自民党が「週休3日制」の実現を政府に促す試案をまとめたことが判明し、大きな波紋が広がっている。
各社の報道によると試案をとりまとめているのは、自民党の1億総活躍推進本部の本部長を務める猪口邦子氏。子育てや介護、大学院での学業、副業などに充てる時間を増やす狙いがあるという。
中小企業などには週休3日制への理解が進まないとも想定しており、経営者が導入を決めた際には奨励金を配るなどの政策奨励手段も視野に入れているとのこと。いっぽう、実際に導入した際の給与に関しては、「週休3日で2割削減、週休4日で4割削減の事例がある」としたうえで、「制度の採用時に各社が研究し、協議する」としている。
「減給ありき」「リスクは個人」厳しい声が殺到
週休3日制に関しては、日本国内でも大企業ばかりであるが、実施するところがチラホラと出始めており、昨年末には中堅航空会社のスカイマークが、本社や空港の支店に勤める事務職社員を対象に、週休3日を認める制度を来春にも導入する方針であることが判明している。
また、大手金融グループのみずほフィナンシャルグループでは、すでに希望者を対象に週休3日や4日の働き方を認めている。先に猪口氏が挙げていた「週休3日で2割削減、週休4日で4割削減の事例がある」というのは、恐らくこのみずほHDのことを指しているものと思われる。
いっぽう海外では、国家レベルで週休3日制の導入を進めているところもあり、最近ではスペインで「週4日32時間勤務」の導入を検討中とのこと。その際、労働者の賃金は下げずに政府が一時的に賄うとのことで、スペインの財務省は試験実施の助成金等にあてる予算を5000万ユーロ(約60億円)と見積もっているという。
そんな流れのなか浮上した今回の週休3日制試案だが、給与に関しては猪口氏が「制度の採用時に各社が研究し、協議する」とは言っているものの、やはり減給が既定路線であることは明白な情勢。このことに対して、SNS上では失望の声とともに「それだと誰も同意しない」といった意見もあがる。
どうせ週休3日になったら給料も減るんだろ?とか思ってたらその通りで草
— ててて (@___149rt) January 14, 2021
この人たちは、世間知らずにも程があるある。
あきれたもんだ。
週休3日にしても、給料が変わらないようにするならいいけど、どうせ減額になる。
そういう感覚がこいつらは、欠如してんだよな。
議員辞めて、一般市民になってみろ。
言ってることの矛盾がわかろうよ。 https://t.co/2J3Modwjhl— ORE (@n3822n) January 14, 2021
週休3日の対価が減給なら誰も同意しないと思うよ https://t.co/E10gmBwdaN
— ミナミイクノリNoir/Blanc (@ikunori_minami) January 14, 2021
くわえて、結局は「人件費削減」を目的とした、企業に都合がいい政策ではないかという意見も根強い。国としては同時に雇用促進も図れるわけで、リスクを負うのは個人の労働者ばかりだという、ネガティブな声も多い。
ゴリゴリの人件費削減狙いやね。人余りだがクビは切れない、でも人件費は減らしたい…という経営側の熱い思いを感じる。 / 他10件のコメント https://t.co/5fRnEAHD70 “《独自》「週休3日」推進 自民の試案判明 政府に提案へ (産経新聞) – Yahoo!ニュース” (18 users) https://t.co/vTVPmr14BH
— ちんあなご (@abczchang00) January 15, 2021
選択肢があることは良いこと
しかし、どんなブラックにも従うサラリーマンに断れるのだろうか
企業は人件費削減 国は雇用促進
個人はリスクを伴う自由
複業推進派ですが政府は企業都合ばかり
有能な人とベンチャーにはチャンス
それ以外には危険かも https://t.co/1CwOZyhCQ4— 元男前☆ (@in00SAKA) January 14, 2021
そもそも有休すらまともに消化できないのに…
「休みが増えてうれしい!」という呑気な声も当然あるいっぽうで、それ以上に目立つとかく悲観的な反応。その根底にあるもののひとつが「そもそも現時点で有休もまともに消化できないのに」という声だ。ネット上では週休3日制導入の前に、思うように有休が使えるようすることにくわえて慢性的な残業の解消、さらには労基法違反の厳罰化など、現状の週休2日制下における労働環境の改善が先ではないかという声が多い。
有給もまともに取れない日本でこんなのうまくいくわけないだろ!まず休みたい時に休める社会を作れよ!!!
希望者が週休3日確保できるよう政府に提案へ 公務員にも広げる考え – ライブドアニュース https://t.co/C8eY7TO8de
— 太陽マン (@taiyou_man) January 15, 2021
日本でも週休3日導入検討となってますが記事に依ると収入は減る方向。フィンランドでは収入は減らさず週休3日6時間労働の導入が検討されてるそう。日本では先に有給完全消化&サービス残業撲滅、労基法違反厳罰化の方が必要と思うんですが…。
⬇️マリン首相の記事も参照。https://t.co/dz1XoEwgII https://t.co/sDQ3xkNbic— Kikuyo🌈284 (@apojikatatusans) January 14, 2021
また、主に地方などの中小企業では慢性的な人材不足もあり、週休2日どころか週6勤務、または週休2日は隔週といったところもまだ多いことを訴える声も。サービス業やインフラ関係の仕事に従事する方も含め、そういった方からすれば週休3日など夢のまた夢といった話だろう。
都市部のサラリマンを週休3日にする前に地方の週休1日もあるかどうかみたいな連中を何とかしろ!
— オカキ社長 (@okakisyatyou) January 14, 2021
自民党ッテ日本の全企業が完全週休2日だと思ってるの?
地方の大多数の中小零細は未だに土曜日は平日ですよ!
それを週休3日の提案?しかもテレワーク導入前提??
地方の国民なんて気にしてないか・・・#自民党#週休3日— レッドスカーフ (@scarf_of_red) January 14, 2021
週休3日制について議論するのもいいけど地方はほとんどの仕事で土曜隔週休み(隔週週休1日)が普通なんですけどねぇ…。
1から3にはどう考えてもならないよなぁ…。— ゆう (@epic_yu) January 14, 2021
そんななか、にわかに浮上しているのが「プレミアムフライデーの二の舞になるのでは」といった声だ。
プレミアムフライデーすら出来ないのに週休3日とは
— 三浦さーん (@Lesson1_2_3) January 14, 2021
その前にプレミアムフライデーが何故失敗したかを分析する方が先だろ。
《独自》「週休3日」推進 自民の試案判明 政府に提案へ (産経新聞)#Yahooニュースhttps://t.co/haLvcvpmRJ
— ヤギオの囁き (@yagionosasayaki) January 14, 2021
月末金曜日は仕事を早上がりし、空いた夕方を買い物や旅行などに充てることを推奨したプレミアムフライデー。2017年のキャンペーン開始当初こそは、それなりに盛り上がりを見せたものの、今ではもう誰も話題にすらしない有様だ。
その際にも大きな課題となったのが、大企業こそプレミアムフライデーを実施するところは多少はあったものの、その他の中小企業においてはほとんど波及しなかったという点。今回の週休3日制に関しても、前出の記事で猪口氏が「中小企業などでは制度についての理解が進まないことが想定される」と語っているが、プレミアムフライデーの時と同様に“笛を吹けども踊らず”といった状況になることは大いに考えられる。
ちなみにプレミアムフライデーの公式サイトを改めてチェックしてみたところ、どうやら昨年10月末を最後に、更新が止まっている状況ようだ。今回持ち上がった週休3日制も、個々の労働者や中小の企業などに目に見えるメリットを提示できないことには、プレミアムフライデーと同様に数年後には“黒歴史”と化すに違いない。
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