■サンフロンティア不動産<8934>の会社概要
1. 会社概要
同社グループは、東京におけるオフィスビルを中心に、不動産活用の専門サービスを展開している。事業は「不動産再生」「不動産サービス」「ホテル・観光」「その他」の4セグメントで構成される。不動産再生事業では、東京都心の中小型オフィスを中心としたリプランニング物件の販売に加え、新築ビル開発、不動産小口所有商品の組成・販売、都内レジデンシャル物件の開発、ニューヨークのアパートメント再生物件の販売、さらに賃貸ビルの運営を行っている。一方、不動産サービス事業では、売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメント、ビルメンテナンス、滞納賃料保証、貸会議室運営など、多様なサービスを手掛けている。ホテル・観光事業ではホテルの運営・開発などを手掛けており、その他の事業では海外開発事業や建設事業に取り組んでいる。不動産再生事業を軸に、最適な事業ポートフォリオを構築することで、収益の多角化を実現している。
2. 沿革
同社グループは1999年4月に不動産の売買・賃貸・管理及びその仲介を目的として設立された。創業者である堀口智顕(ほりぐち ともあき)氏は、不動産再生事業のパイオニアである。収益性が悪化した都心の中小オフィスビルを次々と高稼働・高収益賃貸ビルへと再生してきた。そして設立から5年後の2004年12月、ジャスダック証券取引所に上場を果たし、2007年2月には東京証券取引所第一部(現 プライム市場)に上場した。2015年8月にはホテルマネジメント事業を、2017年11月には地域創生事業を開始し、顧客の喜びを通じて地域社会の発展に貢献している。2019年4月には創立20周年を迎え、次世代を担う人財の育成とさらなる経営基盤の強化を目的として、2020年4月に齋藤清一(さいとう せいいち)氏が代表取締役社長に就任した。直近では、2026年7月に(株)アエラスおよび同社グループ会社をM&Aにより取得した。
■事業概要
既存不動産の活用と流通への取り組みにより、顧客の資産価値の最大化を実現
同社グループは、ビル経営におけるすべてのステップをワンストップで提供しており、都心オフィスビル事業を中核に据え、ホテル・観光事業などにも取り組んでいる。ビル経営における各ステップで、同社グループの主要サービスを独自の事業として構築することで専門性を追求し、競争優位性を確保している。また、部門横断サービスの連携により、顧客視点に基づく付加価値提供を実現している。
1. 不動産再生事業
不動産再生事業では、「リプランニング事業」「賃貸ビル事業」を手掛けている。
「リプランニング事業」は、稼働率の低い収益不動産やリニューアルを要する建物を取得し、高収益の不動産に再生したうえで富裕層・資産家・事業法人・ファンド等へ販売している。日頃からテナントのニーズを把握しているプロパティマネジメントや賃貸仲介のノウハウを活用して時代やニーズにマッチしたオフィス空間を企画・演出し、コストパフォーマンスを追求した改修工事を行っている。そして、地域密着によるリーシング力を生かして早期満室稼働を実現し、収益性を高めている。
リプランニング事業において特徴的な商品化方法の1つである「セットアップオフィス」は、通常の賃貸オフィスとは異なり、受付や応接室などの設営や執務エリアにデザイン性の高い内装工事を施し、設備や什器の一部を予め設置した状態で貸し出すものである。入居テナント企業には、4つのメリットがある。1) オフィス内装の検討や業者選定などの手間がかからず、担当者の負担を軽減する。2) 配線関連や引越以外の作業が不要なため、移転後すぐに利用でき、テナント側で負担する内装工事や原状回復の工期が大幅に短縮されることで、契約期間内における正味の利用可能期間が増加する。3) オフィス内装の費用負担を削減できるため、テナント側での内装資産計上が不要となり、財務負担が軽減される。4) 意匠性と機能性が両立したオフィス内装により、人財採用や社員のモチベーション、生産性の向上が期待できる。これは地域特性に精通し、テナント動向を的確に把握している同社グループならではの商品である。
近年のオフィスのトレンドについては、全体的には大きな変化は見られないものの、人財採用の観点から若手が好むようなデザインが重視される傾向にある。同社が手掛けるセットアップオフィスでは、落ち着いた木目調のデスクや彩度を抑えた内装を採用している。天井はコンクリートむき出し仕様とし、高さを確保することで開放感のあるオフィスを創出している。アクセントとして壁にアートを配置することもある。機能面では、一人用のWeb会議ブースを標準装備とし、家具メーカーと共同開発した可動式のブースを導入している。これは、会議室の確保が困難なコワーキングスペースからの移転ニーズを的確に捉えたものである。同社のセットアップオフィスは、収容人数10名程度の小規模なワンフロア設計であっても、会議スペースや男女別トイレを完備している。こうした設備面での利便性が利用者の実利的なニーズに合致し、高い成約率へとつながっている。
同社グループはセットアップオフィスの先駆者として、ノウハウと情報網を持つ。社是である「利他」の精神により顧客目線を貫き、新規入居者の希望や既存入居者の要望を迅速に商品に生かすことで、セットアップオフィス市場における競争優位性の源泉となっている。
また、「賃貸ビル事業」は、リプランニング事業における賃貸ビル物件数を拡大しながら、不動産サービス部門で培ったオペレーション力を活用することで、安定的な賃料収入を得ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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