が強み
2. 財務状況と経営指標
2026年2月末の資産合計は前期末比29,105百万円増の435,820百万円となった。流動資産は39,794百万円増であり、いちごオーナーズやホテルの物件取得を進めたことにより販売用不動産が32,911百万円増加したことが主な要因である。固定資産は10,689百万円減であり、不動産の売却により減少した。負債合計は前期末比35,057百万円増の319,066百万円となった。そのうち流動負債は33,705百万円増であり、固定負債は1,353百万円増となった。不動産の取得等に伴う借入金の増加32,445百万円が主な要因である。加重平均借入期間は8.9年と長く、借入金の3年以内返済予定借入割合は24%(2026年2月期末)と低く、余裕がある資金調達が強みだ。借入金の金利は金利上昇リスクの低減に向け固定化(過半を固定化)を図っており、金利固定化後の加重平均金利は1.43%と、金利上昇局面にあって抑制策が奏功する。
経営指標では、流動比率(375.2%。200%以上が安全の目安)、固定長期適合率(53.6%。100%以下が安全の目安)など極めて安全性が高い。自己資本比率は26.6%だが、外部鑑定士が鑑定する鑑定評価額をベースとする不動産の含み益や同社に帰属しないリスクを控除した自己資本比率では39.5%と、より高い数値になる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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