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なぜバイデン勝利確定を無視して暴挙に?トランプを操る勢力の狙い=高島康司

異議を唱える共和党議員の背後にはコーク一族

では、いまの状況となってはバイデンの勝利は揺るがないにもかかわらず、なぜ一部の共和党議員は開票結果の確定に異議を唱えているのだろうか?

バイデン政権の発足後もトランプは国民運動のリーダーとして影響力を維持し続けるため、これを自分の支持基盤に取り込むためのパフォーマンスだという見方も強い。自分は最後までトランプを支持したという国民へのアピールだ。しかし、詳しく調べると、それ以外にも理由があることが見えてくる。

ちなみにアメリカには「特別政治活動委員会(スーパーPAC)」という制度がある。これは企業や団体、そして個人から資金を集めるための政治資金団体のことである。2010年からは、個人や企業が献金できる金額に制限がなくなった。いまは超富裕層が、自分が支持する政党や政治組織に無制限に献金するための仲介組織になっている。

今回、バイデンの勝利確定に異議を主張しているテッド・クルーズをはじめとした11人の共和党上院議員への資金の流れを見ると、極めて興味深いことが分かった。11人の上院議員には、122の「スーパーPAC」から、440万ドルの政治献金が行われていた。それぞれの議員には、少なくとも1万ドル以上が献金されていた。

特にそのなかでも最大の献金をしたのが、超富裕層のリバタリアンの中核であるチャールズ・コークの「スーパーPAC」である。ここは、トランプと直接会い、上下両院合同会議で異議を唱えることを約束した7人の共和党上院議員に、彼らの政治活動資金として総額で19万8,500ドルを寄付していた。

もちろん、チャールズ・コークが献金したからといって、今回の共和党議員による異議申し立てがコークの支持で行われたわけではないだろう。19万8,500ドルは2,000万円とちょっとだ。政治献金の額としてはすごく大きいわけではない。

ただ、はっきりしていることは、チャールズ・コークはバイデンの勝利を認めておらず、選挙結果の異議申し立てを強く支持しているということだ。やはり、トランプ政権の継続を願っている。

共和党全体を買い取った超富裕層リバタリアン

ところで、当メルマガでは前回、自由貿易を主張してトランプの保護関税と移民規制に反対するチャールズ・コークはトランプと決裂したと書いた。それは間違いない。しかしながら、コークは共和党に莫大な献金を続けており、影響力は巨大だ。

また、2020年の大統領選挙におけるトランプへの大口献金者のリストを見ると、金融業、エネルギー産業、ギャンブル、不動産業が主要な献金者だが、そうしたなかでも突出した額の献金をしているのが、ティモシー・メロンという人物だ。彼は共和党に3,000万ドルを寄付しており、トランプの大統領選挙にはそのうち1,000万ドルを献金している。

ティモシー・メロンはアメリカを代表する金融財閥、「メロン財閥」の総帥だ。そして、コーク一族とならぶリバタリニズムの信奉者である。政府機能を極限し、社会全体は規制のない純粋な市場原理で運営されるべきだと主張する点ではチャールズ・コークと変わりがない。さらにメロンは一歩踏み込み、ユダヤ・キリスト教の原理によって社会は統治されるべきだと主張する。

これは、既存のアメリカを一度解体し、ユダヤ・キリスト教の原理に基づいて再構築すべきだとしているスティーブ・バノンと類似した考えだ。この人物がトランプ陣営の最大献金者である。

また、トランプには直接献金していないものの、チャールズ・コークも共和党に対して大口の献金をしている。850万ドルである。

このように見ると、現在の共和党は、規制のまったくない市場原理の支配と統治を主張する超富裕層の一派に買い取られてしまったかのような状況なのだ。

Next: リバタリアンには2種類ある。なぜトランプ政権を望むのか?

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