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ドン・キホーテ(PPIH)株は今が買い時?32期連続増収増益、成長カギ握る海外進出の勝算は=栫井駿介

海を渡るドン・キホーテ

さらに海外進出もやっていて、スーパーマーケットチェーンのジェルソンズを買収し、店舗数27店舗と、着実に海外へ軸足を置こうとしています。2021年6月期には、アジアに8店舗を出店するということです。

まさにこの海外進出というのが、この会社の今後の戦略ということになっています。

国内の出店余地はというと、もしかしたらもう限定的かもしれません。そんな中で、海外には結構前から北米に進出しているのですが、いよいよそれを本格的にやっていこうという流れで成長を目指しています。かなり先を読んだ手に見えます。

そのため、もともとはドン・キホーテHDという会社名だったのですが、パン・パシフィック・インターナショナル・ホールディングスと改名しました。“パンパシフィック”ですから、「国際的な会社に生まれ変わるぞ」という思いで、このような名前にしていると言っています。

つまり今、勝利の方程式を海外へ持って行こうとしています。

社長交代は海外進出の布石

実は、そのためにやっているのが社長交代です。もともと安田さんという人が創業者で、そして古参の人である大原さんという方が、これまで社長を務めていました。今CEOになっている吉田さんという方は、実はあの経営コンサルティングのマッキンゼー出身の方なんです。

つまり、もともと「泥棒市場」から始まった会社ですけれども、今やマッキンゼーのような人が社長に座って、洗練された企業に生まれ変わろうとしているところがあります。

この吉田社長は、もともと創業者の安田さんが北米事業をやるために、北米の社長としてスカウトしたのが始まりとなっていますから、当然、海外に知見もあるわけです。これが、この会社が成長を継続できるかというところにかかってくるわけなんです。

一方で海外進出というと、日本企業で成功した事例はそれほど多くはありません。身近なところではユニクロ、無印良品は、比較的中国では上手くいってるのですが、このドン・キホーテが行こうとしているのは、どちらかというとアメリカとかが多かったりします。

アメリカで上手くいった日本企業は、それほど聞きません。なので、ここで上手くいけるかどうかは、1つ試金石にもなってくるのではないかと思います。

もっとも、アメリカとかでやっているのは、日本みたいなドン・キホーテというよりも、スーパーマーケット事業の側面が強いです。そこで何か特徴を出していけるのかというのは、また1つの注目ポイントでもあります。

まして、これまでは泥棒市場から始まったお店だったのですが、マッキンゼーの洗練された人がCEOを務める中で、独自の面白さが埋もれてしまわないかという懸念はあります。

今、ドン・キホーテは、外出制限とか繁華街での盛り上がりの欠如、あるいはインバウンド需要の損失によって、厳しい状況に置かれています。

ただ、それが終わってしまえば、当然、その逆の動きというのも起きるでしょうから、終わり次第これはプラスに働くだろうと思います。

一方で、スーパーはこれまでコロナ禍の特需のようなものにはならないのではないかと思います。経営改善を進めていますから、それが功を奏せば、利益に貢献してくるのではないかということも考えられます。ちなみに、このユニーを上手く立て直したのも、今の吉田社長ということになっています。

Next: すでに国内店舗数は頭打ちか。今後の成長は海外進出の成否次第

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