「今後はもっと嫌われる」デュポン
それよりも、この企業は創業時から弾丸を敵味方構わず売って誰かが死ねば儲かる「死の商人」だったという歴史が今も語り継がれて、恐れられている企業でもある。
それだけではない。この企業はベトナム戦争時の「枯れ葉剤」にも関わったことでも知られている。
1960年代当時、アメリカは南ベトナム解放戦線と熾烈な戦いを繰り広げていたが、ベトナムの広大なジャングルに手を焼いたアメリカ軍は、このジャングルを一掃するために空から大量の枯れ葉剤(ダイオキシン)をばらまいた。
これが想像を絶する悲惨な結果を招いた。ベトナムで多発する奇形の子供たちは、この枯れ葉剤によって生み出されたものだったのである。
実はこの枯れ葉剤を大量に製造して米軍に売りつけていたのは、デュポンよりもダウ・ケミカルやモンサントの方である。そのため、ダウ・ケミカルもモンサントも、企業イメージはこれまたディポンと劣らず変わらず最悪のものがある。
このデュポンとダウ・ケミカルが合併してダウ・デュポンとなるのだが、場合によっては、これまで以上に嫌悪される企業になる可能性もある。
その理由は、今後のビジネスの中核が「遺伝子組み換え種子」になる可能性が高いからだ。
「遺伝子組み換え種子」は、自然を破壊する凶悪な化学技術であると認識されている。
デュポンの弾丸や枯れ葉剤の技術が人類に大きな悲劇を生み出したのと同じく、今後は「遺伝子組み換え種子」が人類の災厄になる可能性もある。それであれば、なぜこの企業の株式を保有する必要があるのか?