■Veritas In Silico<130A>の業績動向
1. 2025年12月期の業績動向
2025年12月期の業績は、事業収益が91百万円(前期比103百万円減)、営業損失が396百万円(同183百万円増)、経常損失が390百万円(同157百万円増)、当期純損失が425百万円(同189百万円増)となり、2期連続の減収、損失計上となった。
事業収益は、マイルストーン収入が10百万円(前期比80百万円減)、共同創薬研究などの研究支援金等が81百万円(同23百万円減)とそれぞれ減少した。また、期初計画では共同創薬研究の契約一時金で489百万円を見込んでいたが、当見込み案件が流れたことにより収益計上がなかったことも響いた。
事業費用のうち、研究開発費は自社パイプラインの創出にともなう増加や研究員の増員などにより215百万円(同43百万円増)と増加したが、共同創薬研究で獲得を見込んでいた新規案件が流れたことを主因として、計画比では115百万円下振れた。販管費は人件費を中心に272百万円(前期比37百万円増)となったが、採用関連費用等の一部費目の支出が少額に抑えられたことで、計画比では20百万円の下振れとなった。また、営業外収支は前期に計上した上場関連費用や株式交付費等の営業外費用22百万円がなくなり若干改善した一方で、特別損失として減損損失31百万円を計上した。
なお、期末の従業員数は前期末比横ばいの19名(研究開発部門11名)となったが、社員の入れ替えが進んでいる。一方、同社では複数の製薬会社との実戦的な共同研究を密度濃く行っていることから、研究者をはじめとして個々のスキルは確実にレベルアップしている。このため、採用については即戦力候補の中堅社員を主軸としつつ、新卒も含めた若手人材の確保も進め、社内で育成する方針に転換している。
2026年12月期業績は保守的に策定、研究開発費の増加で損失が続く見込み
2. 2026年12月期の業績見通し
2026年12月期の業績は、事業収益が113百万円(前期比21百万円増)、営業損失が569百万円(同172百万円増)、経常損失が564百万円(同173百万円増)、当期純損失が567百万円(同141百万円増)と損失が続く見通しとなっている。前期の業績が期初計画を下回った反省を踏まえて、事業収益については共同創薬研究に関する契約一時金を織り込んでいない保守的な計画となっている。目標としては新規に2件の契約締結を目指している。従来のように大手製薬会社だけではなく、バイオテク企業や農薬メーカーなどに対象が広がっていることもあり、契約締結の可能性は十分にあると弊社では見ている。
事業収益の内訳については、マイルストーン収入で40百万円(同30百万円増)、研究支援金等で73百万円(同8百万円減)を見込んでいる。マイルストーン収入は共同創薬研究の既存プロジェクトにおいて研究が進捗することを想定している。研究支援金等については、新規契約が決まれば上乗せ要因となるが、計画では既存プロジェクトで見込まれている収益のみを織り込んでおり、蓋然性の高い数値となっている。
事業費用のうち、研究開発費は2本目の自社パイプラインの創出のための研究開発投資に加えて、研究所の移転及び設備増強に伴う設備投資など先行投資的な出費が発生することにより、380百万円(同164百万円増)を見込んでいる。販管費については301百万円(同28百万円増)と人件費を中心に増加する見込みだ。なお、研究所の移転については、2026年3月に新川崎研究所の賃貸契約が期限を迎えたのを機に、同じ川崎市内の別の拠点に移転と研究設備の増強をおこない、4月より川崎研究所と改称のうえ、研究活動をスタートした。移転に伴って研究所面積を事務室スペースはおよそ1.5倍、実験室はおよそ4倍に拡張するとともに最新の研究設備・機材を導入し、これまで以上に先進的な研究が可能となるほか、交通の利便性向上等を含めた職場環境並びにワークライフバランスの改善が進み、研究体制の強化につながるものと期待される。
人員の採用については、2026年春に新卒の研究者の採用が決まっており、研究開発部門の体制を強化するほか、経営基盤の強化を図るため管理部門の増員も予定している。
なお、2026年4月13日付で武田薬品工業とのmRNA標的低分子医薬品共同創薬研究に関する契約の終了を発表した。同社業績に与える影響は限定的なため、期初に発表した業績計画の修正は行っていない。今回の契約終了の理由は、特定の研究テーマにおける研究の進め方などについて、同社の方針や考え方が相手先に受け入れられなかったことによるもので、同社の技術基盤や研究遂行能力、事業継続性そのものに影響を及ぼすものではない。今後は本研究を通じて得られた知見についてどのように活用できるかを、相手先と協議・検討していくことにしている。
資本政策の柔軟性・機動性を確保するため減資を実施
3. 財務状況
2025年12月期末の資産合計は前期末比364百万円減少の1,884百万円となった。流動資産では、現金及び預金が348百万円減少した。固定資産では減損損失の計上及び減価償却により有形固定資産が14百万円減少した一方で、差入保証金が17百万円増加した。
負債合計は前期末比61百万円増加の101百万円となった。主に流動負債の前受金が55百万円増加したことによる。純資産合計は同425百万円減少の1,783百万円となった。当期純損失の計上により利益剰余金が425百万円減少した。また、資本政策の柔軟性・機動性を確保するため2025年5月に減資を実施したことにより、資本金が67百万円減少し、同額を資本剰余金に振り替えた。
経営指標を見ると、経営の安全性を占める自己資本比率は前期末の98.2%から94.6%に低下したものの、引き続き高水準を維持している。損失計上が続く見通しだが、現金及び預金が18億円強の水準となっていることから、喫緊の資金調達の必要性はないものと思われる。ただ、2027年12月期以降も損失が続くようであれば、財務戦略の1つとして検討課題になることが予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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