愛知県長久手市で整備が進んでいるスタジオジブリのテーマパーク「ジブリパーク」の開業日が、今年の11月1日になると愛知県や運営会社が発表した。
ジブリパークは2005年の愛・地球博(愛知万博)の会場跡にある記念公園内に、作品に出てくる建物や遊具を再現するというもの。敷地と建物は愛知県が340億円を投じて整備し、開業後の運営は地元紙である中日新聞社とスタジオジブリが共同出資した会社が行う。
22年11月の開業時にオープンするのは、計画されている5つのエリアのうち、「耳をすませば」や「猫の恩返し」の世界をイメージした「青春の丘エリア」、「となりのトトロ」の木製遊具や田園風景を再現した「どんどこ森エリア」など3つのエリアで、全面オープンは23年秋になるとのこと。入場は日時指定の予約制で、エリア開園時に年間約100万人、23年秋の全面オープン時には年間約180万人の来場者数を見込んでいるという。
テーマパークは失敗続き…地元民が抱えるトラウマ
スタジオジブリにまつわる施設といえば、三鷹市の井の頭公園内にある「三鷹の森ジブリ美術館」が有名だが、今後オープンするジブリパークは敷地面積的にもそれを大きく凌駕する規模となりそうで、それだけに熱狂的なジブリファンにとってはオープンが待ち遠しいといったところ。
また、施設ができる愛知県内でも、地元の新聞やテレビなどがこぞって取り上げているようで、その話題で持ちきりといった様子だ。
ジブリパークの地元は新聞にジブリ欄があるくらいの浮かれ感 pic.twitter.com/E4dVVV9aOj
— TOPPY 川合登志和 (@toppy_net) January 27, 2022
11/1にopenが決まった長久手の
ジブリパークの話題で地元愛知県、東海地方の情報番組は持ちきりです— KAORU (@0421u2) January 28, 2022
思えば、東京には誰もが知る「ディズニーランド・シー」が、さらに大阪には“ユニバ”こと「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」といった魅力的な一大テーマパークが存在するいっぽうで、名古屋周辺にはそういった目ぼしい施設がなく、強いて言えばナガシマスパーランドぐらい、それも三重県だし……といった状況。それだけに、ディズニーやハリウッド映画にも負けない“強力コンテンツ”であるジブリのテーマパークとなれば、東京・大阪に肩を並べるといった意味合いでも、もう期待するしかないといったところだろう。
しかし、今回のジブリパークのオープンに対して、地元民の間ではある“トラウマ”が頭をよぎる……といった声も、少なからずあがっている状況。というのも、愛知・名古屋近辺にここ近年で登場したテーマーパーク的な施設は、ことごとく失敗しているというのだ。
ジブリパークに紅の豚ゾーンはないのかな?と思ったけど、イタリア行けって話か…
それともイタリア村…?名古屋港…うっ、頭が…— とく村長たん(しろたん屋保護活動家としてあまりに無力) (@tokucho2) January 27, 2022
今年の11月に愛知にジブリパークが開園というニュースを見たが、私ゃ地元民だがまだレゴランドもラグーナテンボスも行けてないよ。
イタリア村は一度も行く事なく閉園してしまったよ。https://t.co/I2exsSBeVV— rise (@rise_t) January 27, 2022
愛知県ならわかると思うけど
ジブリパークまじでピリピリしてるよねレゴランドの件があるから愛知県民期待してる人のが少ないんじゃないかな
とにかく時間とお金を充分に存分にかけていいからクオリティの高いものにしてくれ
まじで、え?公園?みたいなの本当にやめてほしい
— ほろ@ d!d!d!diseny! (@aria_amore) January 28, 2022
その具体例として、SNS上でよく名前があがっているのが「イタリア村」と「レゴランド・ジャパン」の2つ。前者のイタリア村は、名古屋港のガーデンふ頭内に2005年に開業した、ヴェネチアの景観を模した街並みがウリの複合商業施設で、オープン初年は年間420万人を集める人気施設だった。ところが、リピーターの確保に失敗したことで来場者がみるみると減り、オープンからわずか3年後の2008年には、運営会社が170億円もの負債を抱えて経営破綻。そのまま閉鎖の憂き目となってしまったのだ。
いっぽうのレゴランド・ジャパンだが、あのレゴブロックのテーマパークとして、こちらは金城ふ頭に2017年にオープン。日本では初、世界で8番目に開業したレゴランドとして大いに注目を集めていたが、その入場料の高さも開園当初から大いに取沙汰され、さらに園内にある飲食店の値段も割高ないっぽうで、ペットボトルなどの飲料や水筒の持ち込みが当初はNGだったことが大いに批判を受けるなど、出だしで大いに躓く格好となったのだ。
「入場料はお手頃」大村知事が明言か
もっともレゴランドは現在も営業を続けており、レゴブロック愛好家からは高評価を得ている模様。ただ依然として「平日はガラガラ」といった声が頻繁に聞こえるなど、当初期待していた賑わいには及ばない状況が続いているようだ。
こと名古屋人は、経済観念が超堅実でお金にシビアな人が多いとされる。それだけに、今後オープンするジブリパークも、その入場料がいかほどになるのかが、その成否を大きく分けそうだが、報道によると今のところ検討中とのこと。ただ、愛知県の大村秀章知事のコメントによると、このジブリパークは県の公園事業の一環ということもあり、入場料はお手頃になるということだ。
先述の通り、入場は日時指定の予約制ということもあって、ディズニーリゾートやUSJ等のようなド派手なアトラクションがズラリと並ぶテーマパークとは異なり、広い敷地内で限られた人数がゆったりとその世界観に浸るといった趣の施設となりそうなジブリパーク。“名古屋周辺のテーマパークは失敗続き”という地元民のトラウマは払拭されるのか、大いに注目が集まるところだ。
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