ワクチンでは日本の医薬品卸会社も儲からない
医薬品卸会社はワクチンで儲かるのではないかと見えるのですが、では業績を見てみましょう。
これらの会社はじわじわと業績を拡大させてきたのですが、直近ではガクンと業績が落ちています。これは新型コロナによって人々が病院に行かなくなってしまったので、出す薬の量が減ったからです。その結果、利益が大きく落ちてしまうということになりました。
メディパルに関しては210億円の減益、アルフレッサに関しては270億円の減益ということになっています。
さて、先程の話に戻りますと、1社あたりおよそ70億円の粗利益が上がると言いました。粗利益ですから、営業利益になる時にはもっと減っているということが考えられます。
それに対して、すでにコロナ禍で210億円とか270億円の減益が起きているわけですから、実はワクチン移送による利益というの「焼け石に水」です。
ということで、正直このあたりの会社は儲からないということになります。
むしろコロナ禍での減益の方が大きいので、コロナが終わってから普通の状態に戻った方が圧倒的にこれらの会社も儲かるということになります。
したがってこれらトータルでまとめますと、ワクチンそのものというのはあまり儲かるものではないということがわかります。
医薬品卸会社は「アフターコロナ銘柄」
そしてこの医療関係、ファイザーなどの医薬品会社も含めて、コロナでだいぶ使用が減っているというところがあります。
したがってワクチンそのもので儲けるのではなくて、ワクチンが普及してコロナ禍が終わった時に、いよいよ昔の状態に戻る「アフターコロナ銘柄」だということが考えられます。
私としては今回の調査をしている中でこの医薬品に卸会社というのは実は初めて知りました。昔はたくさんの会社があったようですが、今はこの大手4社に集約されています。
業績も見てわかる通り、非常に右肩上がりに伸びています。薬というのはどんどん必要になってきますから、これらが寡占状態で無理なくやっていることによって、じわじわと拡大しているということになります。
株価に関してもコロナ禍で落ちてきているということもありますし、今後も医薬品の取扱いというのは増えるでしょうから、じわじわと業績の上昇が期待できるのではないかという風に考えます。
PERに関してもは13倍と比較的低い水準に収まっている事から、今後も長期的な銘柄として注目に値するのではないかと思いました。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2020年11月21日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。