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韓国「反日米・親中朝」終焉の兆し。最大野党に36歳非議員の党首誕生、文政権打倒へ王手=勝又壽良

若者世代が86世代追撃

現在の韓国政治を動かしているのは、「86世代」である。1960年代生まれで1980年代に学生生活を送り、軍事政権と火炎瓶闘争をして韓国民主化を勝ち取ったという誇りを持っている。

こういう「故事来歴」から見て、この「86世代」が特権意識に支えられ、1980年代の国際情勢の認識から一歩も出ていない欠陥を抱えている。具体的にいえば、「親中朝・反日米」である。

文政権がいま以て「親中朝」の枠から出られないのは、学生時代からの固定的な認識に災いされている証拠だ。

これに対して、「国民の力」代表になった李氏は、まったく異なる外交感覚である。

李氏は、香港民主化運動の支持を表明している。2018年8月には香港を訪れ、デモに加わり行進したこともあるという。李氏は昨年6月にも、国会で開かれた旧「正しい未来党」(現・国民の力)最高委員会議で、「香港市民が感じる民主主義への脅威は、私たちが1980年、1987年に感じた民主主義の危機と相通じる」とも述べた。これによって、野党を中心とした韓国政界における香港民主化運動支持への流れができた。以上は、『大紀元』(6月13日付)から引用した。

文政権は、韓国の軍事政権と民主化闘争を戦いながら、香港だけでなく中国や北朝鮮の人権問題にも口を閉ざしている。そこで、李氏からつぎのような批判を浴びている。

香港問題に沈黙する文在寅政権に対しては、「中国の夢を見るだけで、韓国はまるで馬に付いたハエのようにぴったり中国に張り付いて行かなければいけないと主張する与党は、絶対(香港民主化運動に対する支持宣言を)できないだろう」と強く指摘する。

李氏は、北朝鮮の体制に対して「人民民主主義」のような疑似民主主義を排斥すると強く否定する。朝鮮半島の統一については、北朝鮮の「吸収統一」を主張している。「吸収統一とは、北朝鮮の体制を消すことで、北朝鮮に妥協することはない」と述べ、従来の政権より強硬な対北朝鮮観を示している。

文政権が、こうした批判を浴びても沈黙せざるを得ないのは、「親中朝・反日米」という1980年代の外交感覚の殻から出られない結果である。こう見てくると、「86世代」はすでに内外問題で柔軟に対応できない硬直化状態に嵌っている。古い固定観念から柔軟思考へと一歩も転換できないのだ。

検察総長が大統領選へ

以上で、李氏の内外政策の概況を見てきた。これらは、20~30代の若者によって強く支持されている。その点で、文政権は来年3月の大統領選挙に危機感を持たざるを得まい。

李氏は、30代ゆえに大統領選挙に立候補が不可能なのである。そうなると、党外から有力候補を呼ばざるを得ない。党内のベテラン議員は、今回の党代表選挙で李氏に大差を付けられており、大統領選に立候補するのは困難である。

そうなると、前検察総長の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏の存在に注目が集まる。尹氏は6月5日、ソウル国立顕忠院を参拝し「祖国のために犠牲となった方々が憤らない国を作る」と明らかにした。顕忠院に参拝し「良い国を作る」というメッセージを発したことから、大統領選挙への出馬を強く示唆したものと読みとられている。

尹氏はすでに、ユーチューブで30代の時事評論家の司会で出演し始めている。大統領への準備は着々と進んでいる感じだ。ただ、正式の立候補の弁は述べていない。これまで、経済や外交、福祉と広範囲に勉強を重ねている。「国民の力」の有力議員と接触もしており、「入党」は近いと見られる。

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