米国は世界の警察の座を降りて、銀河系の警察の座へシフトする
宇宙軍隊の創設は、長い間、宇宙条約第4条ほかによって禁止されていましたが、今回、米国が、それを無視するかのように宇宙空間における軍事展開を提唱しだしたことは、「このちっぽけな地球の隅々で、既存の軍隊では制御できない未知の脅威の存在」をアピールすることが狙いとしてあるのです。
この法案のもう1つの目的は、なんと、「銀河を守る」ことです。CNNの記者は、幾度もこみ上げて来る笑いを飲み込みながら記事を書いたことでしょう。
米・国防総省は、「何かから地球を守る」物語の優秀な創作者です。
平和な家庭のドアを蹴り破り、首都を爆撃して政府を倒し、やがて都市を占領して世界を征服してしまう「何か」が、今回は、エイリアンとUFOということになっているのです。
スピルバーグとルーカスは、いったい何本の宇宙映画をつくってきたでしょう。彼らは、地球人が、潜在的に「地球の破滅」が好きであるということを知っているのです。
米国という国は、常に新しい脅威を発明しては、国民に自分自身を守るように追い込んできました。その都度、軍事予算を増やしながら……。
米国は、世界でもっとも進んだ民主主義国家と言われていますが、実態は、ペンタゴンによって主導されている軍事国家です。
今、ペンタゴンの視野狭窄が、再び「パレスチナのナクバの大参事」を引き起こそうとしています。
言い換えれば、米国の戦争経済のために人為的につくりだしてきた仮想敵こそがブローバックとなって米国を攻撃してきたのです。そして、さら多くの軍事費を投入して、もっと多くの仮想敵をつくりだすという悪循環を招いてきたのです。
「ブローバック(Blowback)」という言葉はCIAの用語で、外交政策の失敗が原因となって自国にもたらされる予期できない負の結末のことを概念的に言い表した言葉です。
場合によっては、米国の有権者が支持していた政権が、自国に敵対的になってテロを仕掛ける場合などを指します。
米ソ冷戦時代が終わると、米国の威信を保ち(それはドルの覇権を維持することによって成り立ってきた)、戦争経済を続けていくために新しい対立軸が必要となります。
ワシントンと欧州が生成したISISも、そうした目的の下で育まれたのです。
米国の有権者は、「ISISの打倒は世界共通の目的だ」と叫びます。ワシントンのディープ・ステートは、ISISをなるべく延命させて、軍事産業を潤そうとしていました。
しかし、プーチンの空爆によって、アッという間に制圧されてしまったのです。プーチンは、ブローバックを巧妙に利用して延命を図ってきた米国の退路さえふさいでしまったのです。