ラウンドワン<4680>の株価が好調です。「え、ラウンドワンなんか学生の遊び場だから大して儲からなんじゃないの?」……いえいえ、そんなことはありません。コロナ禍で業績が落ち込みましたが、その後は見事なV回復。今期25年3月期は、過去最高の売上と営業利益を達成する見込みです。今回は、ラウンドワンのビジネスの内容を見ながら、なぜ伸びているのか?今後の成長性はあるのか?について考えていきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)
プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。
ラウンドワンの歴史と業績

ラウンドワン<4680>月足(SBI証券提供)
ラウンドワンはボーリング、アミューズメント(ゲームセンター)、カラオケ、スポッチャなど多様なアクティビティを提供する複合型のアミューズメント施設を展開しています。
同社の歴史は古く、1980年に大阪でゲームコーナー併設のローラースケート場として創業しました。2年後の82年にボーリング場の経営を開始したわけですが、これより少し前の1970年頃にボーリングの大ブームが訪れていました。2021年現在のボーリング場の数は673軒であるのに対し、1972年のボーリング場はなんと3,697件。当時は、女子プロ初の公認パーフェクトゲームを達成した中山律子さんなどがメディアに出たことで、ボーリングがブームになったのです。
創業当時のボーリング場の数は、約1,000件とブームが落ち着ついていたため、当時最先端だったコンピュータボーリング設備を導入し、生き残りに向けて事業を拡大しています。このボーリング場を基盤に、その後クレーンゲームやビリヤード場が併設される現在の複合施設の原型が作られたと言えるでしょう。
では業績はどうでしょうか?売上と営業利益の推移を見てみましょう。

ラウンドワン<4680>通期業績推移(SBI証券提供)
2007年から2020年における売上は増加していますが、利益は伸び悩んでいます。ラウンドワンの主な顧客は、10代から20代の若年層ですから、少子高齢化の影響で、市場が縮小し、その影響を受けていたのです。そして、2020年の緊急事態宣言で外出する機会が消滅し、2021年には大幅な赤字に転落しています。
しかし、それ以降、急速に成長が加速しています。
売上を部門別に分けてみると、ゲームセンター等のアミューズメント事業(ゲームセンター)が急速に成長していることがわかります。
出典:決算短信より作成
では、アミューズメント事業の成長について深掘りしていきます。