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検察無力化か死刑か。韓国文大統領が検察総長の追放に必死なワケ=勝又壽良

文政権は何を隠したいのか

ユン検察総長を解任しようという理由は、政権の疑惑を捜査させないという目的である。

中でも、最大の疑惑は、月城原発1号機の強引な操業停止にある。黒字操業であるにも関わらず、経理データを赤字に改竄して運転停止に持込み、反原発市民団体の要求に応えたのである。

この問題は、すでに監査院(日本の会計検査院)で疑惑の存在を指摘されていた。この問題が刑事告発され現在、検察のメスが入っているものだ。

ユン検察総長へ解任請求が出されている現在、韓国法曹界と検察周辺からは「政権に関わっている捜査が無力化されるのではないか」という懸念を強めている。

チュ法務部長官は、複数の政治的に敏感な事件の捜査でユン総長の指揮権を剥奪した。だが、あらゆる事件で同じことはできなかった。検察幹部は「これまではユン総長が持ちこたえてきたから、政権の外圧を阻む役割を果たしてきた。もはや目の上のたんこぶとなったユン検察総長が解任されれば、権力への捜査は事実上、不可能になると危惧しているほどだ。

チェ長官による11月24日の電撃的なユン総長懲戒請求と職務停止命令は、同5日に月城原子力発電所1号機の経済性評価ねつ造疑惑に関連し、産業通商資源部(日本の経済産業省)と韓国水力原子力などを家宅捜索してから、19日後のことだった。文在寅大統領の腹心、尹建永(ユン・ゴンヨン)国会議員は、原発関連の捜査について「警告する。一線を越えるな」と述べたほどである。

文政権は、何が何でも原発廃止問題の捜査を打ち切らせたいのだ。

大統領府への捜査を全力阻止

与党内では最近、検察捜査のメスが大統領府にまで延びることを極度に警戒している。これが、ユン検察総長解任を急ぐ最大の理由である。

行政裁判所からユン検察総長の業務停止命令を無効とされ、ユン氏が検察総長復帰の翌日、検察庁は月城原子力発電所1号機の経済性評価ねつ造疑惑関連(内部資料444件を削除)に絡み、3人の拘束令状を裁判所へ提出した。

前記の容疑で、産業通商資源部の原発政策局長と書記官に対する拘束令状が執行された。ただ、課長の拘束令状は棄却された。局長と書記官は、「犯行を否認しており、証拠隠滅の恐れがある」として拘束令状を執行した。課長については、「犯罪事実をおおむね認めており、逃走の懸念があると見るのは難しい」として棄却されたという。

ここで、注目すべきは産業通商資源部の局長と書記官が拘束され、課長が犯罪事実を認めたことだ。これは、今後の捜査の発展によって、大統領府を巻き込む恐れが強まったのである。

利益誘導に長ける市民団体

ここで市民団体が、原発廃止を強力に主張した背景を探りたい。

韓国では、福島原発事故の被害を過大に宣伝した。死者2,500人など出鱈目な話を吹聴して、原発の危険性を訴えたのだ。その見返りに太陽光発電を推奨し、政府から多額の補助金を得たのである。

こういう意味で、大統領府は原発廃止と市民団体の癒着問題が、明るみに出るリスクを抱えることになった。文政権の基盤をひっくり返す「大疑獄」に発展する公算もある。

韓国の市民団体の過半は、政府の紐付きである。NPO・NGOという非営利団体の原則を踏み外した「政商」的なものに成り下がっている。

これが、強力は文政権支持基盤になっている。韓国の暗部と言っても差し支えないのだ。

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