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KOA、26年3月期は営業利益が前年比210%増 成長市場で拡販活動や新製品開発を推進し中計達成を目指す

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2026年4⽉27⽇に発表された、KOA株式会社2026年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

当期業績の概要

百瀬克彦氏:みなさま、こんにちは。KOA株式会社副社長執行役員の百瀬です。本日はご多忙のところ、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

業績の概要についてご説明します。2025年度通期の業績は、前年比で増収増益となりました。

売上高は、日本や欧州で顧客の在庫調整が進むとともに、中国を中心とした自動車向けやアジアのデータセンターを含むAI関連機器向けの需要が堅調に推移したことで、前年比12.7パーセント増加の722億9,000万円となりました。

利益面では、中国やマレーシアの新工場建設に伴う減価償却費など固定費の増加や、下期の金属相場の高騰による減益影響がありました。

しかし、売上の増加や期初における米国関税政策の影響が不透明だった中で、徹底した設備投資の見直しや経費抑制を実施しました。その結果、営業利益は前年比210パーセント増の36億5,000万円となりました。

営業外収支では、設備投資に対する補助金収入や為替差益が加わり、収支差額が15億8,000万円のプラスとなりました。この結果、経常利益は52億2,000万円、当期純利益は39億5,000万円を計上しました。

当期の実績為替レートおよび為替感応度については、スライドに記載のとおりです。円安により収益にはプラスの影響が出ています。

製品別売上高

ここからは、売上高を製品別、地域別、用途別の順に説明します。スライド左側のグラフは2024年度第1四半期から四半期ごとの推移を表し、右下の円グラフは2025年度第4四半期3ヶ月間の構成比率を示しています。

2025年度第3四半期と比較した第4四半期の増減についてご説明します。製品別についてです。

抵抗器の売上は、ほぼすべての用途向けで好調に推移した結果、5.4パーセント増加しました。
安全部品は1.6パーセント、ICは産業機器向けを中心に14.9パーセント、その他は16.8パーセント、それぞれ減少しました。

地域別売上高

地域別についてです。アジアでは、AIサーバー向けの電源やエアコンなどの家電向けが増加しましたが、旧正月による季節的なマイナスの影響もあり、全体では0.9パーセントの増加にとどまりました。

日本では、第3四半期まで自動車や産業機器向けの需要回復が続いていましたが、1月の季節的な影響もあり、1.2パーセントの減少となりました。

北米では、代理店向け需要の減少があったものの、自動車向けが堅調に推移したため、全体では1.6パーセントの増加となりました。

ヨーロッパでは、第3四半期の季節調整からの回復に加え、自動車、代理店、産業機器向けなどすべての用途で需要が強く、21.5パーセントの増加となりました。

用途別売上高

用途別についてです。

自動車は、中国や日本において横ばいとなりましたが、ヨーロッパおよび北米では好調に推移した結果、6.7パーセントの増加となりました。その結果、2025年度第4四半期の自動車向け売上構成比は52パーセントとなっています。

産業機器は、2024年度の在庫調整局面からの回復基調が年度を通して続き、2パーセントの増加となりました。

通信は、AIサーバー向け需要を中心に、2024年度に比べて高いレベルを維持していますが、アジアの季節的な影響もあり、1.7パーセントの増加となっています。

電源は、同様にサーバー向けなどの需要が好調で、8.7パーセントの増加となりました。

家電は、アジアにおけるエアコン需要がピークシーズンを迎えたことから、15.3パーセントの増加となりました。

その他は、主に北米や中国の代理店向けを中心に、4.4パーセントの減少となりました。

受注高・受注残高・BBレシオ

受注高と受注残高の推移についてです。

2022年度下期から減少傾向にあった青い棒グラフの受注高は、2023年度第3四半期を底に緩やかな回復傾向を続けています。為替の影響もありますが、当第4四半期は2021年度第1四半期以来となる200億円台の受注高を記録しました。

第4四半期の受注増加には、中東紛争の影響を踏まえた顧客の在庫積み上げによる発注の増加も一部含まれているものと思われます。受注残高は、月次売上高の2ヶ月分程度の水準で安定しており、BBレシオも1倍以上の水準を維持しています。

設備投資額・減価償却費・研究開発費

設備投資、減価償却費、研究開発費についてご説明します。

今期の設備投資は59億円でした。内訳として、2025年4月にマレーシアの新工場が竣工し、工場の建設代金の最終支払いを含めた投資額の約7割をマレーシアが占めています。

その他では、中国拠点の移転に係る投資や、日本国内での増産、生産性および品質向上を目的とした投資が含まれています。2026年度の年間設備投資額は41億円、減価償却費は72億円を予定しています。

研究開発費については、2024年度から新たな開発拠点が竣工したことにより減価償却費などが増加していますが、今期も前年度とほぼ同額の36億円となりました。2026年度の研究開発費は35億円となる見通しです。

2027年3月期 業績予想

向山浩正氏:代表取締役社長執行役員の向山です。2027年3月期の業績予想についてご説明します。

売上高は、日本における自動車向けや、台湾・中国を含むアジア地域でのAIサーバー関連の売上が引き続き好調であることから、前年より約51億円増加し、774億円となる見込みです。

営業利益は、主に原材料価格の高騰により、前年より8億2,000万円減少し、28億3,000万円となる見込みです。

材料価格の高騰に対して価格是正を予定していますが、その実現にはタイムラグがあり、一部は下期の売上高と利益に織り込んでいますが、大半は2027年度にずれ込む見込みです。

当期純利益については、上期に中国工場の移転補償金30億円を特別利益として計上することで、前年から8億3,000万円増加し、47億8,000万円となる見込みです。この結果、ROEは5.3パーセントとなります。

設備投資は41億円を予定しています。中東紛争による影響として、調達コストの増加やお客さまの生産減少に伴う需要減少の可能性があります。しかし、先行きが非常に不透明であるため、予想には織り込んでいません。

2027年3月期業績予想 営業利益増減分析

営業利益について、2026年3月期の実績と2027年3月期の予想の増減をウォーターフォールチャートで示しています。

プラス要因としては、売上高の増加で17億円、為替の円安影響で7億円を見込んでいます。マイナス要因としては、材料高騰が22億円、固定費の増加で11億円を見込んでいます。

材料高騰は、主に厚膜フラットチップで使用する抵抗体ペーストに含まれる貴金属の相場が高騰していることが影響しています。当社の方針として、相場高騰によるコストアップ分は販売価格への転嫁を進めていきます。

しかし、お客さまとの交渉を開始してから実際に売上高として反映されるまでには、半年から1年のタイムラグがあるため、2027年3月期においてはコストアップが先行し、減益となる見込みです。

固定費の増加については、主に販売費の増加と、2025年4月に竣工したマレーシア新工場で、お客さまの認定を取得するためのサンプルラインが稼働することによる費用が発生し、その分が販管費として増加する見込みです。

2027年3月期 業績予想

売上高と営業利益の推移についてです。2026年度は、売上高が増加するものの、材料高騰の影響により増収減益となる見通しです。

2027年度については、この後説明する成長市場への積極的な拡販による売上増加や、継続的な価格是正、コストダウンなどを通じて中期経営計画の目標達成を目指し、一層の努力を重ねていきます。

AI関連市場

2027年度をゴールとする中期経営計画における成長市場への取り組みについてご説明します。

AI関連機器市場では、DXの浸透に伴うサーバー台数の増加やデータセンターのインフラ増強によって、事業機会が広がると見込まれます。

AIサーバーラックは、複数のサーバートレイ、スイッチトレイ、電源ユニットなどで構成されており、1台のサーバーに搭載されるチップ抵抗器は約36万個に及ぶと想定されています。

今後も、AIサーバーの出荷は増加傾向が続くと予想されており、この成長市場において、積極的な拡販活動や新製品開発を進めていきます。

2025年度の販売実績は、用途別に通信、電源、産業機器に分類されており、合計で36億円となりました。2026年度の予想では、前年比約20パーセントの増加を見込んでいます。

AIサーバーに向けた製品提案

AIサーバー向けの製品提案について説明します。AIサーバーは通常のサーバーと比べて3倍から5倍の電力を消費するため、電源装置やサーバー内の電気回路の高効率化が進んでおり、抵抗器にも新たな性能が求められると想定されています。

AIサーバーおよび周辺機器においては、大電流検出、高電圧検出、超高速通信、耐環境性能などの要求があり、既存品では電流センサモジュールや薄膜タイプの高電圧デバイダー、さらに長期信頼性を確保するための耐硫化チップの拡販を進めていきます。

今後の高電力化に向けて、長辺電極シャント、厚膜タイプのデバイダー、高精度超小型の薄膜チップ、価格面でメリットのある耐硫化チップ(遅延タイプ)など、当社の幅広い製品ラインナップと技術力で対応していきます。

新工場の稼働状況

海外の新工場の稼働についてご説明します。中国にある興和電子(太倉)は、政府からの移転要請を受けて新工場を建設し、2025年9月に旧工場から新工場への移転を完了しました。

マレーシアにあるKOA DENKO(MALAYSIA)は、新工場を建設し、2025年4月に竣工しました。現在、サンプルラインを設置し、お客さまの承認および認証を得るための生産準備を進めており、2026年10月からの出荷を予定しています。

マレーシア新工場では、MES(製造実行システム)を活用したスマートファクトリーを構築中です。これにより、生産性の向上やコスト削減、棚卸資産の圧縮など、収益性や効率性の高い工場を目指した取り組みを進めています。

いずれの工場も、主力製品である厚膜フラットチップを生産しています。成長市場である自動車市場、AI関連市場、そして将来のイノベーション市場に向けて十分な供給能力を確保し、お客さまのご要望にお応えしていきます。

配当金

配当についてです。当社の配当方針は、総合的なキャピタルアロケーションの観点から、事業への再投資および自己資本の最適化を重視しつつ、配当を含む株主還元を進めていくことを基本方針としています。

2026年3月期の期末配当は、当初予想の1株当たり15円から2円増配し、17円を予定しています。年間配当額は1株当たり32円となります。2027年3月期については、さらに2.5円増配し、年間39円と予想しています。

配当金の推移

配当金の推移についてです。スライドのグラフは、1株当たりの配当金の推移を示しています。2025年度は年間32円、配当性向30.1パーセントを予想しています。2024年度は業績悪化により期末配当を減配しましたが、業績回復に伴い、2026年度は年間39円、配当性向30.3パーセントを見込んでいます。

指名・報酬委員会

北川徹氏:社外取締役の北川です。KOAの企業ガバナンスの進化について、4つのテーマでお話しします。まず、指名・報酬委員会についてです。

当社は、指名・報酬委員会を最大限に活用し、ガバナンス改革の推進とともに、役員人事の実質的な社外化を行ってきました。

5年前に任意の委員会として発足しましたが、制度のルールとして、委員の過半数を独立社外取締役とすること、そして委員長を独立社外取締役から選任することが規定されており、当初から私が委員長を務めています。

過去5年間の平均では、年7回のペースで委員会を開催してきましたが、特に深い議論が必要な案件については合宿も実施してきました。

議題は、取締役および執行役員の指名・報酬に関する諮問事項の審議と答申が基本となっており、これらについては他社と同様です。ただし、当社の委員会では特に多くの時間を割いたテーマとして、より上流の組織戦略的な意味合いを持つガバナンス改革があります。

これまで委員会が取り組んできたガバナンス改革のテーマを3つ、スライドに示しました。1つ目のテーマとして、2023年6月からの1年間においては、執行役員制度の発案、準備、設計を行いました。この内容については後ほどご紹介します。

2つ目のテーマとして、昨年4月に社長が交代しました。交代に向けた準備は、指名・報酬委員会が2023年8月に開始し、約1年半の期間をかけて委員会主導で進められました。最終的に、2025年1月の取締役会で機関決定が行われました。

3つ目のテーマとして、役員報酬体系の抜本的な見直しが挙げられます。2025年6月から委員会において設計を開始し、今月までに委員会で決定しています。こちらについても後ほど説明します。

企業経営と業務執行の分離

先ほど執行役員制度の発足について触れました。当社は、日本企業の伝統的な経営と執行の一体的構造、いわゆるマネジメント・ボードを創業以来85年間継続してきましたが、今回の改革により、取締役会はモニタリング・ボードとして生まれ変わることになりました。

2年前の執行役員制度発足当初は、6名の社内取締役が執行役員を兼任し、新たに選任した3名の執行役員を加えた9名体制で、自動スライド方式によるスムーズな制度移行を優先しました。

執行役員制度の導入を検討する際には、他社の先行事例も研究しました。その中で、失敗例として頻繁に挙がっていたのが、取締役会と執行役員会による二重マネジメントの問題でした。

執行役員会が意思決定を行っても、取締役会がそれを否定または修正することで、意思決定が不明瞭となり、非効率な経営に陥ってしまうという事例です。

当社では、そうした二重マネジメントに陥らないよう留意した設計と運用を行ってきました。発足と同時に取締役会が持っていた業務執行関連の権限を分離し、明確なかたちで執行役員会へ委譲することで、意思決定を促進しました。

取締役会は執行部の意思決定を尊重しつつ、そのモニタリングに徹しました。また、執行組織内では社長執行役員をトップとした指揮系統を再整備するとともに、新たに設置した会議体に取締役会から権限を付与しました。

発足から2年が経過し、優秀な人材が執行役員に登用されることで執行役員会全体が充実するとともに、取締役会から独立した業務執行組織としての経験が蓄積され、移行プロセスがほぼ完了しました。

これを受けて、今年6月から9名の執行役員のうち3名のみが取締役を兼任する体制へ移行することとしました。

取締役会改革

取締役会改革についてご説明します。執行役員制度を発足させた以上、取締役会も当然生まれ変わる必要があります。そこで、「新しい取締役会」という言葉を設定し、その内容について合意しました。内容は、スライドに記載のとおりです。

業務執行に関する案件審議が中心だった取締役会に、戦略的な案件を提案するという新しい発想を取り入れました。重要と考えられる戦略的議案、例えば投資戦略や人的資本、技術などのテーマをリストアップし、年間議案スケジュールとして計画しました。

以前の取締役会では、執行部の部長による詳細な資料の読み上げ説明に約8割の時間を費やしていました。

新しいルールとして、事前に提供された資料を読んだ状態で取締役会に臨むこと、参加者を原則として取締役、監査役、事務局のみに限定すること、その上で熟議を重ねて合意形成を図ることとしました。

議長については、多様性ある取締役の集合知を最大化し、熟議に基づく合意形成を達成するため、最適な議事の采配を最優先とし、取締役としての自身の意見は他の取締役と同等レベルで扱うこととしました。

2025年2月から「株価と資本コストを意識した経営」を本格的に導入し、社内的にROIC経営を宣言しました。その後、取締役会では株価、ROE、PER、および資本コストのレビューを四半期ごとに実施しています。

昨年6月には、社外取締役である私が取締役会議長に就任しました。今年6月の総会に上程予定の取締役選任議案については、先日の取締役会で、8名中5名が独立社外取締役であることを決定しました。

スライド上部に「取締役会内部の構造的上下関係を撤廃し、取締役会を実質化&『社外化』」といったやや刺激的な言葉が記載されています。

これは、取締役会の過半数を独立社外取締役が占め、かつ議長も独立社外取締役が務めるという2つの条件が同時に満たされない場合、上場企業の取締役会が期待される役割を果たせないという構造的な問題が存在するという認識に基づくものです。

私自身が1年間議長を務めてきて実感したのは、議長の采配権が非常に大きいということです。議案の選択、時間や情報の使い方、議論の整理、合意形成のプロセス、それぞれに恣意性やバイアスが入り込む余地があるため、それだけ議長采配の自由度が高いと言えます。

議長職を執行のトップが兼任している場合、執行部として望ましい方向に取締役会の決議を誘導する動機が入り込む可能性は否定できません。

さらに、執行組織で部下となる社内取締役が執行トップを含めて過半数を占める状況では、実質的に執行トップが取締役会の過半数の議決権を持つに等しいという構造的な問題が生じます。

その結果、取締役会が執行部の意思を追認する機関となってしまうリスクがあるという認識を持っています。スライド上部に記載したメッセージラインには、そのような含意があるとご理解ください。

新役員報酬体系

新役員報酬体系についてです。取締役や執行役員の報酬が何を目的とし、どのような性質の報酬を誰に支払うのかといった基本に立ち返り、当社の報酬体系全体をイチから見直しました。

職責の異なる取締役と執行役員を完全に区分しました。両方を兼任する人には、それぞれの報酬が支払われるという仕組みです。スライド上部の表は取締役報酬を示しています。

取締役は業務執行を切り離しても、取締役としての法律上の基本的な職責や、株主や各ステークホルダーに対する責任は基本的に同じです。この認識に基づき、取締役の基本報酬は、社内外を問わず全員一律としました。

その上で、取締役の役職、例えば代表や議長、委員、委員長といった追加的な役割責任の度合いに応じて、付加的な報酬を設定しています。また、取締役には業績賞与は支給しません。

譲渡制限付株式報酬については、業績に連動しない設計とし、企業経営者としての重責や役割に対する期待を反映するインセンティブとして、取締役全員に付与する予定です。各取締役が就任した時点で決定された株式数を固定し、在任中の毎年7月に付与する仕組みで、擬似的なベスティング方式と言えるものです。

スライド下部には、執行役員の報酬に関する内容が記載されています。基本報酬については、役職に応じて差別化された金額を支給します。執行役員には業績賞与を支給し、ROEのみに連動する完全業績連動型です。

基本報酬を基準に算出される標準賞与額を個人別に設定し、固定された目標ROEに対する実績達成率を乗じた金額が賞与額となります。目標ROEを9パーセントとして固定しており、実績ROEが4.5パーセントであれば賞与は半分、ROEが18パーセントとなれば2倍になる仕組みです。

譲渡制限付株式報酬については、取締役向けの設計とほぼ同じため、詳細は割愛します。

以上が、私からの企業ガバナンスの進化についてのご説明です。

参考資料

スライドに記載されているとおり、当社のガバナンスの進化について、詳しくご理解いただくための開示資料を3つご用意しています。ぜひご覧ください。

【資料リンク】
KOA統合報告書2025
当社取締役会の実効性評価結果の概要に関するお知らせ
取締役候補者の決定に関するお知らせ

ご清聴ありがとうございました。

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