■今後の見通し
1. 2027年3月期の業績見通し
システムズ・デザイン<3766>の2027年3月期の連結業績は、売上高10,418百万円(前期比4.2%増)、営業利益631百万円(同5.9%増)、経常利益652百万円(同7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益415百万円(同5.7%増)と増収増益、かつ過去最高を更新する見込みである。第9次中期経営計画の推進にあたり、経営体制をより一層強化するため、2026年6月23日付で隈元裕氏が代表取締役会長、岡田秀明氏が代表取締役社長、長谷賢一氏が常務取締役に就任する新体制へと移行した。会長は、取締役会議長及び株主総会議長として経営の統括・監督や対外活動を担うほか、M&Aや資本政策を含む長期戦略を担当する。社長は、業務執行の最高責任者として中期経営計画の達成に向けた各施策の推進及びグループ全体の舵取りを行う。また、常務取締役はM&Aなどの大型投資や、財務・IR、人事といった重要事項への対応を統括する。
第9次中期経営計画の初年度においては、基本的には中計施策を着実に実行していく。今期におけるシステム開発事業の焦点としては、2025年3月期に受注した大規模案件が開発の最終段階を迎えるため、業績への一定の貢献を見込む。また、既存の主要顧客から高収益案件を継続して受注することや、子会社が好調な業績を維持することを見込んでおり、今後はさらに業種別戦略の強化を図る。あわせて、ローコード開発ツールやSalesforce、クラウドなどの開発プラットフォームを活用したソリューションビジネスの拡充を引き続き推進する。ローコード開発ツールを巡っては、生成AIの市場浸透速度が同ツールの登場時を上回っていることへの警戒感を持ちつつも、同社のツールは一定規模以上の企業体で利用されているという特徴がある。そのため、セキュリティリスクなどの観点から、事業環境が急激に停滞することはないと同社では考えている。他方で、ローコード開発ツールの開発元との連携を通じて、AIを活用したサービス展開を模索していく方針である。また、既存顧客と進めてきたAI適用の検討は、足元で実際の案件として具現化し始めている。さらに、IoTベンチャーであるテクサーと、同社のデータ分析技術を組み合わせたサービスの提供や、両社のノウハウ及び保有データを活用した新サービス創出の取り組みなど、サービスビジネスを本格的に始動させる。アウトソーシング事業においては、オンサイトビジネスの強化を図る一方で低収益ビジネスの見直しを進め、同社の強みを活かした顧客企業の特定業務改善など、ソリューションビジネスへの転換を強力に推進する。また、業務提携先との連携を拡大するとともに、新サービスの立ち上げに向けた新たな協業も検討するなど、従来の労働集約型から新たなビジネスモデルへの変革に向けた取り組みを加速させていく。
損益及び全体方針においては、人的資本投資の拡充や健康経営の推進、サステナビリティ関連の各種取り組みに継続して注力する。M&Aやマイノリティ投資の活性化といった積極的な成長投資を進めるものの、事業成長に伴う利益増により、各段階利益で手堅く増益を見込んでいる。
2. 「10年後のありたい姿」と第9次中期経営計画
「10年後のありたい姿」として設定した2036年3月期の売上高250億円以上、営業利益率10.0%以上に向けて、第9次中期経営計画(2027年3月期~2029年3月期)を推進していく。なお、同中期経営計画の目標値は、売上高125億円以上、営業利益率6.5%以上、ROE10.0%以上、DOE5.0%以上とした。同計画が掲げる売上高目標と2026年3月期実績との間には約25億円の乖離があるが、計画期間中のオーガニック成長で17億~18億円程度、残りの7億~8億円程度をM&Aを含めた新規事業及びサービスの創出などによって積み上げていく方針である。
スローガンには「ONE sdc~ステークホルダーとともに、広がる価値をカタチに~」を掲げ、ビジョンとして「新たな収益基盤を拡大する」「社会の持続的な成長に貢献する」を設定した。第8次中期経営計画では、組織体制の維持及び筋肉質化を図りつつ、堅実に成長していくことに主眼を置いてきた。これを踏まえ、第9次中期経営計画では、改善及び最適化が進んだ組織が一丸となり、より具体的な成果を出す期間にすることを目指している。スローガンにある「カタチに」という表現には、その決意が込められている。今後は「事業戦略」「財務・IR戦略」「企業文化」の3つを重点戦略として掲げ、2029年3月期目標の達成に向けた各種施策に取り組んでいく。
(1) 事業戦略〜事業ポートフォリオ戦略、顧客戦略、ソリューション・サービス戦略、リソース戦略〜
大枠として、事業ポートフォリオ戦略を基盤とする。同戦略では、大幅な組織再編を通じてグループシナジーとポテンシャルを最大限に発揮できるよう、事業構成の見直しを目指していく。具体的には、モビリティ、ヘルスケア、重点顧客の業務及びシステム、ソリューション、アウトソーシングといった領域における知見を最大限に活かすため、各事業部が専門分野に特化したミッションに集中する組織へと再編成する。特にモビリティ及びヘルスケア分野に注力する方針であり、両分野のサービス部隊を統合してサービスとナレッジの深耕を図る。併せて、システム営業本部を発展的に解消し、営業部隊を各事業部長の配下に再編することで、製販一体となった営業体制へと移行する。また、サービスビジネスを拡大するための専門組織「ビジネス推進本部」を新設するほか、事業部間の横串機能の拡充、子会社を含めた経営の見える化を推進する。特に、事業部長の権限で柔軟に組織を構成・再編し、要員の異動を行える「プロジェクト型組織」へ移行することにより、人員のタイムリーかつ最適なアサインを加速させ、全体効率のさらなる向上が期待される。この大枠を踏まえ、今後は「顧客戦略」「ソリューション・サービス戦略」「リソース戦略」を展開していく計画である。
顧客戦略では、生成AIの登場によりシステム開発における重要性が増している「顧客への理解度」を徹底的に深め、顧客基盤の拡大を図るとともに、他領域及び他業種への展開を目指す。ソリューション・サービス戦略では、テクサーと共同開発した展示会DX×AIデータ分析サービス「AiMeet AI Insight」を成功事例とし、ソリューションのラインナップをさらに強化しながら、サービスビジネスを本格的に始動させる。リソース戦略では、組織と個人のケイパビリティを拡大し、リソースの継続的な強化を図る。従業員の安定的な採用、特に上流案件や高付加価値案件を主導できるPMの増強を本格化させる。また、2026年3月期末時点で5社であるコアパートナーの拡充も並行して推進し、外部リソースを強化していく。なお、中期経営計画の最終年度におけるコアパートナーの目標数は10社である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 若杉 孝)
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