■RIZAPグループ<2928>のchocoZAP事業
「chocoZAP」は、誰もが簡単に毎日の生活のなかで運動する習慣を身に付けられるように作られた、RIZAP発の運動初心者向け「コンビニジム」である。同社は2022年7月から「chocoZAP」ブランドによる店舗展開を開始しており、会員数は2023年8月に日本一、2025年5月には135万人を突破した。ボディメイク「RIZAP」の知見やノウハウを最大限に活用することに加え、RIZAPにしか提供できない独自の「5分でも結果を出せる」メソッドを低価格で実現した。また、体組成計やヘルスウォッチ、AI(人工知能)を搭載した専用アプリ、無人店舗を実現するAIカメラによる監視システム、QRコードを用いた故障状況の即時把握システムなど様々なデジタルツールを活用した事業モデルである。2026年3月期は、会員数拡大のみに依存しない収益構造を目指し、故障対応や清掃などを強化し店舗品質・顧客満足度の向上などに取り組んだ。会員制度の見直しや広告宣伝効率化なども行い、2026年5月の会員数は116.1万人となっている。2025年からはFCによる出店が始まった。
1. トレーニング初心者を対象に“ジムのバリアフリー化”を実現
chocoZAP事業の対象顧客は、主に20~60代の男女であり、筋力トレーニング(以下、筋トレ)初心者である。具体的には、フィットネスジムを現在利用していない層、日頃の運動習慣がない層、運動不足や体のだるさを感じている層、今よりも痩せたいと思っている層などである。人口規模では運動初心者が約1億人、シニア(65歳以上)が約3,600万人、女性(15~64歳)が約3,600万人であり、対象市場は大きい。一方で筋トレ上級者は主な対象ではない。同社では「1日5分のちょいトレ健康習慣プログラム」という利用方法を推奨しており、買い物ついで、会社員の次のアポイントまでの時間や仕事終わり、といった様々なスキマ時間の利用を想定している。
一般的なスポーツクラブの料金は5,000~10,000円/月であるのに対し、chocoZAP月額プランの料金は一律3,278円/月(税込)であり、業界の相場から見ると低価格である。トレーニング中上級者のしっかりトレーニングしたいという市場はレッドオーシャンと位置付けられるが、同社では「初心者のちょいトレ」というブルーオーシャンを見出したと言える。chocoZAPが急成長するなかでも、同業であるエニタイムフィットネス(運営会社Fast Fitness Japan<7092>)やカーブス(同(株)カーブスジャパン)が会員数を減らしていないことからも、新しい顧客が創出されていることがわかる。
2. chocoZAPの社会インフラ化と目標
chocoZAPは会員数100万人を超えて成長しているが、目標・ビジョンからすれば、まだ成長期の前半である。日本のフィットネス参加率は現在4.5%であり、米国の26.1%を参考にすれば、将来的に20%前後に達することは夢ではない。その時のフィットネス人口2,490万人中、chocoZAPの会員数目標は400万人(シェア16%)、店舗数は8,000店舗となる。同社では、「運動をもっと自由に。健康をもっと身近に。そんなあたりまえを日本から世界へ。」というスローガンを掲げ、健康の社会インフラ化を推進している。
3. トレーニング以外のサービスメニューが増加
chocoZAPのサービス内容には「簡単・便利」を徹底的に追求した際立った特徴がある。まず、着替えや靴の履き替えが不要であり、極端に言えば入館から5秒でトレーニングをスタートできる。また、24時間365日※全店通い放題である。必要性の少ないサービスは徹底的に割愛する割り切りもあり、店舗にはスタッフが存在せず、入退館管理やマシン操作の解説などはすべてスマートフォンから行う。シャワールームや鍵付きロッカーもない。RIZAPのノウハウを活用し、筋トレ初心者でも扱いやすい筋トレマシン、トレッドミル(ランニングマシン)・バイク等の有酸素運動マシンを配置し、さらにセルフエステ・セルフ脱毛は追加料金なしで利用でき、大半の店舗で取り入れている(要予約、メンテナンス時間あり)。
※ 一部テナント規制により24時間営業ではない店舗、休業日の店舗もある。
2023年9月には、「セルフネイル」「セルフホワイトニング」「マッサージチェア」「デスクバイク」「ワークスペース」等の新サービスをリリースし順次拡大した。「セルフネイル」では、設置されたネイルプリンターで、397種類に上る豊富なデザインのネイルが簡単に楽しめる。「セルフホワイトニング」は、専用ペーストを塗ってLEDライトを照射し、ホワイトニング専用溶剤とブラッシングを併用して歯の表面の汚れを落とし、歯を白くすることができる。いずれも、一般的には高額で時間のかかるサービスだが、chocoZAPでは、1回10分程度のスキマ時間に追加料金なしで利用できる。
2024年3月には、カラオケ、洗濯・乾燥機(ランドリー)、ピラティス、セルフフォト、キッズパーク、トレサポ、chocoZAPメディカルなどの新規サービスが追加リリースされた。同社では、「ジムを飛び出そう。」という想いの下、これまでのフィットネスジムの固定観念にとらわれず、「美容」「ライフスタイル」「エンターテインメント」などの様々な分野を取り込み、より利便性の高い「コンビニジム」へと進化させる方針だ。多様なサービスを追加料金なしで利用できるため、特に各サービスのエントリー層への普及が期待できる。一度会員になると複数のサービスを利用するため、既存会員にとってなくてはならない普遍的なサービス群に進化していると言えるだろう。新サービス導入店舗では、来館回数、利用者数、入会者数、退会率の改善率のいずれの指標でも新サービス未導入店舗を上回っており、新サービスの導入戦略が消費者の心をつかんでいることがわかる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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