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排ガス不正問題で揺れるフォルクスワーゲンの“見逃せない強み”=栫井駿介

VWの価値はアウディ、ポルシェにあり

VWは実に12ものブランドを傘下に抱えています。トヨタが「トヨタ」「レクサス」の2種類に絞っているのとは対照的です。最も販売台数が多いのは「フォルクスワーゲン」ですが、その他に「アウディ」「ポルシェ」「ベントレー」など、日本でのおなじみの、それも高級車に分類されるブランドを持っています

下のグラフは、ブランド別の営業利益率の比較です。これを見ると、ポルシェの営業利益率が15.8%、ベントレーが9.7%、アウディが9.6%です。一方、フォルクスワーゲン(VW Passenger)は2.7%しかありません。

出典:Volkswagen Annual Report 2014

出典:Volkswagen Annual Report 2014

つまり、VWの収益源は最大ブランドのフォルクスワーゲンではなく、ポルシェ・アウディなどの高級車ブランドだということです。売上高を販売台数で割った1台あたり販売金額は、フォルクスワーゲン約280万円に対しポルシェが約1,200万円、アウディが約500万円、ベントレーは約2,000万円にもなります。

ポルシェのような高級車を買う人が、排ガス規制に敏感になるとは思えません。今回の不正でフォルクスワーゲンブランドの販売台数が減少したとしても、高級車ブランドで手堅く稼ぐでしょう。これから高級車が伸びる中国で基盤を築いていることも大いに期待が持てます。

制裁金や賠償費用の支払いで経営が大きく揺らぐことさえなければ、VWの価値は盤石と言えそうです。VWは3月の決算発表を延期し、4月中に行うことを公表しています。その際は上記のことを頭に入れてニュースを見ると面白いかもしれません。

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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2016年4月1日号)より

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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