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ついに中国経済に転落の兆候、当局が盛った経済統計でも景気停滞=澤田聖陽

デフレの兆候があることは確実

次にCPIがマイナスに転じた件ですが、主因はアフリカ豚熱によって豚肉価格が高騰していたものが下落に転じた為(豚肉価格の下落だけでCPIが0.6ポイント押し下げたと発表)で、統計局の発表では「食品以外の価格は安定している」という趣旨の会見を行っています。

しかし、食品を除いた指数も0.1%低下しており、デフレの兆候があることは確かです。

何度も言いますが、中国の国家統計局の発表について、悪い数字はマイルドに加工されていると考えた方が良いので、実際はもっとCPIは下がっているのではないかと考えています。

中国政府は、2021〜2025年の5ヵ年計画で、内需の拡大による成長を掲げていますが、足元は厳しい状況になっていると考えるのが妥当だと思います。

「中産国の罠」で経済減速

「中産国の罠」という言葉があります。

新興国が低賃金の労働力等を背景として飛躍的に経済成長を遂げ、中所得国(1人当たりGDPが3,000ドルから10,000ドル)に達するも、人件費上昇によって工業品の輸出競争力が失われて成長が鈍化する傾向を形容した言葉です。

中国の1人当たりGDPは10,000ドルを少し超えたところです(あくまで中国の公式発表のGDPを元にということですが)。

中国の人件費が高騰してきているのはかなり前から言われており、徐々に世界の工場としての魅力が薄れてきています。

中国は「歪な大国」

私は、このところ中国という国は「歪な大国」だという話をしています。

中国のGDPは正確な数字ではないと考えていますが、それでも大国には変わりません。

日本では、「中国凄い論」と「中国凄くない論」ばかりが目立ちますが、中国は凄いところと凄くないところが混在している「歪な大国」なのです。

AIなどの先端技術の一部は確かに世界最先端の部分があり、「凄い」部分です。またベンチャーも凄い規模のベンチャー企業があり、こちらも「凄い」部分だとは思います。

一方、アメリカや日本の様に多くの労働者を雇用できるような成熟した産業基盤は弱く、多くの労働者は安いから中国で生産しているという工場等で働いています。これは「凄くない」部分です。

もちろん全て二元論で語れるものではないのですが、マクロ的にはそういう傾向があるのではないかということです。

基礎部分が弱く、表面がとても綺麗な家のようなものではないかと思います。

Next: 中国経済は脆弱、成長率の維持は期待できない

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