東京オリンピック・パラリンピックの開・閉会式の演出を統括するクリエーティブディレクターの佐々木宏氏が、出演予定者の渡辺直美をブタとして演じさせるプランを提案していたことが、文春オンラインによって暴露され、大きな波紋を呼んでいる。
渡辺さんにブタの格好させて、オリンピックならぬ「オリンピッグ」にするという演出を、五輪開会式の演出を担うメンバーのグループLINE上にて提案していた佐々木氏。週刊オンラインの記事には、ブタの絵文字も交えられた当該投稿のスクリーンショットも掲載されている。
今回の報道を受けて、佐々木氏は大会組織委員会を通じて謝罪文を公表し、演出統括を辞任すると表明。素早い火消しを狙ったものの、アメリカの経済紙であるウォール・ストリート・ジャーナルが「性差別的な発言による組織委会長の辞任に続き、大会4か月前に不確実性を追加した」と論じるなど、海外でも早速報じられているようだ。
いっぽう、今回の騒動に図らずも巻き込まれる格好となった渡辺直美さんは、所属事務所である吉本興業の公式ホームページに「実際、私自身はこの体型で幸せです」「太っている事だけにこだわらず『渡辺直美』として表現していきたい所存でございます」とのコメントを発表。ネットからは「渡辺さんが一番大人の対応」との好意的な反応が多くあがっている。
佐々木氏も五輪の「泥船」から抜け出したかった?
五輪組織委員会を務めていた森喜朗氏による「女性蔑視発言」が大きな騒動となった、その余韻もまだ冷めやらぬなかでの、今回の東京五輪中枢メンバーによる問題発言。ネット上では「東京五輪は「女性蔑視」との縁が深いらしい」「東京五輪のお偉いさん方の女性蔑視が凄まじい」といった、相次ぐ差別的発言に対して怒り、呆れる声が噴出している。また、佐々木氏本人が駄洒落だったとコメントしていた「オリンピッグ」に関しては、「1ミリも面白くない」との手厳しい声もあがる。
東京五輪は「女性蔑視」との縁が深いらしい。“あの前会長にしてこの開会式責任者あり”である。
【「渡辺直美をブタ=オリンピッグに」東京五輪開会式「責任者」が差別的演出プラン】 https://t.co/M1e0RG1X2d— m TAKANO (@mt3678mt) March 17, 2021
森善朗会長→「女性がたくさん入っている会議は時間かかる」と発言して辞任
橋本聖子新会長→浅田真央さんに安倍首相と無理矢理ハグさせたりしたセクハラ常習犯
佐々木宏演出統括→女性タレントを豚に見立てて「オリンピッグ」と揶揄
東京五輪のお偉いさん方の女性蔑視が凄まじい。まさに恥晒し。
— 大神ひろし (@ppsh41_1945) March 18, 2021
ダジャレとか言ってるけど1ミリも面白くない。最低。こんなのが責任者とかさすが東京オリンピック。
「渡辺直美をブタ=オリンピッグに」東京五輪開会式「責任者」が差別的演出プラン #佐々木宏 #スクープ速報 #週刊文春 #文春オンライン https://t.co/C6ac2UaAkS— izumi nishimura (@nyankoma2018) March 17, 2021
そのいっぽうで、昨年の3月にあったという問題発言が今更なタイミングで暴露されたこと、さらに非公開なはずのLINEグループで話した内容がスクショ込みで公開されたことを、大いに訝しむ意見も。TBS系のワイドショー「ひるおび!」でも、弁護士の八代英輝氏が「足を引っ張りたい方の意向が記事に反映しているんだろうなと」と発言するなど、今回の報道がなされた“裏の意図”に想いを馳せる向きも多いようだ。
この「オリンピックを傷つけたい」リークには、ジェンダー問題にすることで時期的な恣意性や内輪のLINEが世に出るおかしさを後景に追いやる「巧妙さ」がある。コメントを求められたら誰しも「許せない」が先にくる。>五輪で侮辱演出案 海外へ波紋 2021年3月18日 https://t.co/GCYFxVsUT8
— gen hosokawa (@gen__uine) March 18, 2021
オリンピック演出の佐々木氏、言ってることは世界共通アウトなんだけど非公開のLINEグループで話したネタ、かつほぼ即時却下されてるから健全な議論の過程だし、これで批判されて降板させられるのはやり過ぎでは…
守秘義務の内容を文春にリークした人間のほうが組織としては遥かに害が強い— ashikagunso (@ashikagunso) March 17, 2021
さらに反応として見られるのが「佐々木氏も東京五輪の泥船から抜け出したかったのでは?」といった声。まさか佐々木氏も、開催間近のこんな時期にトンズラを決め込もうとは考えないだろうが、それだけ今回の「オリンピッグ」発言がありえないものだと、世論は捉えているといえるだろう。
責任どうこうというよりも機を見るに敏な印象。
利益の目がなくなって沈む泥船から脱出する気マンマンだったのでは?……本当に内部リークだったんだろうか。
退陣の演出の可能性ある?東京五輪式典統括の佐々木宏氏辞任へ 渡辺直美さん侮辱演出提案 | 毎日新聞 https://t.co/zMErxDP1cm
— 山本八重さん@会津問屋 (@aizu_sniper_yae) March 17, 2021
東京五輪に関わるお偉いさんの失言暴言、ホントはもう東京五輪みたいな泥船からいち抜けしたいがためにわざとやっているのでは、とさえ思えてくる。
— わたなべ (@NoW_Watanabe) March 18, 2021
「ブタ」侮辱報道の五輪演出・佐々木氏が辞任見通し https://t.co/bd24qc7tXg
また泥船から狸が一匹(呵々大笑
それにしても、一度はしがみつくそぶりを見せないと、演出不足ではないか?— 宮永忠将@歴史&軍事もの書き (@hypaspist) March 17, 2021
目に見えて低下している「開催機運」
開催まであと4か月ほどに迫っているにもかかわらず、このところはネガティブな話題ばかりが取沙汰され、「本当に開催するの?」との声も多くあがる東京五輪。
この「盛り上がりに欠ける」どころじゃない雰囲気に拍車をかけているのが、著名人による聖火ランナー辞退だ。その理由としては、開催延期によりスケジュールの都合が付かなくなったというのが多いようだが、森喜朗氏による「女性蔑視発言騒動」以降にこの手の話が急増していることからも、「東京五輪という泥船からイチ抜けしたい」という考えも少なからずあるのではというのも、決して穿ち過ぎな見方ではないだろう。
さらに最近では、オリンピックを盛り上げるため日本全国に開設されている「オフィシャルショップ」にも、「泥船脱出」の兆しがあると専らの噂だ。
東京オリンピックオフィシャルショップ、東京オリンピックまでもたなかったか…… pic.twitter.com/KHKVQ52hqO
— シキ (@kokusairengo) March 17, 2021
今回の東京五輪では自転車競技ロードレースが行われる、東京都府中市にある東京2020オフィシャルショップの店先だが、その開催を待つことなく3月21日に閉店するとの張り紙が。オフィシャルショップの公式サイトにある営業時間変更・休業・閉店店舗一覧を見てみると、今後3月から4月にかけてニューオープンする店舗も4か所あるものの、上記の府中店以外に小名浜店・水戸店・浦和美園店など、これまでなんと49店舗ものオフィシャルショップが閉店しているというのだ。
もちろん、エリア的に重なる店舗を整理・統合している可能性も考えられなくもないが、実際にオフィシャルショップに行ったという人からは、「閑古鳥だった」といった声が多数。ネット上では、あまりに不人気のために店を閉めざる得なかったという見方が大勢を占めているようだ。
東京オリンピックオフィシャルショップのバイト人来なさそうで楽そうだな〜って横浜駅行くときにいつも思ってたけどまさか撤退してるとは😂
— kohei (@Egen_Twilight) March 18, 2021
実際オリンピックのオフィシャルショップで買い物客見たことなかったからなぁ
— ればりゅ♨️ (@ar9s4) March 18, 2021
近所のヨドバシカメラの中に入ってたオリンピックショップも人全然いなかったな…ゲーム売り場の方にはたくさんいるのに…
— 零 (@VaOkH47vaqmnpHG) March 18, 2021
新型コロナウイルスの感染拡大が思うように鎮静化しないうえに、度重なる不祥事の発覚も相まり、目に見えて低下している東京五輪の開催機運。来る3月25日からいよいよ聖火リレーも始まるようだが、今回の「オリンピッグ」騒動で中止論の勢いはさらに増しそうな情勢だ。
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