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消えた中国包囲網。日本はこのまま「一帯一路」の野望に飲み込まれるのか?=斎藤満

トランプの中国接近の意味

この「一帯一路」構想は、その大きな野望とは裏腹に、具体的な計画、準備が進んでいないので、日本企業が慌てて参画しても計画が頓挫し、持ち出しだけで終わるリスクがあります。

それよりなにより、トランプ政権の「親中」路線がまやかしと思われます。そもそも、「黄禍論」のトランプ氏が、黄色人種の安倍総理や習近平主席を好きだということ自体、眉唾物です。

それはさておき、トランプ陣営の中国に対する基本姿勢は「米中冷戦」であって、決して中国にシンパシーを持ったわけではありません。

一見、親中派に転換したかに見えるのは表向きだけで、これは中国に北朝鮮の核ミサイル開発を抑止させるための「アメ」の面と、今後米国が習主席の下で中国と冷戦を進めることを前提に、まずは習主席に秋の共産党大会で絶対的地位を確保させたいがゆえの「協力」の面があります。

このうち、まず北朝鮮の管理は、裏で米国のネオコンやユダヤ系が入り込んで北朝鮮に影響力を行使している面があるだけに、中国の成果は期待しにくい面があります。

ある意味では北の核ミサイル開発を遅らせる「時間稼ぎ」の面があり、しばらくの間、北からイランに核やミサイルの提供がなされないようにする目的が考えられます。最後は「結果が出ない」ことを理由に、対中強硬論に戻る兆しはすでに見られます。

秋以降、トランプの「中国叩き」再開へ

また秋の中国共産党大会で習国家主席の地位が安泰となれば、トランプ氏の目的は達成されたことになり、そこからは遠慮なく中国叩きに戻り、冷戦体制の構築を進めることになります。ウィルバー・ロス商務長官などは、共産党大会が終わるのを待ちきれずに、早くも「米中包括経済対話」のなかで、中国に無理難題を突き付けています。

7月19日の第1回包括経済対話の冒頭で、ロス商務長官は中国の巨額の対米黒字を批判し、早急に米中関係を公正で公平、かつ相互的なものにするよう求め、中国が米国製品をより多く輸入する形での不均衡是正を進めたいとしました。

会議の中で、米国は中国に対して、鉄鋼などの過剰生産能力を解消しろと迫り、中国からの鉄鋼輸入に高率関税をかけると脅しをかけ、さらに中国金融サービスへの米国企業のアクセス、外国企業に対する中国企業への出資上限の引き上げ、撤廃などを迫ったようですが、中国はこれらに難色を示し、共同記者会見も声明文もまとめられないまま終わりました

つまり、トランプ政権の「親中派」転換は見かけ上のもので、せいぜい一時的で、少なくとも秋の共産党大会後には、改めて対中国の強硬論が復活すると見られます。

その時には巨大な貿易不均衡を力ずくで是正し、市場開放、金融の自由化、国有銀行への出資、経営介入、南シナ海への進出牽制、韓国への「THAAD」配備など、改めて中国攻勢を強めることになるでしょう。

Next: 日本の運命は「トランプの次の一手」を読み切れるかにかかっている

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