「利回り保証」はありえない。スルガ銀行問題とは別の事件も
このスルガ銀行問題の再燃とは別に、「貸倉庫に投資すると『年間15%』の利回りが得られる」といって資金を集めた男が、詐欺容疑で逮捕された事件も、最近起こったようです。
「年間15%」というのが、数字として「いかにもありそうな高さ」であることが巧妙なだけに、いやらしさが増します。
それに何といっても、やはり“利回り保証”などというものは「あり得ない」と考えなければなりません。
私も「株式投資で年率10%」を「目標」としてはいますが、これはあくまでも「目標」であって、決して利回り保証などとは考えていないですし、それはあり得ないと思っています。
それに、たとえば仮に、10年間にわたって株式投資で「年率7%」の利回りが達成できたとしても、その場合の各年の利回りは、たとえば「5%・8%・6%・10%・15%・-3%・0%・8%・17%・4%」というようなかんじになり、これら10個の利回りの単純平均を取って「7%」と考えます。
このように、各年の利回りはブレるのが現実です。良い年と悪い年があり、「平均すると7%になる」という感じです。
ですから、株式投資においても不動産投資においても、「7%の利回りを保証する」などということは、決して現実的ではないのです。
不動産投資も株式投資も、「投資」なのですから、不確実性は付きものですし、将来のことまで約束できるはずがないのです。
「楽して稼げる」などという甘い話はない
これらの事件に対する私の意見を、まずは箇条書きにします。
1. 勉強せずに儲けようなんて無理だし、不勉強すぎる!
2. 楽して稼げるなんていう甘い話はない
3. 身の丈に合わない借入はダメ。不動産投資をするなら「頭金は50%以上」が基本
4. 個人投資家レベルでは不動産投資は、実はあまり儲からない
5. そもそも今の日本において、人生に「安定」なんて、ない
これらについて順番にコメントして参ります。
(1)勉強せずに儲けようなんて無理だし、不勉強すぎる!
不動産投資でも株式投資でも、勉強せずに儲けようなんて、土台、無理な話なのです。
不動産投資のことを少し勉強すれば、査定価格が「7,520万円」しかない物件を「2億円」も出して買うことは避けられるはずです。
「2億円」ものお金を投資するのであれば、最低限やっておかなければならない準備勉強というものも、かなりのものであるはずで、それをちゃんとやれば、査定価格が「7,520万円」しかない物件を「2億円」も出して買おうと思うはずがありません。
なお、話を不動産投資から株式投資に変換しても、同じことがいえます。
PBRが3倍もしたり、PERが30倍やそれ以上になっているような銘柄には、私は一切、手を出しません。そんな株価は「裏付けのない期待だけ」で成り立っているので、いつ崩れてもおかしくはないからです。「査定価格が7,520万円しかない物件を2億円も出して買う」のと、ほぼ同じことだと思うのです。
PBRが3倍もしたり、PERが30倍やそれ以上になっているような銘柄でも、「もしかしてうまくいったら、高くなるかもしれない」というのは否定できません。そういう銘柄も、現にいくつもありますから。
しかし私は、「もしかしてうまくいったら、高くなるかもしれない」だけのものに大金は投資できません。それが借金での投資であれば、論外ですし。