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検察無力化か死刑か。韓国文大統領が検察総長の追放に必死なワケ=勝又壽良

検察総長を解任したい文政権

韓国では、検察総長(日本の検事総長)が文政権の疑惑を遠慮なく捜査していることから、検察トップの検察総長を解任したいという騒ぎに発展している。

秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官(日本の法務大臣)が、尹錫悦(ユン・ソギョル)検察総長(日本の検事総長)を解任するべく、懲戒委員会を強行する勢いだ。

先に、法務部長官から検察総長に出された「業務停止命令」は、行政裁判所によって「不当」と判断が下っている。それにも関わらず、法務部長官は、検察総長の解任を目指し、懲戒委員会開催を強行しようというものである。

検察総長に出された「業務停止命令」に対して、韓国検察庁の過半の検事が、反対の意向を表明した。業務停止命令を審査した監察委員会は、全員が不当措置であると勧告した。ユン検察総長から出された行政裁判所への訴えについて、同裁判所から「業務停止命令」の違法性が認められ、ユン総長はすでに業務へ復帰している。

これに不満を持つチュ法務部長官は、懲戒委員会を自らの職権によって開催し、「解任請求」を実現させようとしている。

懲戒委員会開催は、当初予定によれば12月3日であった。それが、法務部次官辞任のために12月4日へ延期。さらに12月10日へと再延期している。この再延期措置は、時間をかけてじっくりと検討したという「ポーズ」づくりと見られる。懲戒委員会のメンバーは公表されていない。チュ法務部長官の一存と決定される。

ユン総長は、こういう密室での懲戒委員会が憲法違反として、憲法裁判所へ訴え出た。

行政裁判所は検察総長懲戒を認めず

行政裁判所は、ユン総長に対する職務執行停止効力を中止させる際に、次のような主旨を明らかにして、検察総長懲戒に対する限界をはっきりと見せた。

「総長に対する長官の指揮・監督は最低限にとどまるべきで、懲戒も検察の独立性と政治中立性のために任期を保障した趣旨を忘れてはならない。特に(懲戒委で)防御権が与えられるなど十分な審理が行われるべきだ」。

上記の行政裁判所の見解は、極めて重要なことを指摘している。それについて、コメントを含めて要約したい。

1)検察総長は、法務部長官の部下ではなく、独立した立場を保持している。
2)検察総長の任期が2年で再任がないのは、懲戒という事態を想定していない。就任時に審査を受けている以上、懲戒は慎重であるべきである。
3)懲戒委員会では、検察総長へ十分な防御権が与えられるべきである。

以上のような3要件を無視して、チュ法務部長官にお世辞を言う検事数人が集まって独断的に懲戒を決めるなら、行政裁判所は認めないという示唆であろう。

そこで、問題になるのは懲戒委員会のメンバーが公表されず、お手盛り人事で委員が決められれば、懲戒委員会による「解任」決議は大きな問題を残すであろう。

Next: 何を隠したい?文政権が「検察つぶし」に本腰

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