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【米国】製造業危機? 米フォード、メキシコ工場建設を中止など

米フォードモーターは3日、メキシコでの工場新設を取りやめ、代わりにミシガン州の工場で電気自動車と自動運転車を作ると発表しました。フォードはメキシコで小型車を作り、アメリカに逆輸入する計画でしたが、トランプ次期大統領がこれに高関税をかけると公言。同様にゼネラルモーターズトヨタにも矛先を向けています。

トランプ氏は、エアコンのキャリアを始め、今回はトヨタのメキシコ投資にも介入しています。トヨタのメキシコ投資は実際はグアナファト州ですが、バハ・カリフォルニア州などと言い、全く知識がいい加減にもかかわらず、メキシコ投資はありえないとつぶやき、トヨタ側も困っていると思います。

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実は、トヨタはアメリカの自動車業界の中では最もアメリカで雇用を作った会社です。この20年に限れば、他のアメリカの大手自動車会社はリストラしましたが、新しい雇用をそれほど生んでいません。トヨタはその点をきちんと説明するべきです。

まずは今回のメキシコ工場はグローバル基地であり、アメリカにも一部を輸出するものの中南米などにも輸出するということ、また、世界中で52カ所の拠点を持ち、アメリカの自動車産業については2つの大きな貢献をしていること(1つはアメリカ自身でこれだけのものを売れるようにしたこと、そしてもう一つはトヨタ傘下の部品会社も多数、アメリカに連れてきたこと)で、この貢献を見てくださいと言うべきなのです。

そこで何百万人もの雇用を作ったと伝えたうえで、今回はグローバル戦略の一環としてメキシコに工場を作るものの、その多くはメキシコ国内や中南米に向けたもので、アメリカにも一部輸出するものの、逆にアメリカで作ったトヨタ車も中南米にも輸出するのだという説明を、落ち着いてすれば良いのです。Twitterでノーなどと言う短気な人なので、今回は慌ててフォードのように止めるとは言わずに、向き合って話せば良いと思います。トヨタはここでパニックに陥る必要は全くないのです。

この20年を見ればトヨタのアメリカにおける躍進は驚くべきものがあり、トヨタ系列の部品の会社がほとんどアメリカに来たという大変大きな貢献をしているのです。またこれはデトロイトの三社にも非常にプラスになっているのです。こうした点をきちんと理解させれば問題は無いはずです。ダメなら私が言って演説しても良いと思うほどです。私はこの問題については日米貿易戦争の頃から深く研究しているからです。

ちなみにメキシコのメーカー別新車生産台数を見ると日産が一位です。日産はメキシコでの生産を40年以上やっています。にもかかわらず日産にはまだその矛先は向かっていません。次いで二位にGMが続きますが、実はフォードはもっと下位で五位の生産台数です。さらにトヨタはその中でも最も下位なのです。今回はトランプ氏が大統領になったそのすぐ後の週にメキシコ工場の鍬入れ式というタイミングだったので、バツの悪い状況ではありました。

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グローバルマネー・ジャーナル』(2017年1月11日号)より抜粋
※記事タイトル、太字はMONEY VOICE編集部による

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