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ベース、企業向けシステム受託開発を担うAI活用のITサービス企業へ進化 30周年記念配当を予定し株主還元強化

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2026年6月13日にログミーFinance主催で行われた、第137回 個人投資家向けIRセミナーの第1部・ベース株式会社の講演の内容を書き起こしでお伝えします。

目次

中山克成氏(以下、中山):ベース株式会社代表取締役社長の中山です。これより会社説明を行います。

本日のアジェンダです。4部構成となっており、会社概要、成長戦略、そして株主還元についてお話しします。

会社情報・経営理念

中山:第1部は会社概要についてです。当社は1997年に設立され、今年で30期目となります。資本金は11億2,200万円で、従業員数は1,246人です。また、中国に子会社を保有しており、それを含めるとさらに増加します。決算期は12月で、主にソフトウェア開発を行っています。

当社は設立以来、経営理念とビジョンをしっかり掲げて活動しています。ミッションは「お客様に対して、常に新しい価値を提供し続ける」です。そして経営理念は、会社設立当初の30年前から「相互尊重」「誠心誠意」「ベストを尽くす」を掲げて事業を進めてきました。

今年はちょうど設立30年目を迎えますが、これまで主に企業向けのソフトウェア開発を中心に展開してきました。当社はソフト開発を主軸とする会社ですが、このたびAIの波を受けて、ITサービス企業への変革を目指しています。詳細については後ほどご紹介します。

事業内容

中山:事業内容は企業向けシステム開発、いわゆる受託開発を行う企業ですが、特徴が2つあります。1つは安定した成長を遂げていること、もう1つは高収益を維持していることです。この高収益については、後ほど詳しくご紹介します。

ビジネスモデルは比較的シンプルで、業界における多くの大手SIerの下で、当社は受託開発を行い、製品を提供しています。一部エンドユーザーからの受託案件もあり、要するにBtoBで企業向けのソフトウェア開発をメインに活動してきました。金融や製造をはじめとして、あらゆる分野を経験しています。

また、開発だけでなくその後の運用、メンテナンス、保守にも力を入れており、これらが当社のストック型事業として重要な位置を占めています。

決算では1セグメントとして扱っていますが、サービスラインで見るとシステム開発、運用保守、社員支援がメインです。

また、この業界で非常にメジャーな「SAP」というソリューションを武器に、お客さまにサービスを提供しています。

さらに、その他のソリューションも展開しています。

当社が目指している方向性についてお話しします。当社は「ベース」の名のもとにIT事業を展開しており、「ITサービスのベース」として、将来的には企業のみなさまがなにかITを導入しようと考えた際に、最初に思い浮かべていただけるような存在になりたいと考えています。このような目標を掲げ、コツコツと30年間取り組んできました。

成長の歩み

中山:成長の歩みについてご説明します。30年間を振り返ると、最初の10年間は黎明期と位置づけられ、「生きていく」というテーマのもとで一生懸命努力してきた時期です。

次の10年間は学習期にあたります。この期間では、業務の開発手法やお客さまとの関係を学びながら成長を遂げてきました。

2016年からは成長期と定義しており、スライドではこれをブルーで示しています。この時期から急速な成長を目指し、実際に速いスピードで事業を拡大してきました。30年間を10年区切りで見ると、このようなかたちで成長の足跡が見えるのではないかと思います。

上場に関しては、2016年または2017年頃に上場を目指すことを決定し、組織を刷新して上場プロセスに入りました。そして、2019年12月に東証二部に上場、翌年には東証一部に指定されました。その後、東証の改革に伴い、2022年には東証プライムに移行しています。このようなかたちで、当社は成長を続けてきました。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):質問を挟みながら進めます。御社の黎明期、学習期、成長期についてお話しいただきましたが、創業時からソフトウェアの受託開発を行っていたのでしょうか? また、創業のきっかけなどがありましたら、視聴者の理解が深まると思いますのでお聞かせください。

中山:私は中国・上海の出身で、1987年に日本に来ました。中国にいる頃からSEとしてシステム開発に携わっていました。当時の中国は現在のような状況ではなく、日本との差が非常に大きかった時代でした。そのため、資本主義社会に対する憧れがありました。

日本に来てからは、最初から起業しよう、そして上場企業を作ろうと考えていました。その目標を実現するため、10年間ほど日本の中堅ソフトハウスで勉強しました。そして、1987年に来日し、1997年に会社を創設しました。創設当初、社員4人の時点から「うちは上場します」という目標を掲げていました。

最初は焦らず、少しずつ成長していこうという方針を持ち、10年単位のスパンで考えています。初年度からの10年間は、まず生き残ることを最優先としなければならず、大変でした。

ただ、当社の特徴として、この30年間で一度も赤字を出したことがありません。現在は収益が安定しているのが当たり前のように思われるかもしれませんが、創業からの10年間は非常に厳しいものでした。私たちは常に株主のみなさまに価値を提供し続けるという理念のもとで事業を進めています。

IT企業としての方向性は、中国時代からの私の経歴を踏まえ、創業当初から決めていました。

坂本:2017年から売上が飛躍的に伸び始めた成長期について、背景があれば教えていただけますか? 

中山:創業から約20年間は段階的に成長してきましたが、ある時点で一気に成長を加速させる必要があると考えました。当時、役員や経営陣の年齢が上がってきており、若い力の必要性を強く感じました。そこで思い切って役員の平均年齢を一気に14歳引き下げる改革を行いました。

その手法が当社の特徴的な取り組みで、「手挙げ方式」で候補者を募り、選挙による投票で役員を選出するかたちを取りました。当時、「湘南会議」に幹部社員を集め、候補者にはビジョンを掲げて話してもらい、幹部社員の投票を経て役員を選びました。選挙で落選した方も後に補欠として役員に加わり、結果として現在の役員陣が形成されています。

この改革は会社にとって非常に大きな一歩でした。「やりたい」という意志を持った若い人材を登用し、一気に体制を刷新したことが、2017年から始まる成長への大きな転換点となったと思います。

当社の実績と強み(2025年12月期)

中山:実績をご覧いただきたいのですが、スライドのとおり、昨年の売上高は217億円となりました。毎年増収増益を重ねており、今回も売上高と営業利益のいずれも過去最高を更新しました。売上高は217億円、営業利益は57億円です。

特に自慢できるのは、スライド下部にも記載されている3点です。まず、営業利益率は26.4パーセントで、これは単年度の結果ではなく、一定期間維持しています。おそらく業界のトップクラスの水準といえるでしょう。このように非常に高い成長を達成しています。

また、ROEについても当社はソフトウェア系やハイテク関連の企業でありながら、30.7パーセントと非常に高い値を記録しています。さらに、自己資本比率も75.3パーセントで、銀行から1円も借りていませんので、完全無借金企業として安定した運営を保っています。

また、創業以来いくつかのポリシーを堅持してきました。例えば、常に黒字経営を維持している点です。

なお、私は中国出身なのですが、当社の人員は中国と日本でほぼ半々です。現在は1,300人から1,400人規模の人員を擁しており、日本のビジネスが拡大したこともあって、日本人の割合が約55パーセント、中国人が約45パーセントとなっています。

ダイバーシティも当社の成長に非常に有益な要素となっています。異なる文化や背景を持つ人が一緒に働くことで、その刺激がシナジー効果を生み出しています。これが当社の大きな特徴の1つであると考えています。

もう1つ自慢できる点は、非常に良いお客さまに恵まれているということです。特に長期間にわたってお客さまとの関係を築いてきました。例として、富士通グループさま、みずほ証券さま、NRIグループさま、NTTデータグループさまなど、上場企業や業界のトップクラスのお客さまと長いスパンでビジネスを展開してきたことは、当社の大きな強みだと考えています。

坂本:ダイバーシティ環境として、中国と日本でおおよそ半々の人員であるという強みをお話しいただきました。その上で、中国の拠点や、日本で働く中国人スタッフの待遇や賃金についておうかがいしたいです。最近の円安の影響もあり、中国のほうが待遇が良いといった賃金格差が生じているのではないかと思うのですが、その点についてご説明いただけますか? 

中山:当社は、創業から30年の間に日本と中国での状況が大きく変化しました。創業当時、日本は給与が高く、円も非常に強い時期で、ソフトウェア技術も優れていたため多くの人が日本で働いていました。

現在、中国にも子会社を持っていますが、その売上高は当グループ全体から見るとごくわずかです。つまり、当社の事業の中心は日本で展開しており、日本で働く社員1,300人以上のうち約45パーセントが中国人となっています。

先ほどご指摘いただいた問題は非常に顕著に現れています。その理由として、やはり円安の影響もあり、中国が過去20年から30年の間で驚異的な成長を遂げたことが挙げられます。その結果、資金レベルや技術レベルが大幅に向上したことも一因だと考えています。

我々はそのような中でも成長し続ける必要があります。しかし、現在の状況を考えると、中国は発展を遂げたものの、最近では若者の就職環境が厳しい傾向にあります。

坂本:そのような話をよく耳にしますね。

中山:特に中国では、就職環境が厳しいため、日本の安定した企業に入ると長く勤め続ける傾向があります。また、当社は社員の約半数が中国人であり、溶け込みやすい雰囲気が特徴です。さらに、円安による影響はあるものの、給与面でも競争力を保っています。その結果、まだ十分に有能な人材を確保できる状況にあります。

坂本:中国の優秀な方々を迎え入れることも可能ということですね。

中山:そのとおりです。ただし、今後は状況が厳しくなる可能性もあります。ただ、現段階では、このスキームを5年から10年は持続できると見込んでいます。競争力を維持するためには外部環境の影響を考慮しなければなりませんが、日本の職場環境やソフトウェア開発の市場は、中国の若い人材にとって依然として魅力のある市場であると考えています。

2026年 第1四半期 実績

中山:今年の第1四半期の数字についてご説明します。率直にお伝えすると芳しくなく、売上は昨年よりやや減少しています。それに伴い、営業利益も若干の影響を受けています。具体的には、昨年の売上が55億円だったのに対し、今年は54億円となり、営業利益は昨年の15億円に対し、今年は14億円となりました。第1四半期だけを見ると若干の減少がありますが、これは一時的な要素と認識しています。

また、我々の新しい事業計画「BASE 2030」として進めており、こちらについては後ほど詳しくご説明します。

次に配当についてです。昨年の半期配当は57円でしたが、今年は6月末を基準日として93円を予定しています。昨年に比べ36円の増配です。

期末配当も昨年の60円に対し、今年は93円を予定しており、33円の増配となります。今年は30周年にあたるため、特別記念配当として実施する予定です。この点についても後ほど詳しくご説明します。

第1四半期実績の背景と今後の方針

中山:冒頭でも少し触れましたが、当社は10年単位で転換点を迎えており、今年はちょうど2026年ですので、次の10年をどのようにしていくかをしっかりと考えなければなりません。

昨年は「BASE 2030」という中期計画を、今年を初年度として定義しました。2030年に向けての大きなテーマは2つあり、そのうちの1つがAIです。みなさまもご存じのとおり、AIは日々進化しており、当社にとってもIT企業として受託開発がメインの事業である以上、この波をどのように乗り越えていくかが重要です。

単に口先だけやきれいに計画を整えるだけで終わることなく、実際にビジネスとしてどのように落とし込むかが、当社にとって非常に重要な課題です。今年からこれを本格的にスタートさせました。具体的な取り組みの1つとして、AI推進室を新たに設置し、体制も大きく見直しました。

今年の体制の変更についてご説明します。昨年までは、2016年の選挙で選ばれた新しい役員たちがメインでトップとして活躍し、4つの本部を常務2名と上席執行役員3名の計5名で運営していました。この体制は10年間で毎年マイナーチェンジをしてきましたが、大きな変更はありませんでした。

しかし、今年は2030年を見据えて、役員たちが会社全体を考える立場に変わることを目指し、大きな改革を行いました。具体的には、役員の下に位置する執行役員層から6名を選び抜き、4つの本部を再編成して6つの統括部を設置しました。それぞれの統括部には8つの部門が属しており、この6名の執行役員が統括部を管理しています。

この新体制は今年の第1四半期から始動したばかりであり、部下やリソース、お金の管理や既存案件の引き継ぎ、新規案件の獲得など、さまざまな課題に取り組んでいます。この改革により、組織全体が単なるマイナーチェンジではなく、バージョンアップを遂げたと考えています。その結果、これまで上層部に頼り切っていた状況から脱却し、新しい執行役員たちが主導権を握るようになっています。

ただし、新しい組織体制に慣れる時間が必要であり、そのため第1四半期の業績は少し厳しい数字となっています。しかし、これは新体制移行のプロセスとして自然なものだと考えています。現在の変化が将来の会社の成長につながる一歩であり、5年先、10年先を考えると、この変革は必要不可欠なものです。

また、AIの時代にどのように対応していくかという課題に対しては、常務や上席執行役員が主導し、全力で取り組んでいます。このように新たな布石を始めたことで、会社全体としては将来に向けた確固たる基盤を築いていると自負しています。

第1四半期の業績に関しては、見た目では厳しい部分もありますが、私たちはすべて計算の上で行動しており、これからの成長を見据えた判断です。これがAI時代における成長を続けられるかどうかの鍵となるという観点で、我々は集中して取り組んでいます。今回の変革が将来の発展につながるものであることを、ぜひご理解いただければと思います。

当社の成長戦略

中山:成長戦略についてです。今回、我々は「BASE 2030」として5年計画を策定しています。この計画の重要なポイントの1つは、AI時代が確実に到来しており、今後はますますその影響が拡大するという認識です。

私たちが過去の延長線上で成り行きに任せて進むということは不可能だと考えています。そのため、AI時代に対応するためのしっかりとした体制を構築する必要があります。これに向けて、経営陣が現状の数値管理から解放され、将来に向けた布石を打てる環境を整えることが重要だという結論に至っています。

具体的には、AIをツールとして活用し、現在の労働集約型ビジネスから知識集約型ビジネスへのシフトを目指しています。先ほどもご説明しましたが、将来的には「ITサービスならベース」として認識される存在になりたいと考えています。そのためにも、我々はさらにお客さまの利便性を重視し、「ラストワンマイル」に焦点を当てたシフトを進めていきます。

「ラストワンマイル」という言葉で表現されるように、我々はエンドユーザーに最も近い存在として、受託開発を提供しています。AI時代において、この「ラストワンマイル」の重要性がさらに高まると確信しており、この領域を守りつつ、引き続き追求していく方針です。

2030年の事業MAP

中山:事業MAPも将来大きく変わっていく予定です。詳細にご説明すると時間がかかるため割愛しますが、基本的に、これまでは人をベースに勝負してきました。しかし、これからはAIやソリューションといった武器を活用し、知識で勝負していくことが基本的な方針です。

この基本的な考え方に基づき、着々と布陣を整え、それを活用していこうとしています。先ほどの歩みを示した図を見ると、今年は前回の2016年にあたる年だと考えています。したがって、次の飛躍に向けて準備をしており、着実に実行できる体制にシフトしています。これが当社の「BASE 2030」の考え方です。

タイトルにも記載していますが、これまで我々はもの作りを主軸にしてきました。その中で「ものづくりのベース」という理念に非常に誇りを持ち、それを掲げてきました。しかし、今後は「ITサービスのベース」へと方向転換していく必要があります。これはAI時代が我々に求めていることではないかと考えています。

この点について、全社に対しては非常に明確なメッセージを発信しています。そのため、ITサービスのラストワンマイルをしっかりと守ることに注力し、それを推進していきたいと思います。

ものづくりからの進化

中山:スライド左側に労働集約型について記載しています。この業界ではよく「人月」という言葉が使われ、1人のSEが1ヶ月働いてどれだけの収益を生むかという話があります。これをもとに「売上を作る時には何人かける」という考え方があり、典型的な労働集約型モデルです。

ただし、AIの導入により多くの部分をAIが代替できるようになると、私たちはお客さまに最も近い部分、いわゆる「ラストワンマイル」を担うことになります。私たちは知識を活用し、AIを駆使してお客さまに対して付加価値を提供し、それに基づいて収益を得ることを目指しています。そのため、知識集約型へのシフトを進めています。ただし、急激に移行することは難しいため、まずは付加価値を高める方向を目指しています。

このマップは非常に的確に描かれていますが、重要なのは、描かれている内容を実施に落とし込み、具体的な数値で示せるかどうかです。これが今後の勝負となるでしょう。このようなかたちでビジネスモデルの転換に取り組んでいく考えです。

AI戦略の位置づけ

中山:AIについては、どの会社も力を入れている状況です。当社が注力する分野は明確です。1つ目は、AI人材の育成です。当社はAIネイティブ企業を目指しているため、人材育成が非常に重要です。適切なプロセスや教育プログラムを通じて人材を育てていきます。

2つ目は、リサーチ機能の強化です。現在、日々状況が変化しており、1年後を誰も予測できない時代です。そのため、時代の変化についていけるリサーチ機能の整備を進めています。

3つ目は、生産性向上への活用です。AIを活用して生産性を向上させ、より利益を生み出す仕組みにしていきたいと考えています。この点についてはまだ具体的には計画段階にありますが、将来的にはAIプロダクトなども視野に入れています。

このように、人材育成、リサーチ機能の強化、生産性向上への取り組みに注力し、会社全体でこれを現実的に落とし込んでいく方針です。

「BASE 2030」という中期経営計画をいかに具体化し、数字に反映させていくかが、現在の課題であり、勝負どころだと考えています。この戦略がAIの波に乗り、うまく進めば、非常に良いかたちで将来展望ができるのではないかと思います。

配当金の推移と計画

中山:株主還元についてご説明します。当社は今年で創業30周年を迎えるにあたり、記念配当として30円をプラスするとお伝えしました。しかし、それではインパクトが少ないと考え、思い切って上半期と下半期にそれぞれ30円ずつ上乗せしました。

普通配当は順調に成長してきましたが、今年は記念配当を含めた増配により年間60円、上半期・下半期それぞれ30円ずつとなります。この結果、配当性向は70パーセント台となり、ほぼ80パーセントに達します。

基本方針

中山:我々は「営業利益100億円達成するまで、配当性向は50パーセントを目安に設定」と宣言しています。今年は記念配当を加えたことで大幅に増えていますが、基本的には配当性向50パーセントをしっかりと保証し、約束します。

また、第1四半期の数字が悪いため、スライドの2つ目の「配当予想の約束」をあらためて確認します。少々数字がぶれたとしても、配当に影響することはありません。約束した年間186円の配当は、業績が大きく変動しない限り、業績への影響なしで実施していきます。

スライドの3つ目については、2年連続で10億円前後の自社株買いを実施しており、今後も臨機応変に対応していきたいと考えています。

株主のみなさまに対して配当や自社株買いというかたちで、引き続きしっかりと還元を進めていきたいと考えています。「良い成績を出して株主のみなさまにきちんとしたかたちで応えていこう」という姿勢には変わりがありません。約束を確実に守ると同時に、今後さらに配当を上げていけるのではないかと考えています。

坂本:株主還元についておうかがいします。先ほど「第1四半期は減益ですが、配当は厳守します」というお話がありましたが、業績下振れリスクがあった場合でも減配はないという考え方なのでしょうか? また、業績が上振れた場合のイメージも併せて教えてください。

中山:我々は50パーセントという配当性向を堅持する方針です。成長を続けていく中で原資が生まれることで、普通配当が上がっていくと思っています。今年は30周年ということで記念配当を加えて60円としています。

坂本:記念配当も含まれているのですね。

中山:記念配当が維持できるかどうかは来年の業績次第ですが、普通配当については間違いなく増配していく見込みです。数字が良ければ増配しますので、50パーセントの配当性向という約束は、営業利益が100億円を達成するまでは守ります。

坂本:営業利益100億円に達するまでは、50パーセントの配当性向を目安として続けていかれるということですね。

中山:それは期待できるのではないかと思います。我々は長期的な視点で物事を捉えており、短期的な不足ではなく、トレンドがどのようになっているかを重視しています。現在、このトレンドは非常に良い状態で維持されていますので、自信を持って成長を続けていけると言えるのではないかと思っています。

坂本:もう1点、スライド3つ目にある自社株買いについてお聞きします。2024年で10億円、2025年で12億円の自社株買いを行ったとのことですが、なにかトリガーのような基準はあるのでしょうか? 「毎年やります」と具体的に宣言されるのは難しいかと思いますが、株価が安すぎることが決定の要因になるのか、またその額をどのように調整していくのか、イメージがあれば教えてください。

中山:我々のメインの考え方として、やはり株価が大きな要素となります。配当と自社株買いのどちらを選択するのが株主のみなさまの利益に最も適しているかを常に検討しています。

ただ、トリガーについては、配当のように「50パーセントを維持します」と宣言することは難しいです。なぜなら、経営のフリーハンドを維持したいという考えがあるため、現時点では宣言は控えています。

しかし、この流れをご注目いただきたいと思います。我々は株価を意識して経営を行っており、さらに財務基盤も非常に強固です。

坂本:自己資本比率がかなり高いですよね。

中山:そのとおりです。例えば何かを進めようとする場合にも、原資の余裕が十分にあり、いわゆる財務的な観点でも実行する能力は十分に備わっていると考えています。

投資ハイライト

中山:ここは本日、最もお伝えしたい話ですが、投資家として気になるのは、この会社がしっかり成長していくか、株主に対して配慮があるかという点だと思います。1年ごとの成長については、年によっては何か特別要素などがある可能性もあります。

当社は2019年に上場しましたが、2019年から2025年までの期間を考えると、営業利益の成長率は年平均で22.8パーセントでした。これはどこでも誇りを持ってお伝えできる数字だと考えています。

坂本:これは驚異的です。平均して約20パーセントの成長を続けているプライム企業は、ほとんどありませんね。単年や数年での成長はあっても、これだけの平均成長率を維持するのは非常にすごいことです。

中山:これは自信を持てる成果だと思っています。

坂本:私も同感です。

中山:配当性向は、現在73.9パーセントです。配当利回りは、スライドに6.1パーセントと記載していますが、昨日の株価で計算すると6.5パーセントを超えています。

6月末の時点で半期分を計算すれば、利回りは3パーセント台を確保できる状況です。この点からも、配当利回りは非常に魅力的な数字であると考えています。プライム市場で6.5パーセントを出しています。

さらに、ROEは30.7パーセントと非常に高い水準であり、これは胸を張れる数字だと思います。PBRは昨日の時点で3.63倍となっています。

私が最も注目しているのがPERです。昨日の時点では11.3倍となっており、いくらなんでもこの数字は低すぎるのではないかと思います。ここで発言していいかは判断が必要ですが、営業利益の年平均成長率が22.8パーセント増加している企業で、このPERは適切ではないと感じています。

そのため私たちは、数字的な成長がしっかりと実現できていることや、長期的な成長の実現を重視する企業であることを強調しています。「BASE 2030」では第1四半期に一時的な落ち込みがあっても、それを受け入れ、次の成長の土台を構築するために全力を注いでいます。

このような観点から見ると、現在のPERが11.3倍というのは残念なことです。だからこそ、本日の機会を活用して、当社の魅力を最大限にアピールしていければと思っています。

社長メッセージ

中山:株主や投資家のみなさまのご期待にしっかりとお応えし、報いていきたいと考えています。ただし、四半期や半期、年度といった短期的な視点よりも、長期的な視点を重視しています。このAIの時代において、長期的に成長し続けられる基盤がしっかりと構築されているかどうか、私はその土台作りを最も重視しています。

多少の犠牲が必要となる場合でも、この部分に力を注いでいきたいと考えています。みなさまには、今後ともぜひご支援をお願いします。

IRイベント等

中山:他の場所でもIRイベントを開催していますので、ぜひご覧いただければと思います。

免責事項・注意事項

中山:お問い合わせはベースのIR室までお願いします。私のプレゼンは以上です。

質疑応答:M&Aにおける戦略と考え方について

坂本:「M&Aの可能性はありますか?」というご質問です。御社は75.3パーセントと非常に高い自己資本比率をお持ちですし、成長という意味ではM&Aを実施できる資金をお持ちかと思います。

もしM&Aを実施される場合、どのような会社を検討されているのでしょうか? また、御社は本日のお話の中でも利益率に非常にこだわりを持っておられるというお話がありました。一方で、M&Aでは買収した企業の影響で利益率が下がってしまうというリスクがあると思います。御社は高い利益率を誇り、極めて稀有な存在であると考えています。そのため、M&Aに踏み込むことには一定の難しさがあるように思えます。

いろいろな考え方があると思いますが、「利益率を落としても結局EPSが増えればいいのではないか」という選択肢もあると考えます。このようなバランスを踏まえたM&Aに関するお考えについて包括的に教えてください。

中山:経営側としては常に考えていることですが、我々は以前からお伝えしているとおり、オープンなスタンスです。M&Aで良い案件があれば、適切に検討します。会社の規模を拡大する際には、「お金で時間を買う」という考えのもと、常にオープンな姿勢で対応していく方針です。

ただし、現実的には資金があるから、あるいは良い話があればすぐに進むというわけではありません。ご指摘のとおり、当社の強みをM&Aでさらに強化できるのであれば非常に理想的です。しかし、M&Aによって普通の会社になってしまうことは避けたいと考えています。そのため、相手企業については慎重に検討していきます。

当社は独自性を持ち、常にチャレンジ精神を大切にしています。また、ダイバーシティを重視した文化を強みとしているため、M&Aの相手が当社の特徴や強みをさらに磨き、高めてくれるようなパートナーであれば、迷うことなく実行します。

しかしながら、このような要素をすべて兼ね備えた相手を見つけるのは非常に難しいのが現状です。さまざまな業者とコンタクトを取りながら取り組んでいますが、最終的にクロージングまで至る案件は多くないという課題もあります。

我々の成長の軸である「高成長・高収益」を守り続けるためには、M&Aもプラスに働くことが絶対条件となります。しかし、その条件を満たすのは難しいという点も事実として認識しています。

坂本:御社の場合、エンジニアが増えることで仕事を受けられるようになると思います。私の勝手な想像ですが、「発展途上国のエンジニアを抱えている企業を買いに行く」というようなイメージを持っています。そのあたりについて、なにかお考えはありますか?

中山:例えばベトナムなどの話も含めて、文化的な融合についてはいろいろな見方があります。我々のビジネスでは、社員の半分ほどが外国人です。しかし、当社の価値観や取り組みの色合いは、日本のソフトハウスとまったく同じです。

坂本:ダイバーシティ環境であり、中国の方もいらっしゃいますが、ということですね。

中山:そのとおりです。ただし、お客さまに提供するインターフェースは、日本企業とまったく同じでなければなりません。

坂本:つまり、今までどおりにはできなくなるということですね。

中山:そのとおりです。我々の社員構成は日本人が約55パーセントですが、中国人スタッフであっても日本語や日本らしい考え方を理解する必要があります。ただ、考え方というのは言葉だけでは伝わらず、日本のお客さまが何を重視しているのかを理解することが重要です。よくある話ですが、日本では「行間を読む」「空気を読む」といったことが当たり前ですが、外国人にとってはそれが難しいテーマになります。

例えば、この場の雰囲気や空気を読むといったことは難しいですが、我々としてはそのような能力を求めています。なぜなら、お客さまから「外国企業」と見られた時点で終わりですので、我々は誰が見ても日本のやり方と変わらないスタイルを維持することを要求します。そのため、この点に関しては検討の余地がありますが、いわゆる洗練されたビジネススタイルを構築できるかどうかは課題だと感じています。

要するに、M&Aを進めると企業としての規模が大きくなり、「サイズだけは大きい。でも、光っているところは何もない」という事態に陥ることは避けたいのです。

坂本:確かに、日本の企業が発展途上国に出資する際には「一緒にやりましょう」と言って簡単な作業を振るイメージがありますが、そのようなことなのですね。

中山:そのように役割分担があるということです。

坂本:役割分担があり、「行間を読む」というところまでは至っておらず、手間がかかるということなのですね。

中山:そのようなこともあると思います。

質疑応答:AIの影響と活用に対する見解について

坂本:AIの影響についてです。この点に関してはよく質問をいただくのですが、御社はAIをうまく活用しながら成長したいとのお話がありました。「SaaSの死」に関連する話ですが、ソフトウェアを開発している会社は影響を受けにくいと考えます。

しかし、最も影響を受けるのは、ツールを開発し、サブスクリプションモデルで提供を行っている企業だと思います。このあたりについて、御社には今のところ影響はないのですか?

中山:我々はこの業界に身を置いている立場から、AIの影響が大きいと考えています。実際、当社の顧客の受注残の動きなどから見ても、現場のビジネススタイルが変わっていく可能性が高いと感じています。例えば、これまでのもの作りではコーディングやテスト、仕様書の作成などが必要でしたが、その多くの部分がAIによって代替される可能性があるのではないかと考えています。

重要なのは、このような変化に対して、「このAIが作っているものは正しいものですか? 使っていいものですか? 本当にこれから使ってバージョンアップやメンテナンスができるものですか?」といった判断を、我々がお客さまと共に行うことです。AIはものを即座に作り出すことができますが、その作成物が本当に使用に耐えるものかどうかを判断することや、新たなニーズを汲み取ること、さらにはAIにそれを理解させて作らせることができるかが鍵となります。

おっしゃるとおり、現在はサブスクリプションやツールが主流ですが、これからはさまざまな分野においてAIが浸透していくと思われます。そのため、浸透した分野で対応できるようにすること、さらには我々が率先してAIの普及を進めていくことが重要だと考えています。

そして、このことを自社に置き換えると、新しい技術の検知や学習について、意思決定を行う責任者がきちんと機能しているかどうかが非常に重要だと感じています。現在、当社では上位5人のメンバーが集中して取り組むことで、AIの波を現場のビジネスに迅速に落とし込んでいこうとしています。この取り組みによって、事業スタイルが変化していくのではないかと思っています。

質疑応答:赤字を出さない高収益の秘訣と企業文化について

坂本:これまで赤字を出したことがないということですが、この成長を続けられた秘訣や高収益を実現できた理由について、今日のまとめとして教えてください。

中山:当社は実は20年前から「唯一のKPIは、営業利益の絶対額の成長」というコンセプトを掲げており、その成果が表れてきたと感じています。幹部や部長、統括部長、役員を含むすべての社員が共通して「達成率はどのぐらい」と話しており、その基盤となっているのが「営業利益はどのぐらい」という概念です。当社は当初から営業利益を重要視してきました。

その理由は、我々のミッションに深く結びついているからです。当社は常にお客さまに新しい価値を提供し続け、その価値を測る指標として営業利益が最も適していると考えています。お客さまから「このサービス、このビジネス、この産業には価値がある」と認められることで、適切な利益を生み出せると確信しています。

営業利益の成長を追求し続けてきた当社の姿勢は、長い年月を経て企業文化として根づいています。すべての社員が1つのKPIに集約し、このような文化を築いていること自体が、当社の成長の基盤であると考えています。

また、当社の判断基準は「お客さまに対して、本当に新しい価値を提供しているか」に集約されています。そのため、特定の個人や施策に頼るのではなく、この考え方が全社員の頭に深く刻まれていることが、当社の強みだと自負しています。

中山氏からのご挨拶

中山:当社は非常に地味な企業ではありますが、AIを1つのチャンスと捉え、この機会を活かして堅実なビジネスを展開していきたいと思っています。我々の努力によってお客さまや株主のみなさまのご期待に応えていけるよう努めたいと思います。

コツコツと地道に取り組んでいきますが、新しいチャレンジも絶えず行っていきたいと考えています。ぜひ応援をお願いします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:これまで赤字を出したことがないというお話でしたが、成長を続けながらそれができた秘訣は何ですか?

回答:創業以来、会社経営において最も重要なのは利益を着実に確保することであるという考えのもと、常に利益を重要なKPIとして重視してきました。

また、当社の主力である受託開発事業は、大きな先行投資や研究開発費を必要としにくい特性があり、そのような事業構造も継続的に利益を確保できてきた要因の1つであると考えています。

<質問2>

質問:業績悪化は一時的ということですが、納得がいきません。前期も予想にやや未達、特に第4四半期で大きく失速した印象です。思うに、AIによって元請け各社の業務が効率化し、外注を減らしているのではないでしょうか? 受託特化でやっている御社のビジネスモデルの弊害が出ているのではないでしょうか?

回答:直近の業績にご懸念をお持ちである点は真摯に受け止めています。一方で、足元の業績に影響を与えた主因は、外部環境の急激な変化というよりも、トラブル案件への対応や、社内の組織変更、ならびに営業活動の一時的な停滞によるものが大きいという認識です。実際に、需要環境自体は引き続き旺盛であり、案件の減少や市場縮小が起きている状況ではないと考えています。

AIによる影響については、ご指摘のとおり中長期的には「内製化」や「外注削減」の動きが一部で進む可能性はあると見ていますが、現時点の現場レベルでは、DXやAI需要はむしろ拡大しており、人材不足は依然として深刻な状況です。

特に業務システム領域においては、システムの複雑性や信頼性確保の観点からAI単体では完結できず、SEの知見が引き続き不可欠であると考えています。そのため、短期的には外注需要の減少よりも「AI活用による生産性向上を通じた案件対応力の拡大」効果の方が大きいと見ています。

今後のAI時代に向けては、人月ベースから成果物ベースへのシフトや、AI活用による単価向上・付加価値向上といった方向への転換を段階的に進める方針です。

<質問3>

質問:創業からここまで会社を大きくされる中で苦労も多かったと思いますが、一番大変だったことは何ですか?

回答:ITバブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍など、これまで幾度となく厳しい局面を経験してきましたが、中でも一貫して苦労してきたのは、人材不足への対応と人材育成であると考えています。

社内でもよく出る話の1つですが、ここまでの経営は常に「人が足りない」か「案件が足りない」か、いずれかの課題と向き合うことの連続でした。上場後は、上場前と比べて採用面で一定の改善が見られるようになり、教育体制についても以前より体系化が進んでいます。

一方で、特に教育に関しては、事業環境や技術動向の変化に応じて継続的な見直しとアップデートが必要であると認識しています。そのため、今後も絶え間なく改善を重ねていく必要があると考えています。

<質問4>

質問:労働集約型からの脱却について、AI活用により、人員数に比例しない「非線形な成長」へどう転換し、利益率を向上させる計画なのか知りたいです。

回答:現在は労働集約型で、基本的には1人月当たりの対価を積み上げるかたちで売上が構成されていますが、今後は徐々にこのような人月ベースの収益モデルから、成果物に対して対価をいただくかたちへと徐々にシフトしていく方向性を想定しています。

AI活用により高付加価値なサービスを提供できれば、現状の人月型案件でも単価向上が期待でき、また、将来的に成果物型案件にシフトした際にもAIで生産性を向上できれば利益率の改善につなげられると考えています。

もっとも、利益率を上げていきたいというよりも、当社としては利益額の成長を重視しています。AI活用により、より幅広い案件を受注して規模を拡大することで、事業規模の成長につなげていきたいと考えています。

<質問5>

質問:中経・目標の進捗に関係して、第1四半期の受注停滞から回復し通期目標を達成するための見通しは立っていますか?

回答:第2四半期から影響がまったくなくなり、回復するという状況を見込んでいるわけではありません。組織体制は徐々に機能し始めていますが、営業活動が一時的に停滞していた影響の解消には一定の時差が生じると考えています。一方で、通期目標の達成に向けては、挽回できるように全社として強い危機感を持って対応をしています。

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