安倍晋三氏の突然の首相辞任を受けて行われる自民党の総裁選。2日に行われた臨時の総務会で8日告示、14日投開票とすることが正式に決まった。
また先ほど、自民党最大派閥の細田派などが支持する菅義偉氏が、総裁選への立候補を表明。すでに名乗りを上げている石破茂氏、岸田文雄氏をくわえた3氏によって、総裁の座が争われる構図となった。
候補者たちがアピールしたがる「違った一面」
自民党総裁選が近づいてくると、テレビ・新聞などの各メディアで取り上げられることが多くなるのが、各総裁候補者たちの「素顔」。普段あまり窺い知ることができない大物政治家の違った一面が見えるのは、それはそれで興味深くはあるが、「こんな時に限ってイイ面しやがって……」と訝しむ人がほとんどではないだろうか。
自民党総裁選への立候補を明言した
岸田文雄政調会長はカープファン pic.twitter.com/j1Ax6oEWfW— 16+14=30 (@Carpcapicapi14) August 30, 2020
夜のテレビ出演の合間に、地元から上京してきてくれた妻が食事を作ってくれました。
ありがたいです。#岸田文雄 #自民党総裁選 #束の間のひととき #妻の手料理 pic.twitter.com/tWWgML58l2— 岸田文雄 (@kishida230) September 1, 2020
今回が初の総裁選出馬となる岸田氏は、ここに来てそんな「違った一面」アピールに躍起だ。先日は情報番組に出演して広島カープに対する愛を語ってみたり、また自身のツイッターでは、奥様を前に手料理を食べる“オフショット”まで公開。ただし、この“オフショット”に関しては、「わざとらしい」「ご主人様とメイドって感じ」といったコメントが寄せられるなど、世間の反応はすこぶる悪い。
事務局です。
本日、22:00~BS日テレ「深層NEWS」、石破×前原…鉄道旅第3弾後編が放送されます。https://t.co/Os9vEkIClG pic.twitter.com/sLHnSzzDWn— 石破茂 (@shigeruishiba) January 11, 2019
いっぽう、これが4度目の総裁選出馬となる石破氏は、すでに「違った一面」も出尽くしてしまった印象。政界屈指のアイドル好きでミリタリーマニアにして鉄道ファンという、オタク気質全開なところが一部の層からの絶大な支持に繋がっているようだが、にもかかわらず総裁選でなかなか勝てないところが、何とも物悲しい。
3000円のパンケーキ食べて批判された、管官房長官。
・秋田のイチゴ農家から上京
・東京の段ボール工場で働きながら勉強し大学へ
・就職後、政治家秘書を11年
・自民から出馬し初当選
・激務の官房長官在職期間が歴代1位…そんな苦労人がパンケーキ食うくらいいいだろ!
見ろこの笑顔!もっと食え! pic.twitter.com/yTJm4glYSJ— キラ@MOOV (@KOH_KIRA) October 23, 2019
そして、今回の総裁選を優位に進めそうな菅氏。官房長官を長らく務め、その顔は馴染み深いものの、日々の会見をそつなくこなす姿から、冷たい印象も持たれがちだったが、ここ数年は例の「令和おじさん」や「実はパンケーキ好き」といった報道で、冷徹イメージを払拭しつつある状況。出馬表明は遅かったが、実は「ポスト安倍」に向けて最も用意周到だったのは、このお人だったのかもしれない。
SNSではなぜか麻生太郎のオシャレぶりが話題に
そんな3氏による争いが本格化するなか、SNS上ではなぜか総裁選には出馬しない麻生太郎氏の話題が、にわかに盛り上がる事態となっている。
麻生大臣、すげーなとは思うのはあのスーツね。
いつだって袖口にシャツがのぞく。オーダースーツでちゃんとシャツもあわせてんだなと思うんですよ。
こればっかりはいつも感心してる。
右のアイス食べていてもそう。上から下まで決まってる。横のSPの人みたいにジャケットあってないのが普通でね。 pic.twitter.com/ZVvHasSVyZ— BARSERGA (@BARSERGA) September 1, 2020
たしかに麻生氏がオシャレでダンディなのは誰もが知るところ。とはいえ、何故このタイミングで……と思わなくもない。今になってこの話題が出てきた経緯は全くもって不明だが、9月1日に投稿されたこの投稿は、2日17時時点で3万6000以上のいいねを集める人気に。先述した岸田氏の“オフショットツイート”が、同時点で5500程度のいいねに留まっているのと比べると、相当な大差である。
コロナ禍の緊急事態のさなかという理由で、今回は本来のルールである党員投票は実施せず、両院議員総会を開いて新しい総裁を選ぶこととなった自民党総裁選。国民の声どころか、市井の自民党員たちの声すら顧みられることなく、上だけで新しい国のリーダーを決めようとする流れに対しての不信やアンチテーゼが、このように総裁選に出ない麻生氏の話題で盛り上がるという形で発露したのかもしれない。
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