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Nutsでは仲間割れ、事件化も。「ハコモノ」上場企業の増資“詐欺”手法2つ=山岡俊介

上場廃止「Nuts」第三者割当増資をめぐるお金の流れ

19年5月、そのNutsの第三者割当増資がIRされた。

新株予約権だけで、新株予約権の払い込みが約3,200万円、そして新株予約権がすべて行使された場合は23億8,000万円の資金調達ができるとされた。引き受けたのは、この手の引き受けによく登場する「イブキジャパンファンド(Ibuki Japan Fund)」(ケイマン諸島)だった。

翌6月の割当日にイブキは早速、約3億円分株式転換している。

増資目的は、近年流行の富裕層向け会員制医療施設を始めるためだった。

この資金は、当時のNuts社長の資金元であるH氏が融資していた。そして、H氏とイブキとの間を繋いたのは、以前から“危ない上場企業”への融資で有名なM氏。そのM氏の背後には反社会勢力も含めた複数の名うての仕手筋、解体屋、株式ブローカー連中が控えていると見られる。

Nutsの株価は、この第三者割当の前、19年2~3月にかけて前出・会員制医療施設開設前の会員権販売でNutsの売上が前年比実に10倍にもなるという業績予想のIRで3倍以上に急騰。しかしながら、それに連動したこの第三者割当増資のIRは、すでに悪名高いイブキが引受手だったこと、さらに買いが入り株価は上がろうとするとすぐ売りが入ることなどから株価は上がらなかった。

挙句、前出の大幅な業績予想がまったくのデッチ上げだったことが判明したことから、本気でこの事業を立ち上げるつもりだったと見られる資金元H氏と、社長とM氏らイブキ側との間で内紛が勃発。互いに責任をなすりつけあっているが、事件化は早ければこの1月中とも見られ、ほどなく真実が明らかになって来るのではないだろうか。

会社側まで組めばインサイダーやり放題?

会社側まで組んで、引き受け資金を用意するとあっては、実質、カラ増資で資金が会社に入らず、何の意味があるのと思われる読者もいるかも知れない。だが、会社側と引き受け側が一体になりやればインサイダーやり放題で、株価を上げちょうちんを付けさせ売り逃げできる可能性も高く、会社側も美味しい思いができるからだろう。

実際、Nutsの場合でも、イブキの増資引受で株価が上がらない後、開設を目指す会員制医療施設と徳洲会が提携するなど、株価上昇の材料が何度もIRされたが、そのIRの下書きは会社側でなく、イブキを繋いだ前出M氏が作成していたとされる。

一般論に戻すが、増資した大量の株券を売りさばくにはこのようなIRが必要。また煽り屋も必要だ。典型例は数年前なら暗号通貨(仮想通貨)、昨年ならコロナ関連だろう。急騰させるには「ウルフ村田」のような煽り屋(Nutsではトンピンさんも参加)、解体屋にも依頼する。解体屋も少なくなったが、例えば100円の株に10万株買い注文を入れると、バックで1株につき5円キックバックという感じだ。

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