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「豚違法解体」ベトナム人ら不起訴に。遠のく家畜窃盗の真相解明と深まる分断

豚を違法に解体したとして、と畜場法違反容疑で10月に逮捕されたベトナム国籍の技能実習生の男性4人に対し、前橋地検は全員を不起訴処分にしたと報じられ、多くの非難の声があがっている。

報道によると、4人の中には「豚を切って内臓を取った」と容疑を認める者がいるいっぽう、否認する者もいたという。また、豚の毛は見つかったが、解体した客観的な証拠は見つからず。さらにSNSに投稿された解体の様子の画像から投稿日はわかったものの、実際に解体した日の特定には至らなかったとしている。

なお前橋地検は、不起訴にした理由を明らかにしていない。

「これだから日本はナメられる」との声も

北関東で相次いでいる家畜の窃盗事件との関連も疑われたこの事件。しかし、それに関しては何ら進展せぬまま決まった不起訴処分に、ネット上は「どうして不起訴なのか」「前橋地検は無能」といった批判であふれている。

また、「これだから日本は犯罪者天国だとナメられる」といった風に、今回の判断によって外国人犯罪がさらに増えるのではないかと危惧する声も。

そのいっぽうで、と畜場法違反のルートから窃盗容疑まで辿っていくのはそもそも難しかったのでは、といった意見も。また窃盗事件の全貌解明には繋がらなかったものの、警鐘を鳴らす意味では意義があったと評価する声もあった。

強制送還を求める声が多数も実際は?

いっぽう、今回不起訴になった4人に対しては「強制送還になるんだよね」といった声も。なかには、もし起訴すれば血税から裁判費用が賄われてしまうため、不起訴にして国外退去にするのではという意見もあがっている。

ただ、今回の事件で不起訴になった4人が強制送還になるかは、まだ微妙な情勢だ。

豚の違法解体に関しては、埼玉でも同様な事件があり、ベトナム国籍の男性1人が11月にと畜場法違反容疑で逮捕されている。と畜場法違反容疑に関しての処分はまだ決まっていない模様だが、実はこの容疑者はすでに出入国管理法違反の疑いで逮捕され、その後起訴されているという。

入管法違反で起訴になったとなれば強制送還の対象となるようだが、今回の群馬の件に関しては入管法で逮捕されたといった話は無く、と畜場法違反で捕まったのみ。そのうえ不起訴となっているため、強制送還になるかどうかはまだ不透明だ。

苦境にあえぐ技能実習生たち

今回、豚の違法解体で逮捕されたベトナム人たちだが、群馬・埼玉どちらの件も共に技能実習生。もともとは国際貢献と国際協力の一環として始まった制度だが、近年ではその理念も薄れ、単なる低賃金な労働力確保のために使われている節もあり、劣悪な労働環境に置かれるなどといった人権問題に発展するケースが後を絶たない。

さらに今年に入り、新型コロナの感染拡大の影響で、受け入れ先の企業から退職を迫られることも多いという。そもそも多くの技能実習生を受け入れるという施策は、政府の肝入りで始められたものだったが、受け入れ後のサポートは民間にまかせっぱなしといった状況。そのため企業の都合であっさりと仕事を失い、母国へ帰ることもままならないというどん詰まりの状況下で、やむにやまれず犯罪行為に手を染めてしまう。そんな構図も浮かび上がる。

外国人労働者を受け入れ、そして共生が叫ばれるなかで、実際のところは日本人と外国人との分断がより深まっているという現実。これは決してコロナのせいではなく、国や企業が安価な労働力を得るために拙速な外国人労働者の受け入れ策を進めたことの代償ではないだろうか。

Next: 「ベトナム人全体が嫌な目で見られかねない」

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