アグリツーリズムとAI時代|雨風太陽社が描く今後の展望
▼雨風太陽社は25年12月期に上場以来初めての経常黒字化を達成し、26年12月期も2,800万円の経常利益を計上する見通しです。

出典:2025年12月期通期 決算説明資料(2026.2.13) P15 – 株式会社雨風太陽
トップラインの本格的な再成長に向けて、同社が成長領域に位置づけているのが、自治体事業と旅行事業の2つです。
<生産者ネットワークを生かしたアグリツーリズム>
きこ「今後はどのような成長戦略を立てられていますか?」
権藤氏「自治体事業と旅行事業が成長領域だと思っています。
自治体事業は、ふるさと住民登録制度もできて、今は市場が開けた瞬間だと思っています。
この波に一番最初に乗っていると思っています。
もう1つ、生産者のもとに訪れる旅行ビジネスをやっています。
これは、僕らの強みである生産者のネットワークを活かした事業です。
僕らを信頼して、ポケットマルシェに商品を出してくれていて、さらに『人が来て良い』『ぜひ来て欲しいから、こういう体験をしてくださいよ』と言ってくれる生産者がたくさんいます。
その人たちの魅力を伝えて、生産者のところを訪れてもらう事業を、今ビジネスとしてスタートしています」
高橋氏「今は、ヨーロッパのアグリツーリズムが一大市場になっています。
都会の人たちがバカンス、長期休暇を農村で過ごしているんですよね。
新しいビルは世界中の都市にあるので、そうではない築150年といった古い建築物に泊まるのが人気です。
農村での滞在に、1泊4~5万円払っているのがヨーロッパです」
日本は小さな土地なのに、47都道府県に特産品があって、農家と漁師が美しい農村・漁村の景観を保っています。
世界に見てもなかなかない豊かな農村が、日本ではまだヨーロッパのようには評価されていません。
ここに、雨風太陽社はチャンスがあると考えています。
<インバウンドが「足元の価値」を再評価するきっかけに>
雨風太陽社は、2025年4月に旅行予約サイト「STAY JAPAN」を譲り受けました。
譲受後のPMI(経営統合プロセス)には課題も残るものの、農泊・地域滞在を広げる基盤として期待されます。
インバウンド観光客を地方の農泊・アグリツーリズムへと送客する流れの構築を進めています。
高橋社長は、インバウンド観光客に日本の農泊が人気となれば、日本人が「自分たちの足元の価値」を見つめ直すきっかけにもなるといいます。
高橋氏「外国で車が売れると日本でも売れるという話があります。
ヨーロッパやマレーシア、シンガポールの人が、日本の田舎の農村旅行に行っていると知ったら、日本の都会の人たちも、改めて自分たちの足元の価値を見つめ直して、農村旅行に行き出すと思うんです」
<AI時代に価値が高まる「田舎にしかないもの」>

AIの普及で世の中の流れがさらに加速するなかで、時間をかけて手作業で食べるものをつくり、生きている実感を得る価値がより際立っていくのではないかとも感じます。
AI時代の到来を高橋社長はどう捉えているのでしょうか。
高橋氏「インターネットの業界に起きてきた30年の変化が、この3年でAIで起きていくと言われています。
そうすると、AIで生成できないものに価値が生まれるじゃないですか。
1つは時間なんですよね。
樹齢1,000年の大木だとか、この集落の歴史は室町時代からあるだとか。
時間はAIで生成できないので。
そして、田舎ほど歴史を重ねています。
もう1つは、プロセスです。AIはすぐに答えを出してしまいますので。
農家も漁師もプロセスを持っていて、このプロセスが価値だと思っています。
そういうAIが生成できないものを並べていくと、田舎にあるものがたくさんある。
AIの世界は本当に際限のない拡張的な合理性を追求しているので、これからも一気に広がって止まらない。
だからこそ、振り子のように、合理性の方へ振れれば振れるほど、そうでないものを求めたくなる人が増えると思います」
雨風太陽社のアグリツーリズム事業は、こうした人たちの受け皿となり得ます。
