各国政府の支援で開発、高い値段は設定できない
さて、この100億ドルというのは売上高ですから、企業を評価するには「利益」で評価しなければなりません。いったいどれくらいの利益になるのか、この100億ドルを元に計算してみたいと思います。
そもそも、新型コロナのワクチンで利益をあげるべきか?ということについては、議論になっています。モデルナを含めて様々な会社が政府の支援を受けて、お金をもらって研究開発を行って開発をしています。
政府のお金で作った物に利益をとっていいのかという議論もあるので、少なくとも、めちゃくちゃ高い値段というのは設定できないと思います。あくまで適正な利益の範囲内で価格設定するという形になるのではないかと思われます。
20%ぐらいの利益を乗せるのでないかと言われていて、実際にモデルナ自身もそういった発言をしています。100億ドル稼いだとして20%の利益率とすると、20億ドル(およそ2,000億円)の営業利益をあげられるのではないかと考えられます。
ワクチンでは儲からない!?
2.000億円の利益が上がるなんて、やっぱりすごいじゃないか!という風に見えるかもしれません。ところが、これだけでは終わりません。
実はモデルナは、これまでもずっと赤字を計上し続けている会社です。
それでようやく新型コロナワクチンで花が開くかどうかというところなのですが、すでに今年に関しても、新型コロナのワクチンをめちゃくちゃな勢いで開発しているので、かなりの費用をかけています。その結果、直近12ヶ月で6.2億ドルの赤字を計上しています。
さらにこれから製造したり、製造のために工場を作ったりいろんな投資をしなければならないので、この6.2億ドルの赤字ではまだ収まりそうにありません。
それに対してこの20億ドル儲けたところで、実はそんなに利益が出ないのではないかという風にも考えられます。
その証拠といってはなんですが、モデルナの役員というのもモデルナの株式を持っているのですが、この新型コロナワクチンの期待でかなり株価上がっているのですが、株が上がる毎に持っている株を市場で売るというようなことをしています。
また一方で、ファイザーも直近でワクチンが報道された後に、株式を売り抜けるということを行っています。
したがって、彼ら自身もこのワクチンを開発したところで、そんなに儲からないということには薄々気が付いているのではないかと思われます。
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