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「訪日外国人」という危険な勘違い。観光立国で日本経済は復活しない=小浜逸郎

外国人がいくらお金を落としても、それだけではGDPは増えない

訪日外国人が増えることを素直に喜べない理由のもう1つ。

じゃんじゃん高級ホテルの建設でも進むなら話は別ですが、実際には、サービスの悪い民泊の増加による料金低下競争が起きています。老舗旅館などが経営難で閉鎖されていきます。デフレ不況期にこういうことが起きると、移民による賃金低下競争と同じで、日本の経済全体に悪影響を及ぼすのです。

さらに、次の点が重要です。「旅行収支」が1.3兆円の黒字と聞くと、それだけで日本経済の復活に貢献するかのように思ってしまいます。観光のにぎわいというのは目立ちますし、外国からたくさんの人がやってきて日本の土地を踏んでくれることは、日本が国際的に認知されて、何となく繁栄につながるかのようなお祭り気分に国民を誘います。

しかし、「旅行収支」とは何でしょうか。要するに、旅行によって外国人が日本に落とすお金(収入)と、日本人が外国に落とすお金(支出)との単なるバランスを示す数字です。日本人にお金がなくて海外旅行にあまり行かなくなれば、それだけで黒字幅は増えます。

知っておくべきなのは、旅行収支は、GDPに算入されないという事実です。旅行収支は経常収支のうちのサービス収支の一種ですが、経常収支でGDPに算入されるのは、純輸出(輸出額-輸入額)だけです。

GDPは、次の恒等式によって算出されます。

Y(GDP)= C(消費)+ I(投資)+ G(政府支出)+ NX(純輸出)

ここで言うまでもなく、消費や投資や政府支出とは、国内における日本国民による支出(=他の「日本国民」にとっての所得)を指しています。つまり、外国人がいくら日本にお金を落としても、それだけでは、GDPの増加にはつながらないのです。必ずしも内需(国内生産)が増えるわけではありませんからね。一方で、国内需要にもとづく財やサービスの生産が大きく落ち込んでいれば(いるのですが)、何にもなりません。

Next: 日本経済が好転していると誤認させるマスコミの罪は大きい

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