■三和ホールディングス<5929>の業績の動向
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の同社グループを取り巻く外部環境は、米国の関税政策を背景とした貿易摩擦の激化と景気下振れリスクに加え、地政学的リスクの影響によるエネルギー価格の高騰等、依然として先行き不透明な状況が続いた。こうした環境下で、同社グループは、「中期経営計画2027」をスタートし、気候変動やデジタル化で変化する社会のニーズに応える高機能開口部ソリューションのグローバルリーダーへ向けた基盤の強化・拡充に取り組んだ。
以上の結果、2026年3月期の業績は、売上高660,712百万円(前期比0.3%減)、営業利益79,095百万円(同1.8%減)、経常利益80,647百万円(同4.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益59,776百万円(同3.9%増)となった。親会社株主に帰属する当期純利益のみが増益となったのは、固定資産売却益などから特別損益が改善したことや、法人税等が減少したことによる。売上高・当期純利益は期初予想を上回ったが、営業利益・経常利益は予想を下回った。売上高は、市場が軟調だったものの、売価転嫁の浸透により予想を1.0%上回った。一方、営業利益は、国内を中心に売価転嫁が着実に浸透したが、数量確保に苦戦し、原材料等のコストアップにより予想を2.4%下回った。
地域別売上高は、市場は軟調だったが、売価転嫁の浸透により、日本・米州は期初予想を上回った一方、欧州・アジアは下回った。また、営業利益では、日本は予想を上回り、全体の業績を下支えしたが、米州・欧州・アジアは下回った。以上から、全社の営業利益率は12.0%(同0.2ポイント低下)となった。同社グループでは、グローバルに事業を展開しており、想定を上回る事業環境変化に影響された決算であったと考えられる。
日本が大幅増益で、好決算に貢献
2. セグメント別実績
(1) 日本
グループの基幹事業を担う日本(三和シヤッター工業と国内子会社)の2026年3月期業績は、売上高2,913億円(前期比1.3%増)、営業利益390.7億円(同10.2%増)とセグメント内で最大の増益率となり、グループ全体の業績を下支えした。売上高は、気候変動対応商品やメンテ・サービスが好調に推移し、加えて売価転嫁が着実に浸透したことで増収となった。営業利益は、数量は減少したものの売価転嫁の着実な浸透により、大幅増益となった。この結果、営業利益率は前期の12.3%から13.4%に上昇し、高い利益率を維持している。日本では、製造、施工から、メンテ・サービスまでの事業を一貫して行っていることが、高い利益率の理由である。
(2) 米州(ODC)
米州事業を担うODCの業績は、売上高2,419億円(前期比1.5%減)、営業利益377.5億円(同9.0%減)であった。売上高は、ドア商品は数量減となったが、開閉機や自動ドアが好調に推移し、現地通貨ベースでは増収であった。営業利益は、売価転嫁は進んだものの、ドア商品の数量減と、一時的要因である工場統廃合後のコスト増が響き、減益となった。
米州では、ここ数年は価格戦略とコスト削減の推進により、利益率は上昇していた。2026年3月期の営業利益率は前年比減益であるものの15.6%と、グループ中で最も収益性の高いセグメントとなっている。ODCは市場シェア2位を占めていることが高利益率の要因だ。コロナ禍で上昇した鋼材価格が下降に転じた後も、同社では製品価格を維持したことから高水準の利益率が続いている。
(3) 欧州(NF)
欧州事業を担うNFでは、売上高1,150億円(前期比0.6%増)、営業利益21.8億円(同36.0%減)であった。ウクライナや中東情勢など厳しい経済環境を反映して、数量の減少により現地通貨ベースでは減収となった。営業利益は、売価転嫁に取り組むが、数量減とコスト増により大幅減益であった。コスト増は、インフレとエネルギー価格上昇に伴うものだ。その結果、営業利益率は、前期の3.0%から1.9%へと低下した。欧州事業では複数の国に跨り、法規制やデザイン等のトレンドが異なり商品の規格化が難しいことによるコストも、他地域と比較し低めの利益率の要因となっている。
(4) アジア
売上高130億円(前期比15.3%減)、営業利益1.0億円(同72.8%減)であった。売上高は、台湾やベトナムは増収だが、中国の華東事業の回復の遅れと香港の前年の反動減により減収となった。また、営業利益も、同様の理由から大幅減益となった。アジアで大きなウェイトを占める中国東部の華東事業では、不動産不況から市場環境が悪く、販売先を日本のゼネコン向けからローカル企業向けへの転換を図っているが、まだ軌道に乗っていない。その結果、営業利益率も前期の2.4%から0.8%に低下している。
3. 財務状況と経営指標
2026年3月期末の資産合計は、主に投資有価証券の増加等により、前期末比13,188百万円増の547,798百万円となった。負債合計は、主に仕入債務の減少等により、同13,603百万円減の196,813百万円となった。純資産合計は、主に利益剰余金やその他有価証券評価差額金の増加等により、同26,792百万円増の350,984百万円となった。
以上の結果、自己資本比率は前期末比3.4ポイント上昇の63.6%で、最新データである2025年3月期決算短信集計による東証プライム市場上場の全産業平均33.6%を大きく上回る。加えてD/Eレシオも前期の0.14倍から0.13倍に低下しており、財務上は十分な安全性を確保している。また、同社のROA(総資産経常利益率)は14.9%(前期比1.5ポイント低下)、ROE(自己資本当期純利益率)も17.8%(同1.2ポイント低下)で、いずれも東証プライム市場全産業平均の4.5%、9.4%を大きく上回り、高い収益力も兼ね備えていると評価できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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