■property technologies<5527>の事業概要
3. 戸建住宅事業
戸建住宅事業では、山口県を地盤とするファーストホームと秋田県を地盤とするサンコーホームの2社が、注文住宅請負などの事業を行っている。在来軸組工法を得意とするファーストホームは、地元の不動産業者や建築業者とのネットワークが強く、取引先などからの紹介による受注が約4割と一般的な住宅会社の4倍超となっている。サンコーホームは、祖業の宮大工に現代の技術・材料を組みあわせた高機能性(耐震性・耐久性・省エネルギー性)やデザイン、安心の保証を強みとしている。いずれも高機能のハイエンド住宅からコスト重視の規格住宅まで展開しており、工事は安定した工程管理とクオリティが特徴の協力会社が行っている。特に主力の注文住宅は一定の需要層が存在し、新築住宅着工件数が低迷するなかでも堅調に推移しているようだ。また、メンテナンス工事や大型リフォームなども丁寧にこなすため顧客からの信頼が厚く、既存顧客(OB)※がリピートしてくれるだけでなく、各種イベントの際などに新規顧客を紹介してくれることも多いようだ。このため、戸建住宅の業界が逆風にさらされるなか、2社の業績は順調に推移しており、投資やマーケティングも積極的に実行している。
※ 同社で注文住宅を建築した顧客のこと。アフターサービスやリフォームのためにOBのデータを管理している。また、感謝祭などOBを対象としたイベントを開催しており、コロナ禍後初めて開催されたイベントには1,000名を超えるOB関係者が集まった。
ネットワーク、テクノロジー、組織文化に強み
4. 同社の強み
同社はリアルなネットワーク、データとテクノロジーを融合した仕組み、組織文化という強みを背景に、優位性のある独自のビジネスモデルを構築している。リアルなネットワークに関しては、23拠点(ホームネット15拠点、戸建住宅事業8拠点)を全国に展開し、業界でも数少ない地方都市をカバーする体制を築いている。このためネットワークが年々拡大しており、2026年5月末時点で取引仲介先会社数7,921社、取引仲介会社拠点数11,778拠点、取引仲介会社営業員数33,872名、ホームネット取引金融機関86行となっている。これにポータルサイト「KAITRY」からの査定数も加わり、ネットワークのさらなる強化につながっている。
リアルな不動産ビジネスや「KAITRY」を通じて蓄積してきた成約価格などのデータを本業に生かすとともに、仲介会社などに向けて、コミュニケーションを密にする案件管理システムや実務に沿って業務を効率化する物件管理システムなどを独自で開発してきた。なかでも2020年に欧州企業と組んで開発したAI査定システムは、売出価格というビッグデータに稀少性の高い成約価格を加えて算出した同社独自の買取参考価格を提示することで、取引事例の比較にエリア定量評価を加味して比較対象として相応しい取引事例を選択できるだけでなく、取引事例の少ない地域では様々なデータに利用して査定精度を向上できるシステムである。しかも、社内外向けに5秒で査定価格を提示できるほか、同社の新人営業員が約5時間(データベースが揃っていない一般の再販業者は1〜2日)かけて行っていた算出を約30分に短縮するなど、素早い価格査定による業務の効率化と顧客の利便性向上に大きく貢献している。AI査定システムは同社の成長基盤であり、社内DXやSaaSサービスのキーシステムにもなっている。同社では引き続き、IT基盤の拡充や全国の営業員との情報連携の強化などリアルとテクノロジーを融合したビジネスの進化(対象の拡大/新規施策)・深化(効率化/利便性向上)を図る考えである。
組織文化も強みである。同社の社員はテクノロジー活用の本質を理解しているためテクノロジーと人的作業の分業を積極的に進めている。それによって創り出された時間は顧客目線のタスクやテクノロジーを生かした高付加価値サービスの開発に充てるなど、効率的な働き方につながっている。また、不動産取引で一般に必要とされる知識や経験をテクノロジーで補完できるため、柔軟な対応やチーム力、風通しの良い環境、人材の早期育成、顧客目線の開発、仕入から販売までを担当が受け持つ一貫体制といった組織風土を醸成している。こうした企業文化の強みは、リアルなネットワーク、データとテクノロジーの融合という他の2つの強みに実効性をもたらしていると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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