増え続ける「買い物弱者」
最近、地方で買い物ができずに孤立する「買い物弱者」の問題が表面化しつつある。
地方は人口が少ないので、そこでビジネスをしても割が合わない。だから地方に進出するビジネスは少ないし、逆に地方のビジネスはチャンスを求めて都会に向かう。
仕事が消えれば、若者も消える。地方に残されるのは常に高齢層である。高齢層は消費が弱い。だから地方の個人商店は売上が上がらず、店主の高齢化も相まって次々と廃業を余儀なくされていく。
地方で暮らすというのは、不便と隣合わせである。都会ではどこにでもあるファストフード店やコンビニも採算が合わないので進出しない。
そこに今まであった個人商店さえも消えていくのだから、地方ではモノを買いたくても買えない人たちが大量に出現しているのである。
地方は、もはや買い物すらできない陸の孤島に
2015年の経済産業省調査では、こうした60歳以上の買い物弱者数は700万人いると試算している。
若年層であれば、こうした環境であっても「インターネットで買い物すればいい」と考える。しかし、高齢者はそんなわけにいかない。
高齢層は年齢層が高くなればなるほどテクノロジーから疎くなり、インターネットの基本さえ分からない。
それだけではない。人口が減り、出歩く高齢者も減っていくと、交通機関も赤字経営となって維持できない。電車は走らなくなり、バスの路線もなくなり、交通はいよいよ不便になる。
銀行も、病院も、郵便局も、赤字経営になれば撤退していくしかない。当然のことながらATMもない。
そうなれば、地方は陸の孤島も同然の状態となり、いくら郷土愛が強くても、そこで暮らしていけなくなってしまう。こうした状況が延々と続いており、少子高齢化によって状況は悪化するばかりだ。