病気療養で休職中に無許可でライトノベルを出版し、印税を得ていた平塚市の男性職員に停職6か月の懲戒処分が下されたことが、様々な波紋を呼んでいる。
報道によると、市職員は病気で療養中だった2019年7月からの約2年間、2つの出版社からラノベ4作品を出版。印税約320万円を得ていたという。さらにこの間に、自身のSNSアカウントで「買って下さい」などと、9,531回のツイートをするなどしていたという。
市職員は「違法行為とは思わなかった」と話しているといい、処分のあった同日に依願退職したという。
「もしかして売れっ子?」広がる作者特定を求める声
今回の報道を受けて、SNS上ではこの“公務員ラノベ作家”が一体誰なのか、またどの作品なのかを推測するツイートも多く見られるなど、大きな反響に。
なんでも2年間で4作品、印税を約320万円貰えるほどの売れ行きだったとのことで、毎月のように数多くの本数が出版され、作家も数多くデビューしてはその多くが消えていくラノベ業界にあっては、まずまずの売れっ子だったのではとの声も聞こえてくる。
平塚市は、10月20日付で男性職員(28)を停職6カ月の懲戒処分。男性は同日付で依願退職。2年間の病気休職期間中に無許可でラノベ小説を執筆し営利活動。ラノベ4冊で印税320万円。1冊15000部ぐらいかな。なんでバレたんだろう / “病気休職中にラノベ出版320万円報酬 平塚…” https://t.co/a8s7Pnn39k
— katamachi とれいん工房 (@katamachi) October 20, 2021
"約2年間、出版社2社から小説4作品を出版し、印税約320万円を得ていた"って、結構いい部数が出てる数字では。 / “病気で休職中にラノベ執筆、印税320万円稼ぐ 市職員を停職処分:朝日新聞デジタル” https://t.co/QHcYaBpe3P #クールジャパン
— ふわうさ ⚒ 一目瞭然 (@mannin) October 20, 2021
それだけの報酬貰える恋愛ラノベって、マジで面白そうタイトル教えて欲しい
— 佑さん (@192704shiyu) October 20, 2021
320万円も稼げてるなら才能あるやんけ
— urgos🙆♀️ (@curseofhades) October 20, 2021
病気療養のために約2年間に渡り休職していたというこの市職員だが、一体どういった病気で休んでいたのかは不明。市によると病気での休職中は、身分保障がされ一定期間は給与も出ることから、早期の復業に向けて療養する義務を負っていると、処分に至った理由を話しているが、ネット上からは「ラノベ出版が療養だったかも」と市職員を擁護する声もあがるなど、いかにもお役所っぽい融通の利かない市側の対応を批判する声も多い。
地方公務員法に抵触しているのは駄目なんですけど、
「療養に専念」は「何もしないで家で寝てる」じゃない。
「やりたくてもやれなかった好きなことを好きなだけする」が療養です。平塚の職員にとっては、ラノベ出版が療養だったかも。
>病気休職期間中は早期復職のため療養に専念する義務 pic.twitter.com/eto1jdutmS
— 佐野創太@退職学(12月出版予定) (@taishokugaku) October 20, 2021
なんかおかしな納得できない話だね。悪事を働いた
わけでもないのに処罰するって。融通効かないお役
所仕事の典型だ!病気休職中にラノベ4冊を出版し320万円の報酬 平塚市職員が停職 #ldnews https://t.co/6yE0zazp0A
— 鉄太郎 (@lsvkyoshi) October 20, 2021
ただその反面で、やはり公務員による副業での執筆活動は、ちゃんと報告したうえで許可を取るべきとの声も多く、それを怠った市職員に対して「ちょっと意識が低いのでは……」といった批判も。また、退職して作家一本でいく度胸がなかった末の休職制度の悪用では、といった厳しい見方もみられる。
確かに320万円の印税収入というのは、ラノベ業界内においては上々の成果なのかもしれないが、それのみで生活していくには、かなり心許ない金額であることも確かで、退職した市職員の今後を心配する声も少なくない。
公務員でも執筆活動はしていいんだけど、収入が発生する場合、ちゃんと報告して許可取らないといけない。
ただ、そんなんもろくに調べず知らんで金を受け取るのはちょっと意識が低いのでは……。
病気休職中にラノベ4冊を出版し320万円の報酬 平塚市職員が停職 #ldnews https://t.co/tHBUcLsUuX— N也@ビギナー雲助 (@payback_debt200) October 20, 2021
ラノベ作家になりたかったが決然と辞表を出して荒波に挑む度胸もなく、休職制度を悪用した…と疑われても仕方がない流れだね
病気休職中にラノベ4冊を出版し320万円の報酬 平塚市職員が停職 #ldnews https://t.co/qVozpYNF82
— はんぷ亭らび蔵 (@humptyloveisall) October 20, 2021
病気で休職中にラノベ執筆、印税320万円稼ぐ 市職員を停職処分:朝日新聞デジタル https://t.co/01BdRGQei8
1作で!?と思ったら2年で4作書いて320万。2足のワラジでそのペースなら大したもんだけど、本業休んで執筆専念してて年160万では専業は大変だろう。— ClaraKeene (@clarakeene) October 20, 2021
公務員の副業を妬む層も存在する?
地方公務員法では公務員の副業を原則禁止としているが、過去には公立小学校の女教師がファッションヘルスで“夜のアルバイト”をしていたことがバレて、大きな話題となったことも。さらに最近では、育児休暇中の出来事を漫画にしてSNS上に公開していた男性高校教師が、その出版にあたって勤務時間外での加筆作業をしようとしたところ、教育委員会から不許可を告げられたことで裁判沙汰になるなど、今回の件のみならず公務員の副業を巡っては、これまで様々な問題が噴出している状況だ。
ただそのいっぽうで、リンゴ生産量日本一を誇る青森県弘前市では、収穫作業などを手伝う市職員のアルバイトを、今年10月から許可したとの報道が。民間企業においては、多くの企業で副業や兼業がどんどん推奨されている流れとあって、流石に公務員の副業禁止は時代に合っていないのではという声も多く、それに応じるかのように規定を緩めるところも、ここに来て増えてきているようだ。
しかし長引く不況の影響もあり、公務員という立場がよっぽどの問題を起こさない限りクビになることがなく、給与もそこそこ貰えて福利厚生も手厚い超安定職だとの見方が広がるなか、そのうえで副業もできるなんて……という恨み節にも似た声もチラホラ。
現に今回の件も、今年6月ごろに「この小説を書いたのは、市の職員ではないか」との匿名情報が寄せられたことが、発覚するきっかけとなった模様。先述の“夜のアルバイト”女性講師も、勤めていた学校への複数回に及ぶ匿名電話によってバレたということもあって、公務員という安定した職につきながら副業に勤しむことが絶対に許せないと考える層も、一定数存在するようだ。
昔は「安月給」などと揶揄され、その水準は以前とさほど大きくは変わっていないハズの公務員だが、今では副業に勤しんでいるとすぐさまチクられてしまうという、ある意味で妬み・嫉みの対象に。「日本人の給料は30年間上がっていない」と事あるごとに取沙汰される昨今だが、今回の件はそのことを象徴するようなエピソードだとも言えそうだ。
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