日大理事ら逮捕も「アベ友」案件？病院建設めぐる背任で2.2億円流出。モリカケ桜を争点にしたくない自民党だが籠池氏妻は「衆院選出馬」表明

2021年10月8日ニュース

日本大学の医学部付属板橋病院の建て替え工事の設計契約を巡る背任事件で、東京地検特捜部は日大理事の井ノ口忠男容疑者と、医療法人前理事長・籔本雅巳容疑者の2人をついに逮捕した。

報道によると井ノ口容疑者は、板橋病院の建て替え工事の設計に関する業者選定の際に、都内の設計事務所が1位になるよう評価点を改ざんして選定。日大から設計事務所の口座に着手金約7億3,000万円を送金させたうえで、この口座から2億2,000万円分を、籔本容疑者が出資した無関係の会社へ送金させ、その一部を自身らに還流させたと疑われている。

渦中の井ノ口容疑者だが、元は日大のアメフト部出身で、2018年に起こった「アメフト悪質反則問題」で批判の的となった内田正人元監督の2年後輩。その“集金力”で日大のドンと呼ばれる田中英壽理事長からの信任も厚かったようで、日大の評議員になるやいきなり理事に抜擢のスピード出世。しかし、例の悪質反則問題の際に、部員に口封じをして真相究明の妨害をしたと断じられ、一時は日大での役職を追われる形となった。

しかし井ノ口容疑者は、その翌年には理事などの元の役職に何食わぬ顔で復帰していたといい、まさに日大の「深い闇」を象徴する人物のようなのだ。

「アベ友」疑惑が浮上した籔本容疑者

いっぽうで、もう一人の籔本雅巳容疑者は、関西地方を中心に12もの系列病院にくわえ、複数の介護施設や看護教育施設などを有し、グループ合計では約6,000もの病床を持つという一大医療グループ「錦秀会」のトップだった人物だが、これがどうやら「アベ友」だったとここに来て判明し、大いに注目を集めている。

ゴシップ誌のみならず、東京新聞といった一般紙も伝えている籔本雅巳容疑者の「実はアベ友だった」報道。その記事によると、政界に広い人脈を持つ籔本容疑者は、安倍晋三元首相ともゴルフや会食を重ねてきたといい、同紙の首相動静コーナーにも度々その名前が登場していたという。

また他の報道によると、安倍元首相は籔本容疑者のことを「ヤブちゃん」と呼ぶ親しい間柄だったそうで、数年前に大いに問題視された加計学園の理事長・加計孝太郎氏とのゴルフにも参加していた模様。この籔本容疑者だが、安倍元首相との繋がりに関しては「父である晋太郎さん時代からの付き合い」と本人は言っているようだが、いっぽうで同郷の自民党代議士である中山泰秀元元防衛副大臣の後援会長を務めているとの報道もあり、それがきっかけで安倍元首相とも親しくなったのではという話もあるようだ。

籔本容疑者が率いていた錦秀会グループは、政府与党である自民党が推し進めた医療政策に乗って急成長を遂げ、籔本容疑者自身も「大阪医療界の寵児」と呼ばれる存在だったという。このように安倍元首相と親しい「アベ友」が優遇されて、どんどんと潤っていくという様は、まさに過去の「モリカケ」の構図を見ているかのようでもある。

「モリカケ桜」が再び争点に？

安倍元首相が政権を投げ出して以来、なんとなく有耶無耶なままにされている「モリカケ問題」。野党側からは再調査の声がしきりにあがり、さらに公文書改ざん問題を巡って自殺した財務省近畿財務局職員だった赤木俊夫さんの妻・雅子さんも、同様に森友問題の再調査を求める直筆の手紙を送ったという報道もあったが、岸田新政権としてはそれら前政権による「負の遺産」には、とことん背を向ける腹づもりのようだ。

現に今月6日には、モリカケとともに問題視されていた「桜を見る会」前夜祭を巡る問題で、東京第5検察審査会が元秘書ら2人には「不起訴不当」としたものの、安倍元首相には「不起訴相当」と議決したことに関して、とある自民党幹部は「この案件はもう終わりだ」と発言。選挙前だとはいえ「臭いものには蓋」といった姿勢があからさまなのだ。

岸田新首相の“電撃作戦”により選挙日程が大幅に前倒しされたことで、国会審議で取沙汰される機会も失い、来たる衆院選の争点からは外れつつある「モリカケ桜」の諸問題。ただ、ここに来て森友学園・籠池前理事長の妻である諄子氏が、なんと衆院選への出馬を表明したとのニュースもあり、さらに今回の「日大背任事件」において、アベ友人脈のうさん臭さが再びクローズアップされることになれば、再びこれらの疑惑が注目を集める可能性も大いにありそうだ。

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