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新元号、皇室の反対で本命封印か。安倍首相の方針転換と、マスコミによる「安」の刷り込み=世に倦む日日

元号選定に関わった面々は4月1日にわかる?

情勢的には、少なくとも3月中旬までは、「国書出典」が既成事実になっていたと言っていい。安倍晋三氏が国書に拘るのは、言うまでもなく反中国のイデオロギー的衝動からであり、すなわち宣長的・国学的な漢意(からごころ)排除の先鋭なナショナリズムに動機づけられた妄動に他ならない。日本会議のイデオロギーをこの政策機会に直截的に投射した方針判断だ。櫻井よしことか、長谷川三千子とか、大原康男とか、毒々しい極右ブレーンの面々が耳打ちする姿が浮かぶ。

日本の元号を漢籍出典のコードから解放し、漢意(からごころ)排除の新ルールにアラインさせることは、中国文化排斥の国粋主義者たちの悲願だったと言ってよい。とりわけPRCに対して敵意と憎悪を剥き出しにし、CPC打倒とPRC解体という政治目標の達成をレゾンデートルにしているファナティシズム集団の日本会議は、この機会にどうしても元号を国書出典に変えねばならず、漢籍出典の方式が従来どおり踏襲されることは生理的に耐えられない不具合なのに違いない。

考案を委嘱した国文、漢文、日本史、東洋史の専門家について、菅義偉氏はそれが誰なのかは公表しないと言ったが、同志である日本会議系の極右学者が指名されていることは想像に難くない。

私は、これらの面々はすぐにペラペラ喋り出すだろうし、自慢したい者が周辺に内幕を漏らし始めるだろうと予感している。文化的教養ではなくイデオロギーの契機が突出・支配し、安倍晋三氏と仲間たちが私的欲望を満足させる過程となった今回の元号選定では、内面に緊張感や倫理感を欠き、秘密を厳粛に守るということが難しいと思われる。

安倍晋三氏は4月1日に談話を生中継して新元号の宣伝式をやるらしいが、それをやれば、当然、誰がどういう思惑で考案したかが類推・探索されることになる。

本命の元号案を変更か

3月中旬までは、国書出典への方式転換を強調し、選抜する2文字も純血主義と固有主義で貫徹するつもりだったのが、発表まで1週間と迫った時点で、急に態度を日和らせ、国書と漢籍の両方に併存するコンパチブルな熟語にすると言い出した。日本会議的・宣長的な強硬なナショナリズムの拘泥から離れた。

つまり、ここで方針を変更している。おそらく、本命の元号案も変えたのだろう。

なぜ安倍首相は方針を変えたのか

なぜ、安倍晋三氏は方針を変え、本命を変えたのか。

理由として考えられるのは、東宮(皇室)の抵抗しかない。皇太子(と両陛下)が、日本会議的なイデオロギーに染まった元号になることを快く思わず、拒否の内意を内閣に伝えたのだろう。

最近の皇室は、徐々に言論の自由を獲得・拡大する方向に進んでいる。聾唖たるを強制する束縛が緩んでいる。もし、2月下旬から始まった安倍晋三氏による皇太子への新元号選考の調整と説得が、皇太子のリベラルな思想信条を傷つけるもので、安倍晋三氏のエゴが皇太子に不快と苦痛を押しつけるものであったなら、その真相は、かなり早い段階で周辺に伝わり広がることになるだろう。それは、安倍晋三氏の不敬として、皇室に対する不遜な冒涜として歴史に刻まれる結果になる。安倍晋三氏(日本会議)は妥協させられたのだ。

25日のNHK-NW9で、西安の碑林博物館を訪れて「地平天成」の字句の前に立つ天皇陛下の映像を見たので、27日の日テレの報道は納得がいく。平仄(ひょうそく)が合う。

どうやら、安倍晋三氏(日本会議)は妥協して折衷案を考え出した可能性がある。

再び3月1日の日テレの記事を検証したい。ここには、「政府関係者によると、今月中旬と下旬に2回さらに説明を行うことを検討している」とあり、安倍晋三氏が3回も皇太子と面会するつもりだったことが書かれている。

結局、2月22日と3月29日の2回だけになった。皇太子が安倍晋三氏の無遠慮で無神経な「内奏」行為を嫌い、新元号を2人で相談して合意の上で決めたかのような形式が既成事実化されるのを避けたのだろう。

いずれにせよ、こうして右翼のイデオロギー的策謀が挫かれたことは歓迎すべきことで、安堵すべきことではある。

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