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上新電機 Research Memo(4):顧客のライフスタイルに寄り添う「コンシェルジュ」として付加価値創造(3)

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■会社概要

(2) 商品カテゴリ別売上高
Joshin<8173>の2026年3月期の商品カテゴリ別の売上高比率を見ると、テレビ、オーディオなどの映像・音響機器が8.7%、エアコンや冷蔵庫など白物家電を中心とした家電が36.8%、パソコンやその周辺機器、スマートフォンなどの情報通信機器が27.5%、その他が27.0%となっている。なお、その他で最大構成となっているのがゲーム・模型・玩具・楽器で、2026年3月期の同カテゴリの売上高は「Nintendo Switch 2」の販売好調などにより前期比22.5%増の69,066百万円、売上構成比は15.8%となった。家電市場が人口減少などにより中長期的に大きな成長を見込みにくいなか、各社ともに脱「家電販売専業」に動いており、最大手のヤマダホールディングスは家具や住宅市場などに範囲を広げ、エディオン<2730>はニトリホールディングス<9843>と資本業務提携し、エディオンの店舗でニトリの家具やインテリアを扱っている。競合他社が「家電と住宅」「家電と家具」といった日常生活分野で親和性のある事業戦略を進めるのに対し、同社はリフォームやエンターテインメントの「非家電分野」に対しても中長期的に積極的に取り組んでいる。エンターテインメント分野に関しては、大阪・日本橋の旗艦店では入り口付近にスマートフォンやデジタル家電の販売コーナーではなく、玩具やゲーム機、ボードゲームの売り場を展開している。「スーパーキッズランド」はガンダムなどのプラモデルや鉄道模型、ミニカーなどが揃う日本最大級の模型専門店で、模型に関する専門の販売員も揃えている。また、ゲーム機においても同社のインターネットショップを訪問すれば幅広い商品を購入することができるため、消費者の認知度も向上している。少子化のなかでも拡大が続いており、日本玩具協会によれば2025年3月期の国内玩具市場規模は前年度比107.9%の1兆992億円となり、過去最高を更新した。なかでもカードゲーム・トレーディングカードは3,000億円規模に拡大し、市場全体の27.5%を占める。同社でもトレーディングカードを取り扱っているが、ゲーム機や模型と並んでエンターテインメント分野の主力製品の1つとなっている。

弊社ではこのようなエンターテインメント分野の商材の取り扱いの強化や、大阪・日本橋のような他の家電量販店にはない思い切った店舗運営は顧客ロイヤルティの創造という観点で大変意義が深いと考える。「家電を単に仕入れて販売する」という従来型のビジネスモデルではECとの価格競争に陥り差別化が見込みにくいなか、家電だけでなくエンターテインメント分野の売り場づくりによって顧客の来店を促し、体験型も含めた地域密着の多彩なイベントを開催して同社に継続的に来店・販売員を指名するファンを作ることが長期的な顧客ロイヤルティの向上につながる。それに加えて、他の家電量販店が真似できない充実したアフターサービス体制の構築により、無形資産としての付加価値の創造が可能になる。ただし、同社では現状においてエンターテインメントの顧客が家電販売にリンクしにくい状態であり、今後はエンターテインメント分野で同社のファンとなった顧客を家電販売に誘導できる仕組みづくりのほか、その目標値や進捗をKPIとして対外的に開示することを期待したい。

(3) 出店戦略
同社では関西・東海・関東・北信越エリアを重点エリアと位置付け、ドミナント戦略を推進してきた。ドミナント戦略とは、新規出店による店舗数の拡大ではなく、既存店のスクラップアンドビルドも含めた1店舗当たりの販売力強化に加え、EC事業、サービスインフラとのシナジー効果を最大限に引き出す経済圏の創出を目指すものである。同社は業界第7位のポジションにあり、国内におけるシェアは約7.9%、売上高が最も大きい関西エリアにおいては約20%のシェアを有している。2026年3月期末の店舗数は220店舗で、うちJoshin直営店が210店舗、フランチャイズが3店舗、BOOK OFFが6店舗、TSUTAYAが1店舗となった。エリア別では関西140店舗、東海35店舗、北信越25店舗、関東18店舗、四国2店舗であり、関西を中心とする地盤を維持しながら、関西以外への出店も進めている。

2026年3月期末時点では、家電量販店8社の単純合算店舗数は2,630店舗となった。内訳は同社210店舗、ビックカメラ45店舗、コジマ<7513>139店舗、(株)ソフマップ22店舗、ノジマ<7419>248店舗、エディオン453店舗、ヤマダHD直営店957店舗、ケーズHD556店舗である。エディオンはフランチャイズ店舗を含む広い店舗網を維持する一方、ヤマダHDはLIFE SELECTを中核とする店舗開発を進め、直営店数は減少しているものの売場面積は増加している。ケーズHDも直営店5店舗の開設と5店舗の閉鎖により、2026年3月末の店舗数は前期末と同水準となった。

同社は大半が直営店での展開となっているが、直営店舗数は2022年3月期以降、おおむね横ばいで推移している。人口減少が進むなか、やみくもに店舗数を拡大しても従業員が確保できなければ結果的に接客品質を落とすことになり、投下資本に対するリターンの確保が難しいことが背景にあった。中期経営計画「JT-2028経営計画」ではリアル店舗事業の収益力強化を重点戦略に掲げ、不採算店舗を最大15店舗程度整理し、そこから生まれる人的資本を再投資する。店舗数に依存しない「マチの電器屋」のチェーン展開により、利益を創出できる店舗数の拡大を目指す。直営店1店舗当たり実店舗売上高(EC売上高を除く)はコロナ禍での白物家電特需のあった2021年3月期を除くと緩やかな拡大基調となっており、無理な出店戦略を取らずに既存店での接客力の強化により重点を置いた成果と見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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