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KDDIはなぜ携帯料金を値下げしたのか?MVNO対策とは別の本当の狙い=シバタナオキ

格安スマホの台頭で打撃を受けているKDDI(au)がついに値下げに踏み切りました。ドコモやSoftBankは追従するのか?各社の決算書を見比べながら分析します。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2017年7月14日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

後戻りできない先手の値下げ。今後他のキャリアは追従するのか?

足下はドコモの「一人勝ち」状態

KDDI、苦渋の「格安」新興勢に押され値下げ」という衝撃的なニュースが出ました。

KDDI(au)は10日、スマートフォン(スマホ)の主要プランを最大3割値下げすると発表した。平均で2割という異例の下げ幅で、格安スマホへの顧客流出を防ぐ。KDDIは大手3社のなかでも格安スマホ普及による打撃が大きく、いわば一人負けの状況。
<中略>
実際、格安スマホへの顧客流出はKDDIの屋台骨を揺るがしつつある。同社は今年2月に契約回線数の内訳を初めて公表。回線数全体は伸びているものの、重複を除くユーザー数が少なくとも15年6月末以降、減少している実態が明らかになった。15年は格安スマホが市場で存在感を高めていった時期。ユーザー数の減少は今も続き、18年3月末には2,477万件と今年3月からさらに37万件減る見通しだ。

出典:KDDI、苦渋の「格安」 新興勢に押され値下げ – 日本経済新聞(2017年7月10日配信)

という具合にKDDIが苦しい状況のようですが、直近の決算資料から詳しく見てみたいと思います。

まずはKDDIの決算を見ていきます。

<KDDIの決算>

※画像出典:KDDI株式会社2017年3月期決算(2017/5/11)※PDFファイル

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自社回線とMVNO回線(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者:格安スマホ)回線の内訳が公開されていますが、グラフを見れば分かる通り、auの契約者数が右肩下がりで減少してしまっていることがよくわかります。

一方で、MVNOの契約数は右肩上がりで成長していますが、スライドの下の注釈にあるように、この数字は他の事業者のネットワーク回線を使用するサービスも含まれているため、事実上多数のドコモの回線を利用したMVNOの契約者数も含まれていると思われます。

次にソフトバンクを見てみましょう。

<ソフトバンクの決算>

※画像出典:ソフトバンクグループ株式会社2017年3月期決算説明会(2017/5/11)※PDFファイル

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ソフトバンクの契約回線数はワイモバイル(2014年7月にブランド名を統一して開始したMVNOのサービス)を含んだ形となっていますが、1年間で36万の「微増」と増加傾向になっています。

ソフトバンクはドコモのMVNOを販売することはしていませんので、自力で少しずつ回線数を増やしていることになります。

最後にドコモを見て見ましょう。

<ドコモの決算>

※画像出典:株式会社NTTドコモ2016年度決算説明会(2017/4/27)※PDFファイル

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ドコモは携帯電話の契約者数が1年間で約400万件増加しています。中でもスマートフォン、タブレットの利用数が約300万件増加していますが、この成長にはMVNOが大きく寄与していると思われます。

いわば「一人勝ち」の状態と言えるでしょう。

回線数で見ればMVNOで圧倒的なシェアを占めるドコモが大きく数字を伸ばしていることになります。

そこで、再度前出の日経新聞の記事を見てみると、

今回の大幅値引きは2018年3月期に200億円程度の減収要因になる見通し。しかし田中社長は「格安スマホへの流出を阻止するため、料金値下げという即効薬が必要だった」と強調する。

出典:KDDI、苦渋の「格安」 新興勢に押され値下げ – 日本経済新聞(2017年7月10日配信)

という理由でKDDIが値下げに踏み切ったというのが今回の背景です。

今回は、「なぜ今値下げに踏切らざるを得なかったのか」、「今後他のキャリアが追従することはあり得るのか」という点を少し考察してみたいと思います。

Next: 携帯キャリアが「格安」に対応する2つのオプション

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