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ドン・キホーテ(PPIH)株は今が買い時?32期連続増収増益、成長カギ握る海外進出の勝算は=栫井駿介

「圧縮陳列」で買い物をアミューズメント化

では、ドン・キホーテはどうやってこれだけ業績を伸ばしてきたのでしょうか。

皆さんもドン・キホーテのお店を訪れたことがあると思います。私も学生時代、大学が渋谷にも近かったので行ったりしたのですが、安くて品ぞろえが豊富で、行って楽しいというところがありました。たくさん物が積まれて、そこの中から宝探しをするような感覚がありました。

これこそがドン・キホーテの強みとなっていまして、「圧縮陳列」と呼ばれるものです。

店舗に行かれたことがある方ならわかる通り、本当にいろんな商品がうず高く積まれています。これによって、ドン・キホーテが達成したのが、ワクワクドキドキ感という感覚を消費者に植え付けることです。また行きたくなるように買い物にアミューズメント性を見出したというところが、ドン・キホーテの勝ち筋ということになっています。

もともと、この企業のコンセプトは、ドン・キホーテになる前は「泥棒市場」というぐらいの名前でしたから、とにかく掘り出し物を見つけるような感覚でした。

さらに最近では、特に中国などからのインバウンド顧客が注目され、ここからの売り上げが非常に多かったということで、コロナ禍になる前の5年ぐらいは、そのインバウンド需要というのもあり、非常に大きく伸びてきたわけです。

そして、改めて成長要因としてまとめますと、この「圧縮陳列」のエンタメ感の演出というのが非常に重要になってきました。

この“買い物のエンターテインメント化”というのは、長期で続く流れだと私は考えています。

なせかというと、必要なものだったら、正直ネットで買ってしまえばいいですよね。なんなら、Amazonで定期購入もあるぐらいです。わざわざ足を運んで店舗で買うというのは、それだけで手間で、それならネットで決め打ちで買ってしまえばいいということになります。

一方で、とにかく時間を潰すというのもそうですが、行ったら楽しいという感覚が得られるのが、このエンタメ感です。これが買い物に求められるという時代ではないかと思います。

私も千葉の比較的田舎に住んでいるのですが、例えば休日にやることがなくて、でも、どっか行きたいなーという時は、イオンモールとかに行ったりします。

それも1つのエンターテインメントになるのではないかと思います。ドン・キホーテもその範疇にあるということです。

コスト削減にも一役

また、この圧縮陳列というのが、新規出店やコスト削減にも寄与しているのではと考えられます。

ドン・キホーテは、カテゴリーでお店を分けています。

1つは郊外店で、郊外店というと店舗が広く、出店もそんなにたくさんのお金はかかりません。

一方、都心の店舗に関しては、賃料が高いわけです。そんな中で圧縮陳列をすれば、小さいスペースでたくさんの物を置くことができます。それが一般的にはマイナスに働くのですが、ドンキホーテはそれを逆手にとって、それをエンターテイメントに昇華させてしまったというのが、勝っている要因ではないかという風に思います。

当然、賃料も抑えられますから、コスト削減にも寄与するというところになってきます。なんならダンボールのまま置かれていたりするので、それも余計なコストをかけていないということになります。

Next: コロナ禍で都心店は大幅マイナス。ドンキの成長は今後も続くか?

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