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INEST Research Memo(5):顧客接点を資産化しLTV向上を追求

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■中長期の成長戦略

1. 中期経営計画の概要
INEST<7111>は2029年3月期を最終年度とする中期経営計画(2025年3月期~2029年3月期)を推進している。中期経営計画の位置付けは「経営基盤の強化フェーズを経て、新たなステージへの挑戦フェーズへ」であり、収益基盤の強化に向けて取り組んでいる。

同社はこれまでM&Aを活用した事業規模拡大を推進してきたが、現在は収益性と資本効率を重視するフェーズへ移行している。中期経営計画ではアイ・ステーション譲渡を含む事業ポートフォリオの最適化を進める一方で、既存事業とのシナジーが期待できるM&Aについては引き続き検討する方針である。利益安定フェーズへの移行後には株主還元施策の検討も視野に入れている。

最終年度となる2029年3月期には、売上収益25,000百万円、営業利益2,000百万円、ストック利益2,500百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益1,200百万円を計画している。2025年3月期実績との比較では、営業利益は約10倍、ストック利益は約2.1倍、親会社の所有者に帰属する当期利益は約29倍となる計画であり、利益成長を重視している。

2. 重点戦略
(1) 事業の選択と集中
同社は「新入居者サポート」「宅配水販売」「ライフコンサルティング」を重点領域として位置付けている。コンタクトセンター、イベントブース、店舗販売という既存チャネルを活用しながら、市場内でNo.1ポジションを目指せる商材へ経営資源を集中投入する方針である。また、既存チャネルを活用した新市場創出やM&Aも成長戦略の一環として位置付けている。

(2) ストック利益の最大化
同社は一時金収益に依存した収益構造から脱却し、継続課金型収益の拡大を目指している。中期経営計画ではストック利益を2025年3月期の1,163百万円から2029年3月期には2,500百万円へ拡大する計画であり、構成比も引き上げる方針である。また、ストック商材については厳格な選定基準を設けている。永年ストック条件であること、解約率が低いこと、生産性高く獲得件数を伸ばせること、自社プロダクトとして高収益が見込めることなどを条件としており、収益安定性を重視した商品戦略を推進している。

■株主還元策

成長投資を優先し企業価値向上を追求

同社は現在、配当を実施しておらず、2027年3月期も配当は予定していない。これは、企業価値の最大化こそが最大の株主還元と考えているからである。こうした観点から、成長投資を優先する方針を掲げており、当面は営業基盤の拡充、自社会員サービスへの投資、人材育成などに経営資源を重点配分する。

同社の事業モデルは、顧客接点を起点として継続的なストック利益を積み上げる構造であるため、新規顧客獲得やサービス開発に対する投資が将来の利益成長につながりやすい。現在はそうした成長機会が豊富に存在すると考えられることから、内部留保を活用した投資を優先している。また、中期経営計画では顧客接点数及び契約数の拡大、自社会員サービス比率の向上、ストック利益の増加などを重点課題としており、これらが計画どおり進展した場合には、将来的な利益水準やキャッシュ創出力の向上につながる可能性が高い。

弊社では、現時点における同社の株主還元方針について、配当による短期還元ではなく、成長投資による企業価値向上と位置付けていると考えている。今後は中期経営計画の進捗とともに、ストック利益の積み上がりやキャッシュ・フローの改善状況が株主還元政策の変化につながるかが注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中西 哲)
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