「取り残されたくない」という感情は非合理を生む
バブルは崩壊してからバブルと分かる。バブルの最中はそれがバブルであると指摘があっても誰も気にしない。相場が強い時は、「いつか弾ける」と思ってもなかなか弾けないからだ。
たまに調整して「バブルが弾けたのか?」と思うと、そこからさらに暴騰したりする。だから次第に誰もが強気になっていき、バブルの真っ只中で降りる人は誰もいなくなる。
バブルの最中に最も儲かるのは誰か。それは、現金で買っている人間ではなく、信用で買っている人である。全財産を注ぎ込んで極度のレバレッジをかけて全力投入している人が一気に儲かっていく。
あちこちで「1億儲かった」「2億儲かった」という景気の良い話が飛び交う。だから、人々はより強気になって全財産を注ぎ込む。そして、バブルが崩壊するまで、その強気は大成功を収める。
これが「バブルに巻き込まれる理由」だ。
人々は、まわりを見ているうちに、「取り残されたくない」という心理でいっぱいになるのだ。取り残されたくないがために高いところで全力買いするのである。
もちろん、それで一時は儲かる人もいる。しかし、市場が逆流したらどうなるのか。
最高度のレバレッジを賭け、信用で買っていた人から順番に財産を吹き飛ばしていく。そして、最後には煽られていた人たちが全員弾け飛んで死ぬことになる。
金融市場では、そうやって財産を吹き飛ばした人で死屍累々たる光景となっている。
「取り残されたくない」という気持ちは、合理性を失わせる非常に危険な感情である。金融市場では、この「取り残されたくない」という気持ちがワナとなる。