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パチンコの出玉規制強化で起こる変化を「シャープレシオ」で理解する=高梨彰

「パチンコ出玉規制強化」で出玉が従来の3分の2に規制されるそうです。相場をやっている私がまず感じたのは、「自動的にシャープレシオが下がるのね」でした。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)

※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2017年7月11日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:高梨彰(たかなし あきら)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。

規制で出玉3分の2へ。パチンコ屋が日本国債市場に見えてきた?

シャープレシオ低下でパチンコの「うまみ」がなくなる

パチンコ出玉規制強化へ」ということで、出玉が従来の3分の2に規制されるそうです。依存症の方の話は後にして、まず相場をやっている人として感じたのは、「自動的にシャープレシオが下がるのね」でした。

シャープレシオ(Sharpe Ratio)は、単純化すると「リターン/リスク」です。リターンは手元に残る利益、リスクは値動き。パチンコで言えば、最大の利益と最大の損失の幅、そんなところです。

今回の規制がかかると、自動的に最大の利益が3分の2となります。同時にシャープレシオ上の分子に当たるリターンも減ります。一方で、最大の損失は変わりません。ということで、シャープレシオは低下。「うま味がなくなり」ます。

私事ですが、以前、パチンコ・パチスロを生活の足しにしていた時期がありました。そして、やめた理由を改めて考えると、まさにシャープレシオ低下がその理由です。

当時はパチスロの規格が4号機から5号機へと変わり、出玉の上限こそ無かったものの、出玉が増えるのにやたらと時間がかかるようになりました。「時給」が減ったわけです。加えて、同じ時期に禁煙もしました。ホールはどうしてもタバコのにおいが気になります。一度やめてしまうと、なかなかあの中にはいられないものです。

ただ、いま思えば、依存症はなかったようです。生活の足しにしていたくらいなので「負けがこんでムキに」がなかったことも一因かもしれません。また時間がやたらとかかるため、時間がもったいなく感じるようになったこともあった気がします。

パチンコと日本国債市場の共通点?

パチンコと有価証券投資の違いはと考えてみると、「時間の価値」がパッと思い浮かびます。パチンコは遊技をすることで時間を潰すことの効用は得られますが、それだけです。これに対して有価証券投資では、投資をすることで後に配当や利息を得ることが可能です。

言い換えれば、利息・配当を考慮しない投資はパチンコと近い性格、とも言えます。パチンコの出玉じゃなくても、相場変動が減り、利益を得る可能性が減れば、市場参加者は退出していきます。無論、日本国債市場はその代表格です。日本株式市場にも変動率を低下させる要因がかなり強力に作用していますが、大丈夫でしょうか…。

ところで…

ところで、「パチンコ出玉規制強化へ」の記事に絡んでパチンコ依存症に詳しい方々のコメントが並んでいましたが、その中で気になる言葉がありました。

「(パチンコ店内の)騒音に耐えられないため、お店でプレイしたことは一度もありません」です。これはダメです。薬物依存症を周囲の人が経験するわけにはいかないでしょうが、体験もしないで是非を論じたところで、何の説得力もありません

この方、実名を出して仰っているので言葉に責任はお持ちなんでしょうけど、ネットの匿名コメントは無責任なものが多過ぎて、本当に面食らいます。私なんぞでもネット上で匿名の人から「死ね」と言われたことありますが、何と申しますか、世の中に言葉を発することに対して、もう少し思慮があっても良いのではないかと。

相場関連のコメントも酷いもんです。経験の裏付けのないコメントは、天下の経済紙であっても使えません。ご注意下さい。

今回のまとめ

  • パチンコ出玉規制でシャープレシオが下がる
  • 有価証券投資では、時間が味方
  • パチンコ屋さんがJGB(日本国債)に見えてくる

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高梨彰『しん・古今東西』』(2017年7月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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